13:これ、魔法でやっちゃダメか?
こうして迎えた土曜日。
ウィル、アンソニー、ジェシカは、朝食後、馬車で街へと向かった。一方、部屋の飾りつけを担当する、クリス、アミル、私は、離れの小ホールに集合した。
クリス達が滞在する離れの小ホールは、一階にある。今朝、花屋から届いた花は、召使いのみんなが、既に小ホールへ運んでくれていた。バルーンもホールに置いてある。
動きやすいようにと、今日の私の服装は、白のブラウスにライラック色のミモレ丈のスカート。クリスはライラック色のシャツに、黒のズボン。黒いズボンのクリスは、脚が細く長く見え、いつもにも増して、素敵に見える。
アミルはというと、決して動きやすいわけではないと思うが、砂漠のあの部屋にいた時と同じ服装、つまり丈の短い襟の立っているベストのようなものとハーレムパンツだ。上衣は紺色で、ハーレムパンツは白。もちろん透けていない素材だ。それでも上半身は露出が多く、見慣れない裸に近い男子の姿は、つい気になってしまう。でもそんなこと、伯爵令嬢として恥ずべき行為なので、なるべく見ないよう気をつける。
何はともあれ、飾りつけ開始だ。
まずはクリスとアミルがテーブルと椅子を並べ、私はテーブルクロスを敷いていく。
「ニーナ、これ、魔法でやっちゃダメか?」
「時間が足りなかったり、重くて運べなかったりしたら、魔法を使っていいわよ、アミル」
「面倒だな……」
魔力が強く、日常的に魔法を使えるアミルからすると、テーブルや椅子を移動させるだけでも、魔法を使いたいようだが……。
「この後、花を飾るでしょう。この花は明日の日曜日に花が咲くよう、つぼみで用意してもらっているの。でも、明日、ちゃんと咲かないかもしれない。その場合は、魔法で花を咲かせることになるわ。人間がどんなに頑張ってもダメな時に、魔法を使うの、基本的には。魔法に頼ってばかりだと、怠け者になっちゃうわよ」
アミルは不服そうだが、言いたいことは伝わったようで、きちんと自力でテーブルをセッティングしてくれた。
「ニーナ、テーブルを運び終えたら、クロスをしくのを手伝うよ」
「ありがとう、クリス!」
最終的に三人で、テーブルクロスを敷き終えた。いよいよ花とバルーンを飾ることにした。
花はテーブルに飾るもの、ホールの花瓶に飾るものがある。
すでに白、黄、ピンク、紫、赤と色分けしてあるので、早速アレンジを作ることにした。
白の花は、アマリリス、クレマチス、ジャスミン、シャクヤク、マーガレット。黄色の花は、カーネーション、シンビジウム、ベゴニア、コロニラ・バレンチナ、スプレー・バラ。ピンクの花は、ガーベラ、ミディ胡蝶蘭、カーネーション、バラ、スイートピー。紫の花は、クレマチス、リシアンサス、サフィニア、カンパニュラ、スターチス。赤の花は、ヒペリカム、カーネーション、バラ、ヒナゲシ、チューリップ。
花の大きさ、色、バランスを考え、作ったアレンジは、例えばこんな感じ。
ピンク色のバラとカーネーション、ラベンダー色のリシアンサス、可愛い赤い実のヒペリカム。ここにグリーンとなる葉を加えたら。完成だ。
「クリス、アミル、このアレンジを真似して、花束を作って。まとめるのは私がやるから」
「オッケー、ニーナ。可愛らしいアレンジだね」
そうクリスが微笑むと、アミルは。
「ニーナ、センスいいな!」
なぜかクリスに負けじと、褒めてくれる。
そんな感じで何種類かのアレンジを作り、テーブル、ホールの花瓶へと飾って行く。この時、守護霊獣たちがお手伝いをしてくれた。ブーケをくわえ、運んでくれるプラジュと銀狼は、本当に可愛い。まるで動物によるお花の配達サービスみたいだ。さすがにミルキーは、ブーケを運ぶことはできない。私の肩からみんなの様子を眺めている。
花を飾り終えると、その花の側にバルーンを飾る。テーブルに飾るのは、手の平にのるサイズの、プードル、クマ、蝶の形のバルーン。ホールの大きな花瓶の傍には、ビックサイズのハート、星、happy birthdayの文字のバルーンだ。
夕方になり、買い出しに行っていたウィル、アンソニー、ジェシカが戻ってきた。馬車の中はもちろん、屋根にもいっぱい荷物をのせている。クリスがアミルの気を引いている間に。アミルへ贈る花束とプレゼントをウィルの部屋に運び込んだ。
プラジュと銀狼が花束を運ぶ姿はきっと愛らしいはず。
絵がないので妄想、妄想!
次回は明日、11時台に『ブルンデルクの三大貴公子に異変!?』を公開します。
明日はプチサプライズ☆
明日の12時台の更新は……(*/▽\*)♡♡♡
引き続きよろしくお願い致します!

























































