10:ピュアなクリスのピュア過ぎる発想に悶絶
期末考査の翌日。
今日から三日間は、教師陣は期末考査の採点があるため、特別授業になる。授業は午前中のみ。そしてその特別授業の三日間が終わると、期末考査の結果発表がある。さらに週末を挟み、明けて終業式、そして――夏季休暇が始まる!
昨日、二人だけの放課後制服デートを終え、帰宅した後。
いつものように夕食をとり、寝る前の1時間を、クリスと二人で過ごした。
本当にこの日はクリスといる時間が長く、私にとって、まさに夢のような時間だった。さらにその夢を輝かせてくれたのは、クリスのこの提案だ。
「ニーナ、今日のデートの帰りで、休日のデートの話をしただろう?」
仲良くソファに並んで座り、クリスは私を抱き寄せ、私はクリスの胸にもたれていた。二人で過ごす時にだけできる、ラブラブな体勢だ。銀狼とミルキーは、いつも通りで、私達を見守ってくれている。
「ええ。二人だけの休日デート。できたらいいなって」
クリスは「できたらいいな、なんて謙虚だね。ニーナは」と言うと、私の頭にキスをする。そしてグッと私を抱き寄せると。
「この週末、土曜日に、温泉へ行こう」
「温泉!? あの黒い森の?」
「あの温泉も確かにいいけど、ニーナがまだ行ったことがない温泉に、案内するよ」
これには驚いてしまう。
黒い森に連なるクロンシュ連山が火山であると分かったので、探せば温泉はあると思うのだが……。
そもそもマジパラの世界観では、温泉の概念がない。積極的に温泉を探す人も、当然だがいない。だから温泉があったとしても、放置されているはず。その温泉に対し、クリスが詳しいことに、驚いてしまったのだ。
「ニーナに『温泉』という言葉を教えてもらうまで、僕は温泉のことを『回復の湯』と呼んでいた。あのお湯の成分は、筋肉や神経に好ましい作用をもたらす。血流もよくなるし、痛みの緩和にもつながると思う。だから秘かに、昔から研究をしていたんだ」
そうだったのか。
クリスっていろいろなことに興味を持っているのね。
それに温泉に目をつけるなんて。先見の明があると思う。
「僕は国中、いろいろ旅をしていただろう? 様々な都市へ行ったけど、温泉が沢山あるのは、このブルンデルクだけだ。他は……掘り起こせばでてくるかもしれないが、わざわざ掘り起こすぐらいなら、ブルンデルクの温泉に入ればいいと思っている。……って、これはニーナには関係ないね。ともかく、ニーナが以前入ったのとは違う、澄んだ水色の温泉があるんだ。きっとニーナが見たら、絶対に喜ぶと思う。そこなら日帰りで行けるから、土曜日にそこへ行こう」
それは……なんて夢のようなプランなのだろう。
何より、温泉デートを思いつくなんて!
クリスはやっぱり神だわ!!
温泉に入るとぐっすり眠れるし、温泉の後のお酒がこれまたたまらなくて……。あ、残念。まだ年齢的にお酒は飲めない。でも構わない。
そうだ。ベリーのジュースを用意しよう!
あー、これで浴衣があれば……。
そこで想像してしまう。
浴衣を着たクリスを。
少し胸元が開いた、お風呂上りで浴衣を着たクリス。
肌がしっとりして、血色もよく、髪はまだ少し濡れていて……。
え、待って!
多分、とんでもなく艶っぽくならない!?
なる、絶対になる!
それにちょっと待って。
温泉といっても、ちゃんと男女に分かれているわけではないわよね?
そうなると、え、嘘……。
ま、まさか、ク、クリスと混浴……!?
というか、クリスの裸……?
「ニーナ!? 顔が真っ赤だよ、どうしたの? 話を聞いているだけで、温泉に入っている気分になってしまったのかな!?」
ピュアなクリスの、ピュア過ぎる発想に、しばらく悶絶した後。
「だ、大丈夫。まさに、そう。クリスの言う通り、温泉に入っている気分になってしまったわ……。それより、ぜひ土曜日、温泉に案内して頂戴」
え、本当にいいのかな!?
も、もちろん、混浴なんてしないわ。
それにクリスが自分から混浴したいなんて、言うわけがない。
だから、そう。
順番に温泉にはいるだけ。
それなら問題ない。
……クリスの肉体美は……気になる、けど。
「良かった。では決まりだね。みんなには明日の朝、馬車で話すよ」
「ええ、ぜひお願い、クリス」
この会話を終えた後、クリスは甘いキスを私にすると、部屋へと戻っていった。一方の私は……完全に頭の中がクリスと温泉モードになってしまい……。砂漠の町で、クリスが着ていた衣装を思い出し、そこから推定されるクリスの体を想像し、夢の中で……。
大変有意義な夢を見ることが出来た。
昨日に続き来訪いただけた方、ありがとうございます!
この投稿を新たに見つけていただけた方も、ありがとうございます!!
浴衣クリス……♡
コミカライズされたら見られる……。
見たくないですか……!?
12時台更新に続きますっ!

























































