5:クリス最高♡
ブルンデルクで超がつく有名ホテル「フルータホフ」のレストラン!
前世の某格付けの最高ランク、三ツ星を余裕で獲得できるレストランだ。
まずはホテル「フルータホフ」について。
宮殿みたいなそのホテルは、ファザードに並ぶ50体の彫刻が圧巻。その彫像は、ブルンデルクの歴代辺境伯の像だ。勿論、ウィンスレット辺境伯の像もある。いつかここにアンソニーの像も並ぶのだ。そう思うと、当たり前のように一緒にいるアンソニーに対し、畏敬の念が沸き起こる。そしてフルータホフで働いているスタッフ、部屋の作り、アメニティ、サービス。そのどれをとっても五つ星であることは、間違いない。
私はこのホテルの存在も知っていたし、レストランのことも知っていたが、実は利用したことがない。というのもウィンスレット辺境伯は、仕事柄、ここをよく利用していた。つまり、ウィンスレット辺境伯にとって、このホテルもレストランも、仕事場みたいなもの。だからあえて家族を連れて来ることはない。
代わり(?)なのか、城を改装しホテルとして営業しつつ、料理自慢のレストランを持つ「クロンシュホテル」を、ウィンスレット辺境伯家では利用することが多い。ホテルとしての利用ではなく、レストランとして。
クリスもそのことは知っている。だから「私が行ったことがない」かつ「間違いがないレストラン」として、このホテル「フルータホフ」のレストランを、選んでくれたのだと思う。というか、みんな期末考査で頭がいっぱいなのに。このレストランについて調べ、ちゃんと予約までとってくれたクリスに、改めて感動してしまう。
クリスにエスコートされ、ホテル内を進む。
するとレストランの入口が見えてきた。
「ねえ、クリス、ドレスではなくても……大丈夫なのかしら?」
「大丈夫だよ、ニーナ。学生にとって、制服は正装の一つと、この国では認めているからね。それにこのホテルのオーナーのご子息とご息女は、コンカドール魔術学園に通っている。ちゃんと価値を認め、案内してもらえるよ」
そこまでちゃんと調べているとは……。
さすがクリス!
なんだか制服デートの域を超えている気もするが、私は伯爵令嬢で、クリスだって大魔法使い見習い。身分的にこのレストランを利用することは、問題ない。
つい前世の感覚で捉えてしまうが。
ここはどっぷりマジパラの貴族世界のデートということで、楽しもう。
早速、席に案内されると……。
すごい……!
ホテル「フルータホフ」は街中にあり、そこに併設されたレストラン。ところが案内されたテラス席からは、黒い森にもつながるクロンシュ連山が見えている。さらにさらに。手前に広がるのは、見事なバラ園。ほのかにバラの香りが漂ってくるぐらい、バラが咲き誇っていた。
しかも庭園の東屋には、ピアノが置かれている。
そして今まさに、ピアノが生演奏されている。
素敵、すごく素敵……。
ブルンデルクは黒い森しかり、クロンシュ連山しかり、そして避暑地のため、緑も多い。王都とは違い『洗練されている』とか『上品』という雰囲気とは、一線を画すイメージが強かったが……。
クロンシュ連山という大自然を感じ、美しいバラ園を眺めることができる。それでいてテーブルや椅子、クロスに並べられたカトラリーは洗練されており、とても上品。さらにピアノの生演奏もある。まるで王都にあるようなレストランでありながら、豊かな自然も楽しめる。
自然と都会。それが両立している。
完璧です。
このレストランに案内してくれたクリスに感謝だ。
「予約をした時、コースにしておいたから」
もうコースだろうと、なんだろうと構わない。
この空間でクリスと食事をできる。
それだけでもう、大満足だ。
食事の前に、完全に雰囲気だけで満腹になっていたが。
運ばれてきた料理の見た目にまず感動。
まさに映える一品。
そしてそのお味は……。
絶品……!
ソーセージ、生ハム、ローストビーフ、とろっとろっの半熟卵を使ったリゾット。新鮮なフルーツのジュースに、たっぷりの蜂蜜でいただく焼き立てパン。
鳥のさえずりや気持ちのよい風も吹き、もう本当に幸せ。
何よりこの絶品料理を、クリスの笑顔を見ながら食べられるのだ。
クリスの笑顔だけで、おかわり五杯ぐらいいけそうなのに。
あの甘い声で名前を呼ばれ、愛の言葉まで囁かれるのだから……。
二人きりのデート、最高です。
まさにランチタイムにクリスとニーナのお昼ご飯デートの場面を更新できました☆
明日も11時台に『推しからのおねだり』を公開します。
クリスからのおねだりにニーナはメロメロに~~~
溺愛ルート一直線!

























































