51:オレの気が変わる前に。
に、二十の陣形!?
クリスが十の陣形を使っただけでも、驚きだったのに。
アミルは一体どれだけの魔力を使っているのだろう……。
想像もつかない。
でもそれで納得だ。
黒い森からこんな砂漠まで、転移できた理由が。
というか……。
「確かに、その可能性もあるわ。その時はその……魔力の痕跡を、追ってもらってもいい?」
「いいよ。ニーナ。それぐらいなら、お安い御用だ」
お安い御用……。
そう答えられる人物は、五本の指で収まる気がする。
それに……。
さっき婚約指輪に転移魔法がかけられていると聞いたアミルは、とても驚いていた。それはそうだろう。私だってその事実を知った時は、ビックリした。
クリスのすごさはもちろん理解しているけど……アミルもやはり、次元が違う。何より、ずっと気になっていることがある。
「ねえ、アミルっていつ魔法の詠唱をしているの? それに腕にも紋章がないけど……」
するとアミルは、なんてことはないという顔で、説明する。
「頭の中で詠唱している。腕に紋章……。そう言われると、みんな腕に紋章があるな。魔法を使うのに、その紋章を使うのか?」
なるほど。
これが超魔力の強い持ち主なんだ。
紋章がなくても、詠唱もしなくても、魔法を発動できるのか……。
というか、アミルにはあと二人、弟がいるのでしょう。
ギリス王国って、とんでもない国かもしれない……。
「紋章は、召喚でみんな使っているわ。アミルは召喚をしたこと、ある?」
!?
アミルの足元に円陣が出現している!!
「紋章なしでも、召喚できる」
「え、あ、わぁ!?」
アミルの肩に、可愛らしいフェネックがいる。
「召喚と同時に、縮小魔法をかけたから、肩のりサイズだ」
「か、可愛い~」
触れようとする私の手を、アミルが掴む。
「これでも攻撃属性だから。噛みつく」
残念と思った次の瞬間、フェネックの姿は消えている。
本当にアミルの魔力の強さは、半端ない。
「そんなことはいいとして。ニーナはクリスに早く会いたいのだろう?」
こくりと私が頷くと。
アミルが手を伸ばし、私の頬に触れた。
「オレ、この後、母親の魔法を解術したら、学校に通うようにするよ。それでちゃんと勉強して、母親を支え、誰かに迷惑をかけずに、自分の人生を生きて行くよ。そうやって生きていたら……ニーナみたいな女に、出会えるかな?」
「アミル、そのプラン、とてもいいと思うわ! アミルがそうやって正しく生きていれば、間違いない。私なんかよりうーーーんと素敵な女子に出会えるわ!!」
するとなぜかアミルは、大きなため息をつく。
なぜ、ため息を?と首を傾げると。
「ニーナみたいな女、そうはいないと思う。もっと自分の価値を、ニーナは認識した方がいい。……クリスに妬ける」
そう言って私を見つめる、アミルのルビー色の瞳は……あまりに情熱的。思わず視線を逸らしてしまう。
「まったく、ニーナは」と呟いた後、アミルがこんなことを言う。
「オレの気が変わる前に。早く帰れよ、ニーナ」
「わ、分かりました」
気づいたらもう51話目です!
エピソード1の更新スピードを考えると……
ビックリ(゜0゜;ノ)ノ
ということで。
本日更新分を最後までお読みいただき
ありがとうございます!
続きは明日11時台に「クリスのことを想い……」を公開です。
クリス~~~会いたい~~~
ちなみに4月30日は甘々警報発動が
確定していますのでお楽しみに(*/▽\*)
ではでは引き続きよろしくお願い致します!

























































