48:残酷かもしれない。でも譲れない。
涙を拭ったアミルに私は静かに語りかける。
「黒い森で出会ったアンジェラは、アミル、あなたと同じ状態だった。自分より魔力が強い者がいれば消す――アミルがそんな風に考えてしまったように、アンジェラも極端な思考をするように、なっていたの。
アンジェラはこの世界で一番強い魔力の持ち主と結婚し、その子供を産めば、すべて終わると考えていた。以来、いろいろな国を渡り歩き、魔力の強い男性を見つけると、品定めをするようになったの。自分の気分で、男性の運命を決めるようなことをするようになっていた。でもそれは王宮で辛い時間を過ごし、アンジェラの心が壊れてしまった結果だと思うわ」
この話は衝撃的だったようだ。
自身の母親がやっていた行為に驚愕し、そして自身がこれまでやっていたことを振り返ったのだろう。こんな言葉をもらした。
「ニーナ、オレ、母親がどんな気持ちでそんなことをするようになったのか、分かる気がする。でもそれは……間違っていることだ。オレがやっていたことも間違っていた。それを本当に心から理解したよ」
「アンジェラもアミルも、強い魔力に振り回されてしまっただけだと思う。根は悪い人ではないと思うから。理解できたなら、その過ちを繰り返さないようにしましょう。そしてそのことを、アミルからアンジェラにも、伝えて欲しいと思うの」
「え……」
アミルは涙の筋がいくつも残る顔を、私に向ける。
ゆっくりと私は口を開く。
「アミル。私はアンジェラ本人から聞いているの。アンジェラ自身にかかっているとんでもない魔法を、解術する方法を」
一呼吸おいて、再度私は話し出す。
慎重に。
「アミル、これをあなたに教えるのは、私があなたを良き友人だと思っているから。アミルが私を師として仰ぎ、尊敬してくれるから、伝えることなの。確認するわ、アミル。あなたは私を人生の師として思っているのよね? 妻ではなく、友人として、尊敬してくれるのよね?」
この問いかけは……残酷だと思う。
母親の魔法を解きたいなら、私を諦めろと言っているも同然なのだから。
でも、やめるわけにはいかない。
転移魔法を使われ、私は強引にこの部屋に連れてこられた。私の意志などお構いなしで。その上で一方的に妻として娶ると言われた。
私には婚約者がいるのに。クリスがいるのに。
アミルの境遇や生い立ちには同情する。
でもだからといって、私の人生を、クリスとの未来を奪うことを、良しとはできない。
アミルがどう出るか分からず、心臓がドクドクと音を立て、呼吸が浅くなる。
ベッドで私を見上げるミルキーの顔も、不安そうだ。
一方のアミルは……。
顔を床に向け、微動だにしない。
プラジュは静かにこの状況を見守っている。
静寂に包まれた。
ここは音のない空間だ。
静けさは永遠に続くように思われた――。
だが。
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ニーナの問いにアミルは――。
このあと 12時台に もう1話公開します~
【ご報告&御礼】
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月間ランキングは激戦ですね。
前後の作品は書籍化された作品ばかり(OoO;)
その中でワンランクでも順位が上がったのは奇跡。
読者様のおかげです。
いつも応援いただき、心から感謝です!!
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