43:ド直球の言葉に、心底動揺する
一気に畳みかける。そう決めたのでアミルに語りかけた。
「人生の師は、妻とは違うのよ、アミル。私はアミルが尊敬する相手、師なの。だから妻ではないのよ」
かなり飛躍している気もしたが……。
アミルはとても真剣な表情だ。
考えている。すごく考えている。
アミルは素直で、真面目だと思う。
考えに考え、そして顔を上げた。
「……ニーナが言うことは、理解できる。それに尊敬しているから、確かに師だ。人生の師。それは理解できる。でもオレは……ニーナを抱きたいと思う、男として」
ド直球で抱きたいと言われ、心底動揺する。
でもそれをひた隠し、必死に否定する。
「アミル、それはダメよ。私はあなたの師なのだから」
「それはそうだけど……」
再びアミルは考え込む。
あと一押しな気もするけど、無理はしない方が、いい気もする。
「ニーナ、考えさせてほしい」
うーん、あと一歩だったのに。
でも大きく前進したと思う。
「分かったわ。アミルが私を人生の師であると、結論づけることを願っているわ」
そう言った瞬間、安堵からか、お腹が鳴った。
アミルが笑顔になる。
「ニーナ、待っていて。朝食を買ってくる」
「!! それなら私も一緒に行こうかしら? その、二人で、外で朝食はどう?」
「外で朝食。……確かに気持ちいいだろうな」
!! そ、外に出られる! 外に出られたら、魔法が使える!!
「じゃあ、ニーナは服を着替えないと」
「え」
昨日と同じ姿に変身していた。
つまり、アラビアンナイトに出てきそうな肩だし、へそだし、腕だし、すなわち上半身は濃い青のビキニトップのみ。下半身は薄い水色のヒップスカーフに、白のハーレムパンツ、だが透け透け素材という、とにかく露出度が高い服装だ。頭には白の透け感のあるベールと、こちらも昨日と同じ。
「アミル、他の服はないのかしら!? 最初に会った時に私が着ていた服、あれに戻すことはできないの!?」
「うーん。よく覚えていない」
そう言った後、アミルは何度か服を変化させたが……。
とんでもない服に変化していくので、諦めることにした。
召喚をしてもらいたとも思ったが。
何を召喚したいか、アミルが理解していないなら、無理だ。
仕方ない。外に出られるなら、この姿でも。
どうせ出会うのは見知らぬ人ばかり。
それに。
皆、同じような服を着ていれば、私のことなどすぐ忘れる。
「アミル、もう、この服でいいわ。お腹もぺこぺこだから、行きましょう」
「分かった。ニーナ、こっちへ来て」
アミルがベッドを降り、プラジュが駆け寄る。
ミルキーを肩にのせ、アミルに歩み寄る。
!?
アミルの足元には既に転移のための円陣が出現している。
いつの間に……?
というか、今更だけど、アミルの腕に紋章はない。
「ニーナ、早く、こっちへ」
慌ててアミルの横に行くと。
ぐいっと腰を抱き寄せられた。
うーん、さっき私は師だって言ったのに!
いや、まだ考え中か。
そんなことを思っていた瞬間。
あっという間に転移していた。
本日更新分を最後までお読みいただき
ありがとうございます!
奇跡的に外に出られることになったニーナですが。
明日は「どうしよう……。」を 11時台 に公開です。
それでは引き続きよろしくお願いいたします!
【完結!一気読み派の読者様へ】
『モブなのにフラグ回避・やり直し・イベントが
あるなんて、聞いていないのですが……(焦)』
https://ncode.syosetu.com/n2246id/
上記作品、完結しました!
一気読み派の読者様よかったらどうぞ☆
【あらすじ】
目指せ、リア充!
大好きだった乙女ゲームを封印し、
恋人を作るため、大学生デビューを飾った私ですが。
我慢していた乙女ゲーに再び手を出したところ
まさかの事故死。
モブとして、プレイしていた乙女ゲーの世界に
転生することになりました。
すぐそばにヒロイン・悪役令嬢・攻略対象の
イケメンが揃っています。
でも私は背景の一部として
静かに引きこもって生きていこうとしたのですが……。
まさかモブなのにフラグ回避が必要で、
やり直しにイベントまであるなんて、聞いていません……!
なんとか平和に生きたいモブの私が
少しだけ勇気を出し、奮闘し
そして信じられない幸せを手に入れる――。
ほんわか、ものすごく稀にスリリングな物語が
始まります。
まずはプロローグの試し読み、お願いします♪

























































