41:第二のセスフラグがちらつく
アミルが魔力を王宮で暴走させた。
その顛末は……。
「オレを断罪する場には、沢山の王族が集まっていた。王妃や側妃達も。王子達も。ここでオレは、正式に王太子の身分を剥奪され、幽閉されることを、国王から告げられた。王妃や側妃達はお咎めなし。オレはそこにいた全員が、笑っているように感じた。もう我慢できない。だから……居並ぶ王族たちの魔力を、奪ってやった。オレの魔力の強さを恐れたというなら、存分に恐れるがいい、そんなやけくそな気持ちになっていた」
アミルは1年近く、王妃や側妃達の嫌がらせに耐えてきた。途中でガス抜きするようなことも、できなかった。味方はいない。もう、限界だった。魔力を奪ったことが正解だと、断言はできない。ただ、限界だった、それはよく理解できた。
「それからだ。オレには魔力の強さしかないと思うようになったのは。魔力の強さが、オレの存在意義だと思うようになった。だから魔力が強い者がいると、不安になった。オレの存在意義が揺らぐような気がして。ニーナが言う通りだ。相手から魔力を奪うことができれば、オレの方が魔力は強い。オレの存在意義を証明できる。そう思うようになったし、今もその考えは……変わらないが、ニーナに言われて、変える方がいいのかなと思えている」
アミルが頬を赤らめ、私を見た。
その様子に、胸が苦しくなる。
私は……アミルから逃げるつもりだ。
そのために、クリスと別れるという嘘をついている。
私の嘘に気づいたら、アミルはどうなってしまうのだろう……。
「ニーナがオレを認めてくれれば、別に魔力が強い者がいても、どうでもいいと思えてきた。それに母親のことも……。結局、憎しみ続けながら生きてきたけど、今の姿を見たら……。道連れにしようとかそんなことより、なんでオレや弟をおいて、いなくなったのか、その理由を聞きたくなっていた。今はそれだけだ」
どうしよう。
アミルが考え方を改めるきっかけが、すべて私になっている。
これは……とてもまずい状況だ。
第二のセスフラグがちらつく。
マジパラにそんなフラグ、なかったハズなのに!!
「……本題だけど、ニーナ」
瞳をキラキラさせながら、アミルが私を見る。
その瞳は、セスのことを彷彿させる。
つぶらな瞳を私に向けた、セスみたいだ。
こんな目で何か頼まれると、私がノーと言えないことを、アミルも知っているのでは!?
「オレは……偽物だったけど、あの側妃に抱きしめられた時、とても心が安らいだ。だからニーナに抱きついてしまったのも、その……安らぎが欲しかっただけなんだ。でもニーナが抱きつくなと言うなら、今は我慢する。ニーナが妻になったら、いくらでも抱きしめられるから」
あああああ。
どうしたらいいのだろう!?
安らぎを求めた……それは百歩以上譲って、仕方ないのかもしれないと思える。
で、でも。
妻になったら、いくらでも抱きしめられる!?
母親に求めた安らぎを、妻に求めるのは違うでしょ、という気持ちと。
私を妻にする気満々で、妻にしたら溺愛するつもりのアミルに対し、私は逃げる気満々なのに。アミルから逃げることはできても、その後のアミルの行動を想像すると、背筋が凍る。
裏切られた。これだけ信頼したのに裏切られた。
きっとそう思い……。
コロサレルカモシレナイ。
そんな想像で血の気が引きそうな私に対し、何も気づいていないアミルは、瞳をキラキラさせたまま懇願する。
「頼む、ニーナ。一緒のベッドで寝ることだけは、受け入れて欲しい。ただ、同じベッドにニーナがいてくれる。それだけでもオレにとっては、癒しだから」
うわーん! そーゆうお願い勘弁して欲しい!
絶対にノーと言いにくいお願いじゃない!!
それにあんな過去の話を聞かされて。
その上で、ノーと言えますか!!
いや、ベッドうんぬんの前に。
いろいろこじれてきている件を、まずは訂正しなければ。
昨日に続き来訪いただけた方、ありがとうございます!
この投稿を新たに見つけていただけた方も、ありがとうございます!!
アミルとセスの姿が重なるニーナ。
はたしてこのこじらせ具合に対処できるのか!?
このあと 12時台に もう1話公開します~
【御礼】
ブックマーク登録いただいた読者様。
いいね!していただいた読者様。
応援、ありがとうございますo(⁎˃ᴗ˂⁎)o
今朝の 月間 恋愛異世界転生/転移ランキングBEST300で
47位でした~!
いつも応援いただき、心から感謝です!!

























































