13:どうして僕はニーナに嫌われている?
ティーカップを口に運んだウィリアムは、首を傾げた。
「もしかしてもっと王国史を聞きたかったか?」
「それは……面白かったのは事実です。他の生徒にも聞かせたいと思うぐらい」
「そうか。それは良かった」
ウィリアムは朗らかな笑顔になる。
「君のことは……ニーナと呼んでいいのかな?」
「はい……」
「僕のことはウィルと呼んでくれて構わない」
「はい……」
王族をニックネームで呼ぶ!? 驚いたがとりあえず返事をした。
「ニーナ、初対面だと思うけど、僕のことを何か知っているのか?」
「いえ、何も」
「何もってことはないだろう? これでも僕は王族だ。王族って言うのはよくも悪くも注目が集まるから。何か僕に関して悪い噂でも聞いたか?」
「いえ、特には」
ウィルは参ったなという表情で、背もたれに体を預けた。
「そうか。ではどうして僕はニーナに嫌われているのかな?」
「……!」
「王国史の話を聞いていた時は、あんなにいい笑顔をしていたのに」
途端に申し訳ない気持ちになる。
こうやって話してみただけでも、ウィルはとてもイイ人に思える。
王族だからと偉そうにすることもなく、気さくだし、話も面白い。誰かのために紅茶を入れることもできるし、親切で優しいと感じる。それにサボると言いつつ、ちゃんと王国史を教えてくれたし、真面目だ。
だから、ウィル本人が嫌いわけではない。
ただ、ウィルがマジパラの攻略対象の一人であり、急に現れたことを警戒しているだけだ。
「……ごめんなさい」
「何か理由がありそうだな。それは僕には話せないことか?」
私は逡巡する。
でも悶々と悩むより、この機会に聞いてしまえば、どんな答えを得ようと、楽になれそうな気がする。
「その……ウィルは、なんのためにここへ来たのですか? 3年生のこのタイミングで転入生なんて、珍しいと思います」
「……そうだな。これは機密事項だし、本来口にすべきことではないのだが……。どう考えてもニーナ、君は関係者だ。だから、話そう」
関係者という言葉が気になる。
やはり私は本来王都にいるべきで、王立イエローウィン魔法学園にいるべきだったから……。
緊張で組んだ手に力が入る。
「僕はある人物を探すため、ここにやってきた」
やはり、悪役令嬢を、私を探しにきたのか……。
「その人物はこの国にとって、とても重要な人物だ」
重要……。悪役令嬢はそこまで重要だろうか?
「彼が姿を消したのは3年前だ。『ネモフィラの花畑の約束』。これを果たしたら、王命を拝するという約束だった」
うん?
彼? 『ネモフィラの花畑の約束』!?
「彼は僕にとっては本当の兄のような存在だ。血のつながる兄弟よりも、彼こそが自分の兄だと思うぐらい。強い魔力を持ち、幅広い魔法が使えて、そして騎士としての鍛錬も積んでいて。なぜ姿を消すことになったのか、その理由も原因もよく分からない。今も、彼の捜索は続いている。そして僕はここに、ブルンデルクに、彼につながる手がかりがあると思い、やってきた。父上と母上を説得してね」
この話を聞いた私は……。
「あの、私を王都に連れ戻すために来たのではないですか?」
「え……君を? 何のために?」
質問したことを激しく後悔する。
さっきウィルは本物の兄のように慕う“彼”を探してここに来たと言ったではないか。
なぜ、聞いてしまったのだろう。
「でも……場合によっては、君に王都に来てもらうことになるかもしれない」
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次回は「魔法にかけられて」を公開します。
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