36:オレを見て、興奮したのか?
まさかアミルは私に魔法を使ったの!?
「使っていない」
「ではディオニシアの効果って、なんのことですか?」
アミルはふうっとため息をついたが、なぜか笑顔になる。
「ニーナって、いろいろ鋭いな。でもそんな風にオレを問い詰める奴はいないから、新鮮だし、嬉しいよ」
「それは……。アミルの周りにいる人達は、アミルの魔力の強さを知っているから、恐れているのでは? でも私は知らないですから……」
「ニーナも、オレの魔力を目の当たりにしたら……」
「私は、公正に判断します。誰かを傷つけたり、貶めたりするために使う魔力であれば、それは大小に関わらず、許しません。でも誰かを守るためだったり、自分が死ぬのを回避するためだったら、それは仕方ないと思います。これは一応の判断基準です。実際はこの目で見て、判断すると思います」
しゅんとしていたアミルの顔が、ぱあっと明るくなる。
明るくなり……。
「ニーナ!?」
「急に抱きしめないでください、って言いましたよね?」
抱きしめようとしていると察知できたので、素早く逃れた。
アミルは「むう」と不貞腐れた顔をしたが。
「ディオニシアというのは、花の名前だ。バスルームにあっただろう、黄色の花が。あの甘い香りに催淫効果があると言われている。さっきみたら、花びらが一枚落ちていた。だからニーナは、あの花の香りをかいだと思った」
「え、そうなのですか!? 私は……確かに少しかぎましたが、ミルキーが……」
すぐさま爆睡しているミルキーを抱き上げ、アミルに見せる。
アミルはミルキーを受け取ると。
「ディオニシアの催淫効果は、異性を見た瞬間に作用すると言われている。ミルキーはオスだろう? それでまあ、ニーナをメスと認定した。それで多分、勝手に盛り上がって、気持ち良くなって果てた。で、今、爆睡しているのでは? とても満たされ、幸せな気持ちで」
ミルキーの頭を優しく撫でながら、アミルがしれっと口にした言葉に。
私は衝撃を受ける。
ミ、ミルキーが私をメス認定!?
しかも果てた……って。
愛らしいミルキーのイメージが、ガラガラ崩れる。
それでも。
ミルキーが私の守護霊獣であることに、変わりない。
この件は……聞かなかったことにしよう。
「放っておいても問題はない。いずれいつも通り目を覚ます」
アミルからミルキーを受け取ると、先ほどのクッションへ戻す。
「一方のニーナはどうだったのだろうな? 催淫効果は満たされれば消えるし、少量しか香りを吸い込んでいなければ、時間経過で消えるが」
ニヤリと笑ったアミルは、再び私の腕を引いて、ベッドへと引き寄せる。ミルキーの件で油断しており、腕を掴まれることを、回避できなかった。
「オレを見て、興奮したのか、ニーナ?」
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