35:どこに行くつもりだ!
クリス……?
そう思ったが。
ナツメグや白檀を思わせる甘い香り。
クリスじゃない!!
「もう、やめて! そうやって急に抱きしめたりしないでください。私は伯爵令嬢なんです。紳士的に振舞ってください」
「なんだ、もう効果は切れたのか」
アミルはあっさり、私から離れた。
驚き、振り返り、驚愕する。
「ふ、服、服を着てください!」
「着ているだろう?」
「白いハーレムパンツしかはいていませんよね!?」
つまり上半身は裸。
「だってこれから寝るんだ。オレはいつもこのスタイルで寝る」
アミルはそう言うと、そのままベッドに横になった。
な、寝る時は上半身裸なの!?
衝撃を受けるが、砂漠の民のことを、私はよく知らない。
もしそういう慣習であるならば、文化の違いだ。文句は言えない。
というか……。
「あの、寝るって、ここで?」
「そうだ。ニーナも、もう寝るだろう? 飯も食ったし、風呂にも入った。後は寝るだけだ」
その通りであるが……。
部屋をぐるりと見渡す。
それなりに広い部屋だ。
前世だったら、ワンルーム3部屋分ぐらいの広さだ。
だが。
ベッドはこれ一つしかない。
当然と言えば、当然だ。
何せこの部屋は、アミルを幽閉するための部屋なのだから。
無言で立ち上がり、ローソファに向かおうとしたが。
腕を掴まれ、ベッドへ引き戻される。
「どこに行くつもりだ、ニーナ?」
結局、後ろから抱きしめられているような状態になる。
だが、さっきのように、心臓がバクバクすることはない。
「どこに行くって……。私はこの部屋から出られませんよね?」
「それは……そうだ」
「ローソファに、行こうと思っただけです」
「なぜ……?」
真顔で尋ねることに、驚愕する。
未婚の男女が同じベッドで寝るなんて、あり得ない。
その常識が、もしや通用しないの!?
通用しない……のかもしれない。
よくよく思い出すと、アミルは「この国は一夫多妻制が認められているが、オレは一人の女しか愛するつもりはない」と言っていたのだから。もちろん、メリア魔法国は一夫一妻制だけど。
とにかく文化が違う。考え方が違う。価値観が違う。
仕方ない。
ゆっくり私はアミルの腕をほどく。
そして後ろを振り返り、アミルと向き合う。
「私が暮らしているメリア魔法国では、未婚の男女が同じベッドで寝ることは、基本的にありえないのです。ですから、私はあちらのローソファで寝かせていただきます」
「それは……この国だって同じようなものだ」
!?
一緒なの!?
それなのに同じベッドで寝ようとしたの!?
「同じ……。それならば理解いただけますよね。私が」
「面倒だな」
何!?
「ディオニシアの効果が続いていれば……」
!?
どういうこと!?
もしや……。
「アミル、あなた、まさか、私に魔法を使ったの!?」
さっき信じられないぐらい私がアミルに興奮した理由。
それは魔法をかけられていたから!?
ぬおーん!
切りがいいところを目指しましたが。
そうなると今日、あと何話公開するのかしら!?
という状態になるので
本日はここまでにさせてください~(^▽^;)
ただ、続きが気になってくださる読者様もいる
かもしれない、と思い。
初更新の時間帯、朝に公開します!
明日、朝7時台に「オレを見て、興奮したのか?」を公開しますね。
少しでもお待ちいただく時間が短くなるといいなと思いつつ。
それでは引き続きよろしくお願いいたします~!

























































