30:勘違いで連れ去られた!?
プラジュが私を見つけた?
な、なぜそこで私なの!?
伯爵令嬢なんて、大陸を見渡せば、相応にいるだろうに。
それに伯爵令嬢にこだわらなければ、令嬢だったらた~~くさんいるのに!
抗議の目で、プラジュを見る。
プラジュの目は、私の指輪に注がれている。
まさか。
まさか、と思う。
プラジュは、この指輪の魔力を、私の魔力と勘違いした?
アミルは魔力が強い。
自身が強い分だけ、妻となる女性にも、魔力が強い相手を望む。それはもう、本能的にそうなのだから、仕方ない。でもだからって……。
「だが、オレにも生きがいがなかったわけじゃない。オレより魔力が強い奴が」
「アミル!」
若干ブチ切れ気味で、その名を呼んでいた。
勘違いで連れ去られ、その上で無理矢理娶られるなんて最悪な事態に、前世の本性が出てしまった。
「自分より魔力が強い奴を殺すとか、訳わからないのですが! 殺すことができた=オレの方が強い=オレが存在する意味がある。そんな考え方なら、今すぐ改めてください。人殺しに使う魔力があるなら、もっと別のことに使ってはどうですか?
例えばここ、砂漠なんですよね!? だったら緑の森に変えましょうよ、魔法で。そうすれば沢山、美味しい果物も実るし、多くの生き物が暮らせます。人もここに住めるようになりますよね。一人ぼっちじゃ、なくなるじゃないですか! 第一、人殺しをしているような人と、誰が結婚したいと思います? 魔力暴走うんぬん以前です。アミル、あなたと結婚したくないと思う理由、それは魔力暴走ではなく、あなたの横暴さが原因だと思います!」
言い切った瞬間。
何かをされると思った。
だが。
「……ニーナ、お前は……」
アミルの瞳が潤む。
え、なんで!?
「そんな風にオレと向き合い、叱ってくれる奴なんて、これまでいなかった……。ニーナ、ありがとう」
そう言ったアミルに、抱きしめられた。
「ちょ、アミル、離して!」
「やだ!」
「離してってば!」
「ダメだ!」
「なんで!?」
「ニーナのことが好きだから」
なんだかもう、こうなるとアミルは、ただのガキにしか思えない。
「それにニーナ。オレは、人殺しはしていない」
「!? 散々、殺す、殺す、と言っておいて、今さら!?」
「殺すとは言っていない。消す、だ」
なんなのよ、言葉遊び?
呆れすぎて、思わず脱力する。
「……まあ、魔力は奪った。だから魔法使いとしては、死んだも同然だ。だから消すと言っているが、みんな魔力を失い、ただの人間になっただけだ。王宮にいる奴らのほとんど全員が、今は魔力がない、ただの人間だ」
とんでもない情報を聞いてしまった。
これはギリス王国の根幹に関わることでは!?
つい、アミルの言葉に力を緩めてしまったが。
再度、その体を押し返す。
「魔法使いとして死んだも同然にするなら、それは確かに殺すも一緒よ。止めなさいよ、そんなこと」
「じゃあ、奪った魔力を戻せばいいか?」
「!? 戻せるの!? というか、奪えること自体、聖獣並なのに、戻すって……」
するとアミルは楽しそうに笑う。
「オレにとっては、当たり前にできることだったが、そうか。すごいのか。まあな、気が向いたら、戻してやるよ。だがな、奴らも悪いのだから」
「アミル、もういい加減、離して。トイレにも行きたいし、入浴したいの、私」
「な、そうなのか。それは早く言えよ」
顔を赤くしたアミルが私から離れる。
なんだ、トイレや入浴したいと言えば、離してくれるわけ?
ちょっと拍子抜けする。
拍子抜けしながらも立ち上がり、重要なことを思い出す。
「服を、元に戻してください。それに着替えもないのですが」
「元に戻す? それは無理だ。それにこの国の女性はみんな、この服だ。郷に入っては郷に従えだ」
「!? 何ですか、その言い分は!?」
「着替えは用意しておく。文句は言わせない。文句を言うなら、裸で過ごしてもらう」
「な……!」
だが実際、この部屋に、服にできそうなものはない。
裸で過ごすなんて……裸族ではないのだ。無理!
頭にきてアミルを睨んだものの、そのままバスルームへ向かった。
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俺様アミルに振り回されているニーナ。
この後、どうなるのでしょうか?
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