２２：ある人物に重なってしまうのだ
あの眉目秀麗男子は、間違いなく魔力が強そうだった。
何せこの部屋で、自分以外の魔力使用を禁止するような魔法を展開しているのだから。
他者の魔力を抑えるということは、他者を上回る魔力を持つからできること。私の魔力を抑えている時点で、眉目秀麗男子の魔力が、私より上であることは確定している。
私は一応、魔法で使う陣形で、通常は五までのところ、七まで使えるのだから、相応に強い魔力の持ち主のはず。その魔力を超えているのだ。
そうなると……クリスと同レベルぐらいの強さなのではないか。そうであるならば。この部屋への転移など、簡単に許すはずがない。
つまり、クリスが私の居場所をこの部屋だと掴んだとしても。助けるために、転移魔法でここに来ることは、無理だと思った。仮に転移魔法でここに来ることが出来ても……。あの眉目秀麗男子が、すぐに現れる気がした。そうなるとクリスとあの眉目秀麗男子は、戦闘になるだろうが……。
ここはギリス王国。
いくら私をさらわれたとはいえ、次期大魔法使いという立場のクリスが、他国に不法侵入した上に、戦闘を始めるのは……穏やかな話ではない。
当然、外交問題に発展するだろう。
では正しい手続きをとって、ギリス王国にクリスが入国するのは……。
それはそれで難しいと思った。
クリスが強力な魔力を生まれ持つ『奇跡の子』であることは、機密情報だ。だが現在のクリスの肩書きは、大魔法使い見習い。つまり魔力が強いから、次期大魔法使いとして見習い中ということになる。
そんな魔力の強い者を、ギリス王国がそう簡単に入国させるとは、考えられないのだ。
そうなると正規の手続きをとったとしても。クリスが助けに来てくれるには、時間がかかると思う。もしそこでモタモタしていると、クリスも私もピンチになる。つまりクリスはあの眉目秀麗男子に命を狙われ、私はあの男子の妻にされてしまう。
左手のクリスがくれた婚約指輪を見る。
この指輪には、解術するのに千年はかかる魔法がかけられていると、眉目秀麗男子が言っていた。クリスは一体どんな魔法をかけたのだろう？
この婚約指輪を見て、あの眉目秀麗男子は、クリスの存在に気づいてしまった。もちろんクリスが『奇跡の子』であるとは、バレていないだろう。でも魔力が相当強いということには、気づかれてしまった。
そして。
これまた今は考えるのをやめようとしていた言葉を思い出してしまう。
――「この世界に、オレより魔力が強い男はいらない。オレより魔力の強い男がいたら、消す」
――「すぐに見つけ出し、その男を消し、お前をオレの妻として娶ろう」
眉目秀麗男子はクリスを見つけ出し、殺すつもりでいる。
あの男子とクリス、どちらの魔力が強いのか。
クリスの方が強いと思う一方で、あの眉目秀麗男子が只者ではないと感じていた。
あの男子は何者なのだろうか？
年齢的には私と同じぐらい見えるが……。
『奇跡の子』は、100年に一度、誕生するかしないかだと言われている。でもなんというか、あの眉目秀麗男子がギリス王国の人間であり、自分より強い魔力を持つ男は消すとか、私を妻として娶るとか、ぶっ飛んだ発想をするから……。
ある人物に重なってしまうのだ。
そう、『ギリス王国の奇跡の子』『ギリス王国の気まぐれの魔女』と言われるアンジェラに。
なんというか、あの眉目秀麗男子が、アンジェラの男子版に思えるのだ。
つまり……。
あの男子もまた、『奇跡の子』ではないのかと。
もしそうであれば、クリスとあの男子の戦闘はどうなるのだろう？
ニーナを巡り
イケメン『奇跡の子』二人が対決!?
次回は「うーん、どうなるの？」を
明日、１１時台 に公開します!!
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★アルベルト視点 完全新エピソード 明日公開★
『断罪終了後に悪役令嬢だったと気付きました！
既に詰んだ後ですが、これ以上どうしろと……!?』
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アルベルト視点で69話と70話をつなぐ69.5話
つまり完全新エピソードを
４月１６日（日）１２時台
公開となります。
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