17:ブルンデルクの三大貴公子
今日は昨日と同じ、守護霊獣の保護活動。
朝食を終えたら、みんなでまた黒い森へ向かう。
今日の予定はこの保護活動しかない。
だから陽があるうちは活動を行う。
順調にいけば、今日で保護活動は終わるだろうとウィルは言っている。だがその分、忙しい一日になりそうだった。でも魔力の回復のためにチョコレートを沢山持っていくし、クリスの魔法で、ズルもすることになっている。
クリスは自然界に存在するエネルギーを魔力に変え、自身の魔力として使うことが可能だった。さらにこれまたクリスだから使える回復魔法で、他者の魔力の回復もできた。とはいえ、回復魔法は、術者であるクリスへの負担も相応にある。やみくもに使う魔法ではない。しかし今日は特別にこの魔法を使い、守護霊獣の保護活動を、一気に終えてしまおうということなのだ。
ということで準備を進める。
今日もミモレ丈のスカートにブラウス、そしてブーツだ。朝食をとるために部屋を出ると、丁度、ジェシカとアンソニーも部屋から出てきた。
ジェシカは私と同じ装い。
白のシャツにフォレストグリーンのミモレ丈のスカートに茶色のブーツ。
ちなみに私のシャツはパウダーピンク、スカートはライラック色で、ブーツはグレーだ。一方のアンソニーは、白シャツにスカイブルーのジレとズボン姿だ。
「おはよう、ジェシカ、ニーナ」
「おはようございます、お兄様、ニーナ」
「おはようございます、アンソニー、ジェシカ」
挨拶の言葉を交わし、ダイニングルームへ向かう。
日曜の朝はパンケーキというのが、ウィンスレット辺境伯家の定番だ。
ジェシカと私は蜂蜜やクリームをたっぷりつけて食べるが、ウィンスレット辺境伯とアンソニーはバター、ウィンスレット辺境伯夫人は木苺のジャムがお決まり。
朝食を終えると身支度を整え、エントランスへ向かう。
朝から目の保養になるなぁ。
エントランスにはクリスとウィルが待っている。
優美で端正なクリス。
精悍でハンサムなウィル。
ここにアンソニーを並べれば、ブルンデルクの三大貴公子という感じだ。
クリスの今日の装いは、ライラック色のシャツにディープロイヤルパープル色のジレとズボン。黒革のロングブーツもよく似合っている。ウィルは白シャツに、グリーン×黒のチェック柄のジレと揃いのズボン。ミドル丈のブーツはオーカー色だ。
全員揃ったところで、馬車へと乗り込む。
馬車の中で、ウィルとジェシカは、いい雰囲気で話をしている。
昨晩の舞踏会で、一曲目のカドリールを踊ったのは、ウィルとジェシカだった。
ジェシカのドレスはとても美しかった。オフホワイトのドレスには、小さな薔薇がプリントされ、裾のレースはウィルの瞳と同じオパールグリーン。ウエストにあしらわれた大きなリボンもオパールグリーン。そして髪飾り、ネックレス、イヤリングには、発色のいい宝石のグリーンオパールがあしらわれていた。
そのドレス姿でウィルとダンスするジェシカは、輝くような笑顔。ウィルもジェシカの笑顔に応え、二人のダンスは息もあい、本当に素晴らしかった。
ダンスの後、ウィルはブルンデルクの上流貴族たちに取り囲まれ、ジェシカは沢山の男子からダンスに誘われ、それぞれ忙しそうだったが……。少しできた隙間時間に二人は会話し、ダンスをしていた。
その時の二人も、とてもいい感じで……。
今も笑顔でウィルを見るジェシカは、本当に可愛らしかった。
ジェシカとウィルが結ばれるといいな。
またもそう思っていた。
◇
黒い森に着くと、前日と同じ、拓けたあの場所を目指し、歩き出す。
クリスと手をつなぎ、でもなんとか腰砕けにはならず、あの場所に辿り着いた。残りのみんなも問題なく、到着した。
「よし。始めようか」
ウィルの言葉にクリスは頷き、銀狼を連れ、魔法の詠唱を始める。
「増幅魔法展開 全方位 <八の陣形>」
魔法の詠唱をする時のクリスの声は、本当に凜としていてカッコいい。それにキリッとした表情もまた、堪らない。
「ウォウォーーーーーーーーン」
銀狼が遠吠えで守護霊獣に呼びかける。
「さあ、始めるぞ」
ウィルが上空を見上げると。
早速、鳥の守護霊獣が姿を現した。
ポケットから顔を出すミルキーの頭を撫でていると。
小型の小動物の守護霊獣の姿も見えてくる。
昨日と同じように、保護活動が始まった。
本日もお読みいただきありがとうございました☆
明日、物語が大きく動き出します。
ということで次回更新タイトルは……。
「え、わ、えっ、あ」
こちらを 11時台 に公開します。
次回、何かが起きます……!
今は嵐の前の静けさです。
それでは引き続きよろしくお願い致します!!

























































