12:久々に見たあの夢
皆で楽しいランチタイムを終え、屋敷に戻ると、休憩タイムになった。全員、相応に魔力を使ったので、体を休める、すなわちお昼寝をすることに。
今晩は延び延びになっていた、ウィルとクリスの歓迎を兼ねた舞踏会も行われる。そのためにもゆっくり休息をとっておく、ということだ。
部屋に戻った私は、寝間着に着替えると、すぐにベッドへ潜り込んだ。寝る前にチョコレートもいくつか食べた。これで1時間も眠れば、魔力は回復するだろう。
そう思い、眠りにつく。
夢を見た。
すっかり記憶を取り戻した私は、あの『ネモフィラの花畑の約束』の夢を、見ることはなくなっていた。
だが久々に、あのネモフィラの花畑が、夢に現れた。
いつ見ても、美しい花畑に息を飲む。
優しい風にそよぐネモフィラは、まるで碧い宝石のように、陽光を受け、輝いている。
「ニーナ」
声に振り返ると、そこにクリスがいる。
少年クリスではなく、18歳の、今のクリスだ。
しかもクリスは……。
白いシャツに、瞳と同じ色の、クラヴァット、ジレ、ズボン。そして白いフロックコートに白のロングブーツ。その姿は、マジパラの舞踏会シーンでも見たことがある。それに『ネモフィラの花畑の約束』を交わした時、少年クリスがその装いだった。
だが改めて今、見てみると……。
なんというか、結婚式の新郎のように見えてしまう。
クリスの姿が、そう見えてしまったからだろうか。
私もまた、『ネモフィラの花畑の約束』を交わした時に着ていたドレス、それはクリスの魔法でアレンジされたもので、白の生地にライラック色のレースが飾られたドレスを着ていたのだが。
ウェディングドレスを着ているような気分になってしまう。
というか、もうその気分になってしまったから……。
腕には、いつの間にかウェディンググローブをつけている。
手には、ネモフィラで作られたブーケを持っている!
頭には、純白のベールまで被っている!!
「ニーナ、とっても綺麗だよ」
しかもクリスが、私のウェディングドレス姿を見て、綺麗だと喜んでくれていた。
これは夢だと自覚している自分がいるのに。
夢だって構わない。こんなに素敵な夢なら満喫しよう!
――そんな自分も、自覚できている。
というわけで。
結婚式を挙げる気満々で、クリスと手をつなぎ、歩いて行くと。
いつの間にか花畑には教会が現れ、その入口に見知った顔が並んでいる。
ウィル、ジェラルド、ジェシカ、アンソニー、メグ、ウィンスレット辺境伯夫妻、ケイトもいる。セスや兄、両親、グレッグ、フランシス王太子、国王陛下夫妻までいる!
そしてなぜか牧師はフィッツ教頭で。
そこで吹き出しそうになりながらも宣誓を行い、指輪の交換をして、誓いのキスを……。
夢なのに、なんてクオリティが高いのだろう。
夢を生み出す自分の意識の素晴らしさに、感動してしまう。
誓いのキスを今、まさにしているのだが。
クリスの唇の柔らかさ、温かさ、潤い、その再現度が半端ない。
ファーストキス以降、クリスと何度もキスをしたから。
脳内の再現も、完璧にできているのだろう。
本当に、クリスとは何度キスをしたのだろう……?
もう分からない。
最初は3度目のキス、5度目のキスと、胸をときめかせカウントしていたが。クリスはキス魔だったので、あっという間にその回数は、二桁を超えてしまった。
前世では喪女だったのに。
そんな過去は、あっという間に上書きされた。
でも不思議なことに、何度キスをしても、ときめいてしまう。
慣れることなく、常に心臓はフルスロットル。
そのうち慣れて、心臓への負担は減るだろうと思ったが、そんなことはない。
クリスとのキスに慣れなんてない。そう断言できる。
そして何度キスをしても、足りない!!と感じてしまう私は……。
結婚式の誓いのキスなのに、もっとキスをしたいと、クリスに抱きつこうとして……。
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このあと 12時台に、「大魔法使いクリストファーは猫タイプ」を公開しますニャー。
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