8:守護霊獣の保護活動
私達が今いる場所は、「黒い森」の代名詞とも言える、トウヒの木で囲まれた草原地帯になっている。ハヌカススキ、ハナシノブ、ヤツシロソウなどが生えており、見晴らしもいい。
ここに黒い森のあちこちにいるであろう、召喚者から捨てられた守護霊獣を集めるのだと言う。
その方法は……。
クリスの守護霊獣である銀狼が、他の守護霊獣に呼びかける。呼びかけるといっても、その声が、この黒い森の隅々まで届くわけではない。そこはクリスの魔法で、増幅させる。この呼びかけに集まってきた、守護霊獣の召喚者を探すのは、クリス、ウィル、十人の魔法騎士、そして私だ。
守護霊獣と召喚者の間には、パートナー契約が結ばれている。その契約の証として、守護霊獣には召喚者の魔力の痕跡が残っており、それを辿ることで、召喚者が誰であるか分かるのだ。
この時に使う追跡魔法は、相応の魔力を使うもの。よって誰もができるわけではない。私はマジパラの設定通りの魔力に戻っている。それに「この魔法は、ニーナなら使える」と、ウィルに言われている。
その一方で、アンソニーとジェシカでは、追跡魔法は、まだ難易度が高いという。だから二人は残りの魔法騎士と共に、転移魔法を使い、守護霊獣保護施設へ、保護した守護霊獣を、転移させる役割を担う。
守護霊獣保護施設は、ウィルがブルンデルクに戻ってすぐ、立ち上げたものだ。筆頭公爵家であるディクソン家は、ブルンデルクに三つの別荘を所有している。その中で一番小ぶりの別荘を借り受け、そこを一時的に守護霊獣保護施設として、使うことにした。
そこには魔法騎士が常駐し、召喚者へ召還状を送る。そして保護された守護霊獣を迎えに来た召喚者から、罰金を受け取り、再教育をする場になっている。ちなみにもし再び守護霊獣を捨てるようなことがあれば、その召喚者と当該の守護霊獣のパートナー契約は破棄され、二度と守護霊獣の召喚ができない魔法を、かけられることになっている。
というわけで早速、クリスが銀狼を連れ、魔法の詠唱を始めた。
「増幅魔法展開 全方位 <八の陣形>」
クリスの足元に広がる円陣は、七色に輝いている。それはギリス王国の気まぐれの魔女アンジェラを迎え撃った時と、同じものだ。
「ウォウォーーーーーーーーン」
銀狼が遠吠えで、守護霊獣に呼びかける。
その声は増幅し、森を抜け、黒い森を囲む山に反響し、山彦となってさらに響き渡る。その様子を見たアンソニーとジェシカが、ため息をもらす。
「増幅魔法を全方位で、しかも八の陣形!? 陣形は五までと授業では習ったのですが、まさか八があるなんて……」
絶句するアンソニーに、ウィルが答える。
「アンソニー、僕が知るクリスの使う陣形の最大は、十だ。でもそれは3年前のことで、もしかするともっと変化しているかもしれない。今、八の陣形にしたのは、ここの地形を考え、八で事足りると、判断したからだ」
「「十の陣形!?」」
アンソニーとジェシカが絶句する。
その気持ち、よく分かると私は思わず何度も頷く。
私もクリスが十の陣形で防御魔法を展開した時、同じように驚いたのだから。
「!!」
その場にいた全員が、反応することになる。
銀狼の呼びかけに、それぞれの守護霊獣が反応したのだ。
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このあと 12時台に、もう1話公開します!
クリスに手順を教えてもらうニーナ。
その姿が素敵過ぎて瞬殺されてしまい……。
続きは12時台に☆
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