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3匹のキツネ

 そこは、どこの惑星か――ミューズと似ているものの、一つひとつのビルの高さはその足下にも及ばず――例えるならば竹と筍、といったところか。それでも、ビル群が密集していることには変わらず――ゆえに、遮るのは夜空ではなく大地のみ。

 点々と瞬く街明かりを眼下に踏みしめ、みっつの人影が地上を睥睨している。頭頂まですっぽりとフードをかぶったひとりに、ふたりが寄り添うように跪いて。屹立しているのはおそらく、カスガ参謀をも屈服させた“彼女”だろう。

 だが、よく見ればひとりは跪いているように見えて――実のところ、ただしゃがんでいるだった。その視線は宇宙の星々へ向けられ、気持ちよさそうに目を細めている。だが――ピクピクっと震える尖った耳は紛れもなくツネークスのものだ。

 そして、もうひとりもまた頭頂にキツネ耳を掲げている。こちらはきちんと膝を突いて面を伏せているが――その耳先は力なく下を向き、表情は不服そのものだ。

「お願いします、オレにアイツと……っ!」

 暗がりにふわりとスカートのシルエットが浮かぶ。口調は男らしいが、発言しているのは女子らしい。そんな彼女からの抗議を受けて、フードの上官は――微動だにせず、ただ視線だけ寄越す。闇に沈む闇の中から鋭い瞳でギロリと見下ろしながら。

「私は、指示を待て、と言った」

 その静かなる一喝は、男勝りの彼女さえ口を噤ませる。そんな部下を上官はそれ以上一瞥することさえない。ただ、独り言のように。

「必要があれば、呼ぶ。それまでは、待機。……返事は?」

「……はい」

 悔しそうに歯を食いしばり、スカートの彼女は答える。そして、代わって声をかけられるのは、しゃがんでいるもうひとりの方。

「それじゃ、行く」

「オゥ!」

 しゃがんでいたツネークスは、しっぽをフワリと振って応じる。そして――


 タンッ


 月明かりの中に、“彼女たち”は飛び立った。暗い輪郭しかわからないが、大きな耳と尻尾――ツネークスとしての特徴を除けば、出るところは出て、くびれるところはくびれている女性体型がふたつ。

 そして――暗いステージに残されたのはローブの抜け殻と、悔しそうに拳を握り締めるひとりの少女だけ。そんな彼女は震える手付きで――ぐいと力強くハンチング帽をかぶった。感情が溢れ出しそうな目元を隠すように。


       ***


 さて、こちらは例によっての小型宇宙船。星の海の航行中に、またもいざこざが発生しているらしい。

「急いで! 一直線に最短ルートで行くのよ!」

「けど~、そんでも間に合わないってー」

「ワープでも何でも使いなさい!」

「ぐぇ~」

 ダッシュボードに埋め込むように、ユウはS.K.の頭を上からグリグリと押さえつける。機械の瞳はグルグル回っているが、01にはなっていないので、処理中ではなく物理的に目を回しているだけのようだ。

 不服そうに唇を尖らせながらもS.K.は航路検索を始めたようだが、それでもユウに一息つく様子はない。生首の上に浮かぶスクリーンを睨みつけながら、何やら忙しそうに指でウィンドウを流している。それでも、両隣のふたりには何ひとつ手伝う素振りはない。

「そー急がんでも、そいつツネークスやないて」

「別に、AV女優がアイドルやっててもいーじゃない」

 先程の映像――ヨガのようなポーズで性行為に臨んでいた動画を観てから、ユウはずっとこの調子のようだ。しかしそれは、事情の深刻さを理解しているからこそ。

「もちろんいいけどね。ただのアイドルなら。けど……今回は女神的アイドル……それも、宇宙唯一の絶対神よ」

 その影響力はヤシロの想像の域を超える。

「ズーミアの愛は宇宙のすべてを魅了するわ。そんな神が男たちの性欲を慰めてしまったらどうなると思う?」

 それを聞き、ヤシロはジャージの両腕を掲げた。まるで、降参するように。

「ははー、それは壮大な一夫多妻ならぬ一妻多夫の逆ハーレムだねぇ」

「すべての精子が奪いつくされて宇宙滅亡だわ!」

 どうやら、銀河一のズリネタが降臨するということらしい。

 それを聞いても、シオリンは未だ半信半疑のようだ。おそらく、彼女の警戒のすべてはツネークスか否かによるのだろう。

「聖痕はその器に見合うモンに発現するんやろ? これもズーミアはんが望んだことってことかいな」

 まさか、神がこの世を滅ぼすようなことはしないだろう、とシオリンは楽観視している。だが、ユウはそもそもズーミア教徒ではない。

「たとえ神の意思であろうと、そんなクソみたいな理由で滅ぼされてたまるかっての」

 自身が納得できないのであれば、平気で神にも牙を剥くようだ。そして、そのためには手段を選ばない。

「……それにあっちの事務所、聖痕とかそういうのを気にしてる様子もなかった」

「何かこー、ギャフンと言わせてその隙に聖痕を掠め取ろうってか」

 暗器使いのシオリンは、そのような手口が好物らしい。が、ヤシロは残念そうにため息をつく。

 その頃、S.K.はいつのまにか処理を終え、普通にスヤァスヤァと寝息を立てていた。そこに手刀が叩き込まれると、ギャヒィと機械らしからぬ悲鳴が上がる。扱いは乱暴であるものの、ユウとて加減は心得ているらしい。

「メール受信のエネルギーまで回せと指示したつもりはないわ」

「そんなの渋ったって一光秒も進めないよー」

 光が一秒に進む距離――ざっと地球を七周半、といったところだろう。それでも、宇宙空間においては誤差の範囲らしい。

 S.K.は機械ながらもユウの言葉を字面通りに受け取ることはなく、メールを確認せよという指示だと理解していた。特定のメールを監視していたようで、ディスプレイに表示することなくツラツラと読み上げる。

「スペースライブネットから返信来てるよー。飛び入り共演オッケーだって」

「ぐぁ」

 天井を仰いで呻くのはヤシロ。どうやら今回も対決するのは替え玉の方らしい。だが、相手はアイドルではなくAV女優である。ならば、その舞台は――

「よっ、AVデビュー、お疲れちゃん」

 シオリンは軽く茶化すが、当の本人は――いつもの苦笑いで応じている。

「ユウー、いいの? 勇者がそーいう作品に出演()てて」

「何をいまさら。裸エプロン喫茶でも踊ってたじゃない」

「あたし、裸エプロンじゃなかったんだけどー」

「というか、裸エプロン“メイド”喫茶ですっ!」

 後部座席から重要な一語について訂正が入るが、前方三名が気にする様子はない。

「……そもそも、裸体で魅了する女神の宗教よ。性行為だってむしろ大歓迎なんじゃない?」

 ユウは生粋の教徒でないだけに、女神相手にも遠慮はしない。しかし、今回はその辛辣な表現が最も適切であるとシオリンも理解している。

「せやから、自分が女神んなったんに気づかずAV女優続けられると――」

「全宇宙の子種を独占する逆ハーの完成ってねー」

 それを阻止するために、ヤシロはこれから成人向け作品の収録に臨む。そこに重い覚悟は感じられないが――むしろ、すべてを諦めているのかもしれない。これもまた、勇者としての務めのひとつなのだと。


       ***


 緑色の空からフワリと宇宙船が降りてくる。いや――”フワリ”と見えたのは、まだ遥か彼方にあったからか。地表に近づいてきたそれは、質量相当の風圧をまとっている。それでも、着地する直前には、今度こそフワリと柔らかく。砂埃を上げながら静止したところで前後合わせて四つの扉が開いた。そして、続々と乗客たちが降りてくる。

「何や、寂れたトコやなぁ」

 開口一番、シオリンはそんな失礼な感想を口にする。だが、彼女が言うように――そこは宇宙港どころか、もはや地球の駐車場――さもなくば、ただの空き地か。黒く広々とした一帯には、似たような丸い宇宙船がふたつみっつと置いてある。ただ、さすがは宇宙船用というべきか、通路とすべき余白はない。格子状の白線が並び、満車――満船の際にも人はその間を通って行き来する前提なのだろう。

 ゆえに、出入り口のための通路も広くはない。ヤシロたちの船からまっすぐ見据える先は裏口のような細い路地になっており、少なくとも、大型車両が出入りできるような広さはない。ただ、その向こう側の雰囲気は廃れた地方のビジネス街――未来らしさは感じられず、せいぜい五階程度の高さのビルが乱立している。

 最後にユウが船から降り、メイドたちに向けて一言告げる。

「ここ、あんま治安良くないから、誰か船に残っててもらいたいんだけど」

 治安が良くないところに取り残されるとなれば、メイドたちに良い顔はできない。だからこそ、彼女が率先する。

「でしたら私が」

 そんなシレーの献身に対して、ユウの返事は素っ気ない。

「何を言ってるの。貴女にはやることがあるでしょうに」

「えっ、今回出演するのはヤシロさまでは……」

 相手に聖痕に関する知識はなく、ならば、シレーが直接向き合う必要はない。

 とはいえ。

「貴女、何をしに行くかわかってるの?」

“間接的”には、シレー本人が向かわなくてはならない。何故なら、聖痕を奪い合うことができるのは、聖痕に選ばれた者だけなのだから。


 陽も暮れて――

 その路地裏は街灯さえも乏しく、車道は闇によってところどころが寸断されている。そんな暗さの中だからこそ、漏れてくるわずかな光と音たちには蠢くような力強さが込められているようだ。

 ジジジと点滅するネオンには見慣れぬ文字が記されている。何と書いてあるのかは、この星の住人にしかわからない。だが、“ネオンで記すような店”であることは、その雰囲気でわかる。

 実際、そこの責任者はそれに見合う装いだった。

「うんうん、うちのオツヒノちゃんに目をつけるとは見どころあるねぇ」

 埃と落書きだらけの壁に囲まれた四畳半ほどの小部屋の照明は、点いているにも関わらず光で満たすにはいささか弱い。そんな粗末な床にパイプ椅子を置いて向かい合わせて座っているのは、黒光りするレザーの上下で身を固めた細身の男だった。シルバーアクセもジャラジャラと派手にまとわせているが、長い黒髪を襟元で縛り、不潔感はない。場所が場所ならバーテンダーのような雰囲気である。

 一方、ユウの表情は険しい。誰と対面しても退くことのない鋼の司祭ではあるが、この部屋の汚らしさには閉口させられているらしい。

「それはどうも」

 小さく答える場違いな司祭に、レザーの男は携帯端末を差し出す。だが、それを手渡すわけではない。

「最新版の段取り、確認する?」

「ええ、お願いします」

 ユウは答え、男と同じようにスマホのような自分の携帯端末を取り出した。すると、画面が光り、表のようなものが映し出される。相変わらず見慣れぬ文字で、内容は読み取れない。だが、ところどころに打ち消し線と強調赤文字が見受けられる。

 一つひとつ確認しているユウの顔つきは渋いが、男はどこまでも機嫌が良い。

「汁男優百人斬りを対戦形式にしようとはねぇ。そういうゲームっぽいのは受けもいいんだよ」

 男はしきりに褒めちぎるが、ユウが眉ひとつ動かすことはない。

「……うちには、優秀な企画立案者がおりますので」


「へっぷし」

 天井を見る限りでは、ひとホールくらいの広さはありそうだが、収容人数いっぱいの男たち詰め込まれている。暗い監獄のようだが無理矢理連行された様子はなく――むしろ、嬉々として――それどころか、興奮さえしているようだ。頭上に据え付けられた音響設備からもここがライブハウスのような場所だとはわかるが――別の部屋ではAVに関する議論が交わされている。つまり、これから行われるのはただのライブではなく、集まってきているのも観客ではない。先程の男が口にしていた通り――百人の汁男優、ということなのだろう。

 そんな性欲に満ちた男たちに囲まれて可愛らしいくしゃみを放ったのは――大きなハンチング帽にキツネの顔がプリントされたフリースとジーンズを着込んだ――その金髪はシオリンのものだろう。周囲から浮かないように、長い後ろ髪は帽子の中に収められているらしい。

 くしゃみを案じて寄り添うのは――眼鏡とニット帽、チェックのネルシャツにチノパンという装いの紫髪の――シレーと思われる。男装のために胸は押さえつけているようだが。

「シオリンさま、お風邪でも?」

「うんにゃ、誰かがウチの功績を褒め称えとるんちゃう?」

 そんな軽口を、シレーに受け止める様子はない。

「ルナさんたちにお薬もお願いすれば良かったかしら」

 おつきのメイドふたりの姿はないのは、どうやら別の用事を頼んでいるかららしい。ここまで来てなおメイド然としているシレーにシオリンは問う。

「あんさん、やることはわかっとるな」

「はい。ヤシロさまが相手の心を折ったところで、私が聖痕を奪う……と」

 惑星ミューズにてミズリーマネージャーが言っていた通り――アイドルバトルはあくまで相手の心を折るための儀式。心を折るだけならば、その枠に収める必要はない。

「あの勇者様だけやない。ウチら総勢でチャチャ入れたるさかいな」

 客に混じっている彼女自身だけでなく、スタッフルームにもユウが控えている。どのような手段をもってしてでも聖痕を奪い取るつもりなのだろう。一体何をやらかすことか――シレーは身内ながら笑顔を作りきれていないようだ。


 それはさておき、再び別室へ。

「まー、ぶっちゃけ百人斬りって、タイトルこそインパクトあるけど、少人数で百人捌こうとすると、どうしても間延びしちゃうからねぇ」

 男はふと顔をあげるとそこにはみっつの壁掛けモニタが埋め込まれている。そのひとつにはすし詰めの男たちが映っているので、おそらく先程シオリンたちがいた場所であり、その豆粒のひとつが彼女たちなのかもしれない。

 別のモニタに映っているのは正面外にあったネオン。扉が閉まっているのは撮影中に邪魔が入らないようにだろう。何しろ、ここで行われるのは音楽イベントではなく集団乱交なのだから。

 最後のひとつはステージ上――その中央でヤシロと並び立つのは黒髪サイドテールの女のコ――いまはタンクトップとショートパンツを身に着けているが、宇宙船で見たパッケージでメインを飾っていた全裸の聖痕持ちに相違ない。その背後に、肩からギターを下げている大きな三つ編みの女のコと、キーボードの前で控えているミドルヘアの女のコについては見覚えがない。オツヒノとお揃いの衣装なのは隣に立つヤシロの方。対戦するのはあくまでそのふたりであり、ノースリーブとミニスカートの楽器担当は、一応部外者の体ではある。

 とはいえ。

「ルミちゃんとミヤちゃんにも手伝ってもらうつもりだったんだけど……いや~、女のコの増員は大歓迎だよ~。それも、ロハだなんて」

 どうやら、後ろのふたりはルミちゃんとミヤちゃんというらしい。いまは一線引いているが、何だかんだで巻き込まれてしまうようだ。その三人に加えて四人になってどれだけ変わるのか……元が少なすぎるだけに、一人の増員さえもありがたいのだろう。

 ユウはAVの撮影自体にはあまり関心がないようで、眼鏡のブリッジを正しながら淡々と契約面を確認する。

「出演自体はノーギャラで構いませんので、宣伝については御社持ちで大々的にお願いいたします」

「はいはい、こちらとしても、ここが勝負どころだからね」

 今回の事務所は聖痕についてまったく見地がない。だからこそ、ノーギャラという形で女優に扮したヤシロをねじ込んだのだろう。おそらく、広告云々については怪しまれないための後付け理由か。ヤシロが相手を屈服させたのを見計らって、シレーが横から聖痕を奪うための。

 だが、AV事務所の男の方は、まったく察する様子はない。

「前回の四十八手が、まさかあそこまでブレイクするとは……。うんうん、御社、本当に見る目あるよ。オツヒノちゃんは、これから歴史に名を残す女優になるだろうからね!」

「……ええ、まさに宇宙一の器でしょう」

 笑えない事情を知っているがゆえに、本心から讃えながらもユウには笑えない。聖痕が現れたのだから、偽りなく宇宙一になる器の持ち主なのだろう。しかし、よりにもよって宇宙滅亡の窮地を招いているのだからとんでもないことだ。

 しかし、ここでユウが初めて微笑む。

「……ですが、うちのヤシロも“ダンスに関しては一級品”ですので」

 それは、対戦相手が一級品であればこそ。あの勇者は見たものをすべて模倣してしまう。

 だが、男にとってそれはどうでもいいことらしい。

「期待してますよ。……まあ、勝負は前座ですから。その後……最低でも二十五人はお願いしますねー」

 対戦の結果、男たちがどのような勢いで彼女たちに襲いかかるのか――台本には記されているが、宇宙の文字で書かれているため、その詳細までは窺い知れない。そして、ユウにとっても瑣末事なのだろう。あの聖痕をシレーが奪うことさえできれば。


 そこに、キーボードの重厚な音色が響き渡る。ミドルヘアの女のコ――ルミか、ミヤかはわからない。ともかく、その演奏開始がアイドルバトル開幕の合図なのだろう。

 ジャンジャンジャンジャン、とエレキギターが掻き鳴らされるが、奏者の表情に余裕がない。楽しそうに鍵盤を叩いているキーボード担当と違い、あまり達者ではないようだ。それでも、そこにリズムがあればステップは刻まれる。トントンと軽い身のこなしは、まさに準備運動といったところか。この程度であれば、ヤシロでなくても真似ることは造作もない。

 だが、こと模倣に関して、ヤシロは完璧すぎる。だからこそ。


 ざわ……。


 第二パートで早速空気が変わる。曲調は引き続きゆったりしているにも関わらず、ビートの刻みを倍速にしたかのようなオツヒノの急発進。髪を振り身を翻し、上へ横へと大きく動く両手の動きにブレはない。そのキレの良さに、邪な思惑で参加していた男たちも純粋にダンスに魅入られる。

 AVでは脱ぐまでのシーンは飛ばされがちなため、巻きで進行する段取り――なのかと思いきや。


「あちゃー……オツヒノちゃんの悪いクセが出ちゃったか」

「ペースアップは五ターン目からでは?」

 ところ変わってステージ裏。ユウは自分の端末で段取りを再確認している。だが、男はポリポリと頭を掻くばかり。

「最初のステップでヤシロちゃんの力量を認めたみたいだね。全力で戦うべき相手だと」

 簡単な動きであっても、オツヒノにはこだわりがあったらしい。それを寸分違わず見せつけられたことで――


 そんな裏方たちの杞憂を顧みることなく、ステージはアダルト作品の企画とは思えないほど盛り上がっていた。拙いギターは完全に浮いており、キーボードによるアルペジオで上がったり下がったりと全力で焚き付けている。

 ビシリとポーズを決めたオツヒノだったが――

「私の……とっておきを……!」

 まるで録画のように再現するヤシロにみるみる焦りを滲ませる。そして、相手が自分と同じ体勢で静止したのを受けて――両目を見開いた。その表情から、どんな激しい振り付けが繰り出されるのかと思いきや――お腹のあたりをモゾモゾしながら腰を軽く左右に振るだけ。

 しかし。


 ズルンッ!


 おおおおおおおおッ!?


 突然のストリップに、会場の男たちは激しく沸いた。オツヒノは仁王立ちのまま顔を真っ赤にしている。自らの下腹部を隠すことなく見せつけながら。

 さすがにこれはヤシロも――と思われたが、その瞳はどこかぼんやりしている。自分が何をしているのかさえわかっていないのかもしれない。ただ無心に、目の前の相手と同じことを。ズボンの前を緩める動作も、まるで指を動かしたことの結果にすぎないかのように。


 ズルンッ!


 おおおおおおおおッ!?


 ふたりめの露出に対しても、男たちは惜しみない喝采を送る。次は上も脱いでくれるものと期待して。

 だが、彼女がそれ以上服に手を付けることはない。先程のは緩急をつけるための小休止、と言わんばかりに爆発させた。下半裸で。しかし、その動きは凄まじい。

 観客側で――シレーはその動きに見惚れている。シオリンも同様だったが――ここで我に返ったようだ。

「アカンな、ヤシロはん負けるで」

「えっ?」

 その呟きでシレーも少しだけ隣を見る。だが、すぐに視線はステージへ。オツヒノの四肢はさらに勢いを増し、それどころか――トンッ――足首の力だけで全身を跳躍させ――フィギュアスケートばりの高速回転――まるでワイヤーで釣られているかのような滞空時間――だからこそ――会場中に行き渡ったのだろう。その流れる速さは人の目で終えるものではない。ゆえに、観客たちに背を向けて着地したことで、彼女の力が明らかになった。

 彼女の持つ――女神の力が。


 別室のモニタからステージの様子を見ていたユウも、場内が制圧されたことを理解する。そして、オツヒノを見出した事務所の男も。

「うんっ! あのコはやっぱり下半裸が一番似合うんだよ!」

 だが、それは正確ではないとユウは知っている。男たちを魅了しているのは下半裸ではなく、あの左のお尻でぼんやり光っている聖痕だと。


 ヤシロもまた、見たままにオツヒノの動きをトレースする。だが――

「うわっぷ!?」

 その瞳に生気が戻った、というべきか。やはり、普通の人間が足首のバネだけで宙に浮くことなどできるはずがない。それは、跳躍というよりただの背伸び。ましてや回転など叶うはずもなく、豪快にバランスを崩して大の字に倒れてしまった。それで我に返ったらしい。

 ヤシロはまっすぐに降り注ぐ熱い光の中で眩しそうに目を閉じる。そして、それを見たオツヒノは――

「っしゃぁッ!」

 拳を掲げて勝利宣言。ギターはジャカジャカと適当に掻き鳴らされ、キーボードが決着を奏でる。ぷりんと揺れるお尻に男たちは釘付けだ。その隣で開かれた股の間には目もくれず。どうやら女神の力は魅了だけでなく、物理的な制限さえも突破するものらしい。人の力では及ばず、このダンス勝負はオツヒノに軍配が上がった。

 その勝利に泥を塗るように――


 パンッ、パンッ、パンッ、パンッ!


 炸裂音と共に、ステージの照明が砕け散る。

「きゃぁっ、何なのよ!?」

 戸惑うオツヒノたち、そして、観客たち。その混乱に向けて誰かが叫ぶ。

「ツネークスだッ!」

 その声は低く押さえられているが、残念ながら女性のもの――おそらくシオリンが発したものだろう。が、ここで重要なのは、誰の言葉かではない。

「ツッ、ツツツ……」

「ツネークスッ!?」

 男たちは途端に狼狽する。それは、別室でも。


「ええええっ!? そんな危険な汁男優が……っ?」

 レザーの男は思わず立ち上がるが、ユウは比較的落ち着いている。

「あなたは客の誘導を。私が救援に向かいます」

「え?」

 男が驚くのも無理はない。だが、この司祭はただの司祭ではない。

「こう見えて、武術の心得がありますので」

「は、はいっ! ではお願いします!」

 男は立ち上がると、非常口を確保するため奥の扉へと向かっていった。その背を見届けたとき――ユウは口元を少しだけ綻ばせる。その余裕を裏付けるように。


 その頃――ホールは烏合の衆の乱闘となっていた。出入り口の方は我先に逃げようと男たちが詰めかけ――

「ちょっとー! 私たちも逃げなきゃ!」

「こういうときは、下手に動くと余計に危険なんだよー」

 男たちは一心不乱に入ってきた出口に詰めかけているが、オツヒノたちは舞台袖から控室を経由して外に出ようとしているようだ。が、それを止めているのは他でもないヤシロである。

「ほら、あっち通っても、結局混み合ってる通路と合流しちゃうしー。ほら、パンツ穿いてー」

 ヤシロ自身は下半裸のまま、ショートパンツを押し付ける。それを受け取り足を通しながらも、オツヒノはやはり落ち着かない様子だ。

「で、でも……ツネークスって、こー……暗殺集団って――」

 パンパンッと再び炸裂音が鳴る。そして、シオリンによる楽しそうな追い打ちが。

「ステージ狙われてる! オツヒノちゃん、あぶな――」


 しかし――言い終わる前にヤシロの両目がカッと開く。それと同時に――


 ドゴン――ッ!


 爆発音、そして地鳴り。それは、これまでのような軽いものではない。フロアの客席中央に砂埃が舞っているのは、その天井が崩落したからだろう。だが、もやが晴れていくに従って――


「ツツツッツツツツネークスだぁぁぁぁぁぁぁッ!?」


 今度の声はシオリンではない。だが、彼女の帽子が取れたわけでもない。男の誰かによる鬼気迫る絶叫――どうやら上のフロアは明るいらしく、そこから光が差している。だからこそシルエットが顕になった。

 埃散るスポットライトの中で、彼女はゆっくりと立ち上がる。その頭には大きな耳。お尻から垂れ下がるのは大きな尻尾。だが――それ以外何も身に着けていない。いや、耳や尻尾はツネークス生来のものゆえに、普通に全裸である。その様子は、未来から身ひとつで送り込まれた殺し屋のようだ。その不穏な光の中で、肌が白く映えることはない。どうやら全身陽に焼けているようで、まさにキツネ色に染まっていた。

 ツネークスはただ直立している。女性として膨らんだ胸もお尻も隠すことなく。ただ、視線だけで窺っていた。ステージ上の獲物を。

 ゆえに。

「早く逃げて!」

「え? え?」

 これまでの方針を一転されてオツヒノたちは戸惑う。が、ヤシロの表情に真剣そのもの。まさに、勇者となっていた。下半裸のままだが。

 そこに、事務所の方からユウも到着する。

「オツヒノさん、こっちよ!」

「う、うんっ!」

 状況が変化したのだとオツヒノも察したらしい。しっかりパンツも履き整えられており、演奏役ふたりと共に離脱しようとする。それを、ツネークスは静かに見つめていた。いつでも追いつける、と余裕めいた笑顔で。だが、その視線を遮るように半裸の銀髪勇者が割り込んでくる。それで、獲物を定めた。

「オマエ、アイドルバトルしてタ。聖痕持ちカ?」

 場内はあらかた逃げ終えているが、まだ騒ぎは収まっていない。そんな中で独り言を呟いても聞こえるものではないが、目が合えばヤシロとて察する。あちゃー、といった表情で困っているが、それに配慮するほどツネークスも甘くはない。

 どこか楽しそうな表情のままキツネ色の彼女はトンッと床を蹴る。だが、たった一歩でターゲットの目の前まで迫っていた。それはまるで女神の力を纏っているかのように。だが全裸であるため彼女が聖痕持ちではないことは明らかだ。かつて、ユウとシオリンが対峙した際に見せた『下駄ジェット』――偽ツネークスは機械によって補っていたが、生粋のツネークスはそれを自力で実現できるらしい。

「聖痕持ちカ? ン? ン?」

 尋ねながら、ツネークスは右肘を引き絞る。

「ひぇっ」

 危険を察知してヤシロがしゃがみ込むと、彼女の身体があった空間が竜巻によって削り取られる。その芯にあるのは褐色の腕。捻りを加えたことで周辺の空気を巻き込み、弾丸のように撃ち出された風圧が――ドゴンッ――奥の壁を触れることなく打ち砕く。

 そして続けざまに――今度は左拳による打ち下ろしの体勢だ。膝を折っているヤシロにこの体勢から避けることは難しい。そんな哀れな勇者に対して慈悲はなく――


 ――バシィ――ッ!


「……っつぅ……」

 それは、二本の腕で支えるように。

「ユウー、助かったよー」

 ヤシロは見上げる。彼女の背後から覆いかぶさるように腕が伸ばされているが――濃紺の袖が砕けるように破れ散る。それだけでなく、髪を覆っていたフードも。向こうの壁まで粉砕する威力だが、どうにかこの程度で抑えたらしい。なお、眼鏡だけはズレることなく残っているので、おそらく神の力で守られているのだろう。

 放たれた両の掌底によってツネークスの二撃目は遮られた。腕と腕の力比べのトンネルの下を、ヤシロはわたわたと脱出していく。

 ユウはそのまま渾身の力を込めて――掴んだ腕を捻る!

「オッ!?」

 それに逆らうことなく、ツネークスの身体はプロペラのように旋回。それだけで終わることはなく――足場を失い回避不能となった敵に向けてユウは腰を捻り鋭い蹴りを放った。だが――体勢を崩しているはずのツネークスは跳び箱のように両手で跳ね除け――逆に真上からその健脚を振り下ろす。それを受け止めることなくユウは後ろに距離を取った。

「やっぱ、自分から仕掛けるのはダメね」

 相手の着地を狙うことなく、ユウは改めて構える。それは、ツネークスにとって意外だったらしい。背を向けてしゃがみ込んでいるのに、追い打ちを仕掛けてこないのだから。

「ン? ン?」

 尻尾を揺らしながら肩口から覗くその表情は、挑発しているようでもある。相手がそれに乗ってこないため――むしろ、興味が湧いたようだ。ピクリ、と大きく耳が動くとその場から姿を消し――一瞬にしてユウの目の前に。すでに右手は振りかぶられている。が、ユウに焦りの色はない。


 パシィッ!


 横から叩くことで軌道をずらした。そこからカウンターを撃ち込むのがユウの戦闘スタイルである。だが、その表情は芳しくない。左肩の襟がバチンと爆ぜ――それでも右拳を繰り出す!

「オッ!?」

 その回避方向は横ではなく後ろ。ワンステップでユウのリーチの外へと離脱したようだ。しかし、驚いた様子はなく、むしろ感心している。

「ン? ン? オマエ、面白いナ」

 トントンとリズムを整えると、ツネークスは同じように振りかぶる。だがその一撃は重く、弾くだけでもダメージは避けられない。

 だが――

「ッ!?」

 反撃を待たずに、今度は左手が迫ってくる。ユウは咄嗟に攻撃から防御に切り替えた。しかし、次も攻守交代はない。再び拳が迫ってくれば、ユウには弾き続けるしかない。

「ハハハッ! アハハッ! アハハハーッ!!」

 バチバチと物凄い音を立ててふたりの間の空気が弾け飛ぶ。いや、弾け飛ぶのは空気だけでなく――ユウのローブの胸が、腰が、足回りもバリンと吹き飛ばされた。それだけでは収まらず、中に着ていたブラのカップも砕け、ショーツまでビリリと千切れ舞う。

 一先ず相手を丸裸にしたことで攻撃目標を失ったのか、ツネークスの腕が少しだけ止まった。

 「ッ!」

 その一瞬の隙を逃さず、ユウは渾身の力を込めた一撃を繰り出すも――

「オマエ、尻にも聖痕、ナイ」

 ユウは後ろから声をかけられ青褪める。ツネークスは拳を躱すどころか、反応できない速度で背中に回り込んでいた。余裕たっぷりに、右足で左足をポリポリと掻き、興味深そうにお尻を眺めている。これにユウは――突き出した右手を引くことさえできない。

 すでに、勝敗は決している。敗者は死を覚悟して身を固くするが――

「待ーーーってーーー見て見てーーーーーっ!」

 両腕を広げているヤシロは、道を塞ぎたいわけではない。ショートパンツだけでなくタンクトップをも脱ぎ捨て――股の間から胸の先まで全裸に――この場に女子しか残っていないこともあり、大胆な身体検査だ。

「ン~? ンン~?」

 正面について疑う余地はない。ゆえに、ツネークスはひょいひょいとヤシロの背後に回り込む。ふたつのお尻もただツルっとしたまま何もない。

「聖痕ないナ、オマエ」

 散々襲った後だが、納得してもらえたらしい。

「クジャの仕事、聖痕持ち捕まえるコト。お前たち、用なイ。クジャ、行ク」

 彼女の名前はクジャというのか――ともかくツネークスの彼女は軽く膝に力を溜めると――ボコンと天井を突き破ってどこかへ行ってしまった。ふたつ目の穴を残して。

 一先ず、危機は去ったといえる。それで緊張の糸が切れたのか、ユウは力なく膝から崩れ落ちた。

「こ……れが……ツネークス……」

 どうやら、直に対峙したのは初めてだったらしい。想像を絶する完敗に、司祭は静かに震えている。

「ユウー……歩けるー……?」

 ヤシロの声は気遣い半分。もう半分を思い出して、ユウは歯を食いしばる。

「わかってるわ! ヤツの狙いは聖痕持ち……ッ!」

 本人が言っていたのだから捨て置くこともできない。ヤシロはチラリと脱ぎ散らかした服を見下ろすが、ユウが全裸で走り出している以上、自分だけ着たいとも言い出しづらいようだ。全裸のふたりは静まり返った通路を抜け、階段を駆け上がっていく。

 だが、表に出てみると――建物の床に穴が空くほどの騒ぎだったにも関わらず、警察や機動隊のような組織がやってくる様子もない。ただ、通行人がチラホラと――一様に、街灯を見上げている。その理由は、ヤシロたちにもすぐわかった。

「ぅ……ぅ……」

 苦しそうではあるが、声が漏れているので生きてはいるらしい。だが――大きな灯りにロープで吊るされている様子に力はなく、着直したはずのショートパンツさえも剥ぎ取られていた。地面に血溜まりはないので外傷はなさそうだが、このまま逆さ吊りにされていては命に関わる。顎の下あたりに吊り下げられた小さなふたつの鈴の音は儚いほどに美しい。だからこそ、この状況の異様さが際立たされる。

 これにはユウもヤシロも絶句するしかない。一体誰の仕業か――誰もが惨憺たるオツヒノを案じている中――ヤシロは何かに気づいてライブハウスの方へ振り向く。釣られてユウも。そこには――女のコが立っていた。壊れた会場を憐れむように。辱められた女のコから目を背けるように。

 だが、彼女が本当に悔やんでいたのは――

「本当は、オレだってこんなことしたくなかった……」

 そこに、一迅の風が吹く。短いスカートが大きく捲り上がり――その奥をユウたちは見せつけられた。そこに下着はなく、長くフカフカなキツネの尻尾が腰回りに巻きつけられているのを。そして、左のお尻には――ぷらんとオツヒノの身体が揺れながら回る。そうして顕になったお尻から――なくなっている――会場中の男たちを夢中にさせ、現実離れした滞空時間を実現した、彼女の聖痕が。

 そして、ハンチング帽をかぶったこの女子のお尻にそれを見たということは――

「貴女……オツヒノの聖痕を……ッ!」

 ユウからの問いに、聖痕の持ち主は答えない。代わりに、ひとつだけ忠告を残す。

「急いだ方がいいぜ。“アイツ”の命令は聖痕持ちを捕らえることだからな」

 そして、先程室内でクジャが見せたようなツネークスによる跳躍――突き破る天井はなく、ビルの屋上に向けて吸い込まれていった。

 それを見送ることしかできないユウは、悔しそうに拳を握り込む。

「ク……ッ、油断した……! ツネークスが組織的に動いてることは把握していたのに……ッ!」

 そんなユウを後目に、ヤシロはオツヒノを見上げている。

「てか、下ろしてあげないとマズイって。パンチで柱ごと倒せない?」

 その惨状さえ目に入らず、ユウはひとりハッとして夜空を仰ぐ。

「……ッ、宇宙船、急ぐわよ!」

「うんっ」

 未だ緊急事態は続いている。何事かと奇異の目を向けられながらも、全裸のヤシロは同じく全裸のユウに続いた。

「けど……あんなロープ切れる刃物あったっけ。聖剣使っていい?」

「そんな場合じゃないでしょッ!」

 ヤシロは工具を求めていたようだが、ユウは別の目的のために向かっている。

「“あのコ”のことだから、何かあれば宇宙船に逃げ込むに決まってるわ!」

 それは、もうひとりの聖痕持ちのこと――!

「もし、ヤツらが私たちの宇宙船を把握していたら……!」

 一応シオリンは同行していたとはいえ。

「偽物は本物には無力だからねぇ」

 本物が現れた際の逃げ足の速さは喫茶店で確認している。もし先程のツネークスがやって来れば、誰よりも先に身を隠すことだろう。無力なメイドを放り出してでも。

 暗い路地を駆け抜け――空が開けた。ユウたちが着陸した停船場である。外から真っすぐ見据えた場所に降りていたため、乗っていた船はすぐに見つかった。

 すぐに見つかったからこそ――絶望的な状況も明らかになる。

 船の足下まで駆け寄ってきたヤシロとユウ。そんなふたりを丸い屋根の上から待ち構えていたクジャの肩には――全裸にひん剥かれたシレーがしっかりと担がれていた。右のお尻の聖痕を見せつけるように。


       ***


 オツヒノよ! ……っつーかナニコレ!? いきなり撮影内容は変わるわ、通り魔みたいな襲撃に遭うわ……ッ! ま、まあ、私くらいになればあの程度のSMプレイだってお手の物だけど……さすがにギャグボールで逆さ吊りはないわー! 鼻にヨダレ入ったらどーすんのよ! って、そういう問題じゃない?

 次回、無気力勇者と5人のアイドル、第4話『2人のアイドル』

 あのふたりがついに激突……って、誰と誰?


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