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5つの聖痕

“彼女”が聖衣を纏うとき――それは、戦いの渦中にある。

“彼女”は勇者であり――同時に、聖女であった。

 その務めは、戦いの中に身を投じるのみに非ず――もしこれが祭事であるならば、腰に差した黄金の剣は、武器ではなく神器なのだろう。

 とはいえ、そこに厳かな空気はない。酷く世俗的で――カラフルな照明がテカテカと差し込み、楽曲の音調もカラオケのような機械そのもの。何より、そこに立つ“彼女”自身の銀髪は整うことなくところどころ飛び跳ね、長い後ろ髪はただ束ねただけに等しい。しかし、そんな杜撰な頭部に引き換え、丸く翻る白銀のドレスは派手であり豪奢――ゆえに、神聖さとはほど遠い賑やかな空間(ステージ)だからこそ、むしろ安っぽく見える。

 それでも。

 外界から隔離され、陽の光を失った世界で――“彼女”は――否、“彼女たち”だけが輝いている。だが、勇者であり聖女でもある“彼女”に相対するのは――“彼女”以上に世俗的であった。

 それは調理時に着けるべき真っ白なエプロン――だが、機能より見た目に重きが置かれているらしい。裾を縁取るのはフリル。胸元にもフリル。そして、肩紐にも左右に羽根を広げるかのようなフリル――そのシルエットはまるで天頂を仰ぐ白鳥のごとく。炊事場に詰めるような雰囲気ではなさそうだ。

 それに何より、頭上に掲げられているのは紫色の髪をまとめるための三角巾ではない。虹のように架かるカチューシャに前髪を整える様子はなく、右目を隠すほどに長く伸び下げることを許している。そして、例によってここにもまたフリル――フリルのアーチが、額の上を彩っていた。まさに、頭の先から足元までフリルに覆われた、フリルの化身といえよう。

 そんな彼女が、人工の光の中で――肩口のフリルから両腕を伸ばす。そして、高く結ばれたポニーテールをなびかせながら、ひらりと軽くその身を返せば――シルエットの白さに命の色が灯る。うなじから真っ直ぐ、腰のくびれの中央を貫き――それは太ももの間までひとつの曲線。柔らかく膨らんだふたつの(まる)さを分け隔てるように。誰もが、その頂きに目を奪われてしまう。しかし、それは俗ゆえにではない。ふたつの丘の右の一方――そこに薄っすらと感じられる熱――それに、闇の中で蠢く有象無象たちは一斉にたじろいだ。まるで、女神に平伏すように。

 その畏怖を感じているのは、勇者であり聖女でもある挑戦者――ヤシロとて同じこと。むしろ間近に、同じ舞台に立っているからこそ、誰よりも強くその身に受けていたはずだ。それでもあえて平静に――ステップにより生じた遠心力に導かれるままスカートがたなびき、襟首の束髪が襟巻きのように尾を引く。そして彼女もまた、降り注ぐ光の熱を感じると――フリルの威圧を物ともせず、同じように両腕を伸ばし、身を返す。

 ならば、とフリルの彼女はリズムを踏み、右へ左へ飛び跳ねる。揺れるお尻に誰もが釘付けになる中、ヤシロは淡々と目の前の動きを模倣する。

 ついにフリルの姫は右手を掲げ――両手で目まぐるしく印を結ぶと、くるりくるりと独楽のように――ここまで激しく回しては、裾のフリルは高々と舞い、その裏側に異なる色合いを覗かせてしまう。が、それは一瞬のこと。つま先に力を込めると、その回転はピタリと止まり――危うきところは裏側に。舞い上がっていたフリルは静かに膝の上にしなだれかかる。代わりに訴えかけるのは先程の熱。もはや、すべての輝きがその丸い一点に集められているかのようだ。

 これで勝負は決したか――誰もがフリルに魅了され、目を離せない。だが、ヤシロは歴戦の勇者である。複雑な手の動きを完璧に再現し――回る勢いさえそのままに。膨らんだスカートのシルエットから、彼女の方がより独楽のように見える。腰の鞘に輝きをまとわせながら、まったく同じ回転数をこなしたところで――まったく同じように急停止。

 すると。


「負けたーーーーーーーーッ!!」


 突然の絶叫。フリルの女はすべての力を使い果たしたように膝を突く。膝に続いて両手も突いたため、後ろからはお尻の割れ目の間まで見えてしまっている。先程感じられた熱はもはやない。そんな彼女のもとに――同じヘッドドレスとエプロンの女性ふたりが駆け寄ってくる。

「大丈夫です! イケてますって、シレーさん!」

「まだまだなのーっ! 全然負けてなんかないのーっ!」

 熱烈な激励に左右から挟まれながらも、フリルの化身――シレーと呼ばれた彼女は激しく首を振り否定する。

「無理よッ! やっぱり私なんかにできるわけがない……ッ!」

 応援係も同じ姿であり――膝を突いたシレーに寄り添うため同じように膝を突いては――白い丸みが計六つ。その間の割れ目は三つ。仲良く、艶めかしく並んでしまっている。

 誰が何と励まそうと、ステージ上の光が絶たれている以上、戦いが終わったことは疑いようがない。ヤシロたちの様子を腕組みして睨みつけていた赤い頭巾をかぶった和服の幼女はじとっとした目で隣の修道女を見上げる。

「……なぁ、聞いとった話とちょい違うんやないか?」

 問われた方も得心が行かないようで、視線を合わすことなくメガネのブリッジを正しながら言葉を発することはない。

 答えがないので、幼女は更に追撃を加える。

「思い出してみ、あんさんが自分でゆっとったことを――」

 言われて、修道女は目蓋を閉じた。それは思い出そうというよりも――思い出したくない記憶と葛藤しているように見えなくもない。


       ***


 その深く広大な闇は、無数の星々の瞬きを内包する。そして、中でも一際大きく真円を描いているのは――かつて、女性だけになってしまったかの惑星だった。

 その地表は、いまも赤茶けている。しかし、どことなく明るい雰囲気が感じられた。それは、女の中に男の姿もちらほらと見られるようになったからかもしれない。セピアな色合いだった街にも赤や緑など、華やかな装いに目が惹かれる。

 だが、その町外れの一角だけはまるで変わらない。蔦の蔓延る修道院――扉があるべき場所には、簡易なトタンが貼り付けられている。どうやら、一度壊れてから修繕が進んでいないらしい。

 その仮戸の高さは二メートル以上ありそうだが、さして重くはないようだ。ヤシロがよいしょと力を込めると、右に向けて隙間が開いていく。そこから中に入ろうとして――正装たるドレスの裾がモゴモゴと引っかかっているようだ。傘のように広がったシルエットをグイグイと押し込め、どうにか通過する。

 そして、出入り口を内側から元に戻そうとしてみるも――押すのと引くのとでは力の使い方が異なるらしい。これは思うようにいかず、すぐに諦めたようだ。これについて、この建物の主――修道服をまとったユウ司祭が何かを言うことはない。礼拝堂奥の黄金像の足元で屹立し、早くここへ来い、と来訪者に向けて眼鏡を光らせていた。ふたりの間には一直線に破壊の跡が残されており、砕けた長椅子断面は痛々しくささくれている。そんな荒れた道のりをのんびりゆくヤシロの足取りに、司祭の意向を汲み取る様子はない。

 ヤシロの到着を待たず、ユウは話を始める。

「見えるわね? そこからでも、“みっつ”の聖痕が」

 そう言って振り返った先には、女神・ズーミアの巨大な黄金像――右手に天秤、左手に剣を携えているが、その身には何も纏っていない。そのため、女性としての身体も余すところなく開示しているのだが――ユウの声に、ヤシロははたと足を止める。そして、改めてその正面にそびえる巨大な裸体を注視してみた。傷――と呼ぶには端正すぎる。だが、確かに――左右の乳房と、へそを囲むように幾何学模様が“削られていた”。

「それと、背後にも“ふたつ”」

 どうやら、ユウ自身は全身くまなく女神像の異変を調べたらしい。その調査結果を、ヤシロに疑うつもりはなさそうだ。おそらく、さして興味もないのだろう。だが、正装――勇者のドレスで訪れているのだから、ヤシロは内心穏やかではない。一方で、やはり寝癖は立っているので、真剣味はイマイチ薄いようだ。

 そんなヤシロは、起きたばかりのようにのんびりと問う。

「ふぅん、まぁた厄介事?」

「神託よ」

「ズーミア教徒でもない人から?」

 ユウは以前の騒動で、生粋の司祭ではないことが露呈している。それでも未だ修道服を纏い、こうして勇者に対して命令を下しているのだからいささか厚顔か。

「経典に則ってやってんだから、経典どおりの職務くらいこなしなさいよ、穀潰し」

 つまりは――信心はなくともしきたりには従え、ということなのだろう。とはいえ、ヤシロに油断することはできない。

「あたしの安全が確保されてる限りはねー」

 ユウはズーミア教徒であるどころか、その護り手である勇者を罠に陥れようとした前科がある。それはユウ自身重々承知しているはずなのだが。

「多少の危険は甘んじなさい。貴女は、勇者なのだから」

 あまりの悪びれなさに、ヤシロは肩を竦めて閉口する。教団に養われている限り、真正面から対立するつもりはないらしい。そして、この勇者様は経典に疎いため、何が経典どおりで何が逸脱しているのか知りようもない。ゆえに、危険が目に見える形になってからしか振り払うことはできないのだろう。

「……で、みっつとふたつの聖痕がどうしたの」

 部屋の真ん中あたりで、ヤシロは足を止めた。ユウは近接格闘を得意としている。ゆえに、ヤシロは距離を空けたまま話の続きを促した。ユウも一応己の所業を理解しているらしく、これ以上近づけということはない。

「ちなみに、後ろの聖痕は左右のお尻よ」

「だと思った」

 両胸にひとつずつ出ているのだから、当然の推論だろう。そして、お腹にひとつ。

「五つの聖痕――これは、ズーミア神復活の知らせよ」

「いつの間に死んでたの」

 復活するためにはその前に滅んでなくてはならない。当然の順序である。

「貴女、本当に何も知らないのね」

 偽司教より教養が乏しいのだから、呆れられるのも無理はない。

「かつてこの惑星で神々の戦い……ズーミアとレノヤが戦争を起こしたのよ」

「科学か神秘か、どっちかにしてほしーんだけど」

 確かに、光速艇で星間旅行する時代に神がどうのと説かれても納得しづらい。だが、ユウの中では矛盾なく両立しているらしい。

「そういうことは、宇宙のすべてを解明してから言いなさい」

 どうやら、土着宗教の中で、科学的に解明されていないことを“神の仕業”と称しているようだ。

「そして、これから話すことは現在解明できていない事象のひとつとして、それでも現実のものとして聞いてほしいのだけど」

 ユウ自身、信じ難い内容のようだ。そもそも、彼女はズーミア教徒ではない。神の存在自体がバカバカしいのに、神の復活などといわれても信じることなどできないのだろう。

 しかし、その原理が、理屈がわからない。なのに、経典には記されている。だからこそ、最大限の警戒を寄せるしかない。

「ズーミア神は、人の身体を依り代にして復活するらしいわ」

「へー。神様に乗っ取られちゃうってこと?」

 軽くあしらいながらも、ヤシロの目は笑っていない。話の流れからして――自分が呼び出された理由には悪い予感しかしない。

 だが、それはさすがに悲観的すぎたようだ。

「依り代は、少なくとも貴女じゃないわよ」

「あ、そ。じゃあ、あたしは依り代を探しに行く方だね」

 だが、ユウは肝心なことに答えていない。依り代は、神に意識を乗っ取られるか否か。

「で、手がかりは?」

 自分のことではないからか、ヤシロはそのまま議論を先に進めようとする。いずれにせよ、ユウが都合の悪いことを正直に話すはずがないのだから。

 そこに、新たな論客が唐突に加わる。

「――聖痕……やろ?」

 ヤシロは、ユウの表情が険しくなったことで――何よりその声、その喋り方で後ろから入ってきたのがシオリン・O・カナギであることは振り向くことなく理解した。

 赤い和服の金髪幼女――しかし、そのキツネ耳は取り外せる偽物――ハッタリツネークス――どうやら彼女にとっても用があるのはユウの方らしい。

「すべての聖痕を集めし者、これすなわち神の化身(アイドル)なり……ってな」

「何で貴女が知ってるの」

 信仰はないなりに、経典だけは読み通しているユウと異なり、シオリンは完全に無関心のはずだ。

 そう、シオリン自身は。

「知っとるモンの話を盗み聞いたからや」

 その物言いは穏やかではない。日々をのんびり過ごすことを是とするヤシロにとって、最も忌避する雰囲気だ。

「……ナニ? ここって、厄介事の掃き溜めなの?」

「悩める仔羊の拠りどころよ」

 言葉の字面に対し、ユウの声色には慈悲がない。ヤシロは諦めたように長椅子の方へと歩み寄り、崩れていない座面に倒れ込むように腰を下ろした。もちろん、ささくれた断面が刺さらないよう、黄金像の方を向いて。両胸と腹部のみっつの聖痕――自分のドレスの胸元をぺろりと捲ってみるが、そこには色鮮やかな乳首が乗っているだけ。おそらく、残りの箇所も同様なのだろう。

「で、聖痕を揃えるとどうなるの?」

 両胸を放り出したまま、ヤシロは中空に向けて疑問を投げる。詳しいどちらかが答えてくれればいい、として。

「ズーミアの愛は宇宙のすべてを魅了する……と言われているわ」

 ヤシロの態度は咎めることなく、ユウの方が問いに応じた。胸を露出することは不敬には値しないらしい。女神自身が全裸なのだから、当然ともいえるが。

 神の力だけに、ヤシロは納得したらしい。シオリンにも異論はないようだが――だからこそ、苦々しく頭を掻きむしる。

「愛……ねぇ」

 そして、苛立たしく。

「愛って何やねん」

 その命題に、ユウの答えはひとつの溜め息。どうやら、明確な定義を持たないらしい。だからこそ、わかることだけを口にする。

「重要なのは、神が、宇宙のすべてを魅了する……ってところよ」

 この答えでは、ヤシロもシオリンも納得できていないらしい。補足を促すふたりの視線がユウに集まるが、司祭はこれを屈託のない無言の微笑みで打ち返す。どうやら、これ以上開示できる情報はないらしい。ならば、とシオリンは対話の姿勢を切り替える。

「異教徒にもズーミアはんの愛はあるんかいな」

 その一言に、ユウの眉がピクリとひきつる。その仕草を見てヤシロは――スッと丸出しにしていた胸元を糺した。ただそれだけのことで――ユウとシオリンから睨まれる。これに、ヤシロは肩を竦めて両手を挙げた。

「わかったわかった、もう逃げないって」

 ヤシロには自分に降りかかる災難の全貌をすでに把握しているらしい。それを承知の上で、シオリンは追加で釘を刺す。

「勇者はん、事の重大さを理解しとるんかいな」

 この事態に対して、むしろユウの方が理解を示す。

「戦闘民族ツネークスが宇宙に愛を説くなんてゾッとするわね」

 言葉に反して声色は軽いが、半ば諦めているのだろう。この来客が現れた時点で。

「それを伝えるために、わざわざここへ来たのでしょう?」

 つまり、武力と魅力を兼ね備えた最強の女神が誕生するということか。シオリンは、宗教家の方が話も通じるだろう、とユウに言葉の先を戻す。

「カスガ参謀のことは知っとるか?」

「ええ、力任せだったツネークスが近年勢力を伸ばしてるのは、そこに知性が加わったからだと」

 暗にツネークスを無知だと蔑む物言いだが、偽ツネークスであるシオリンが気にかける様子はない。

「ヤツが意気揚々と説いとったわ。ツネークスから女神の化身(アイドル)が誕生すれば、宇宙は我々のもんやと」

「説くって誰に?」

 ユウは素朴な疑問を口にするが、それに答えたのは意外なことにヤシロだった。

「そりゃー、“クリス”に決まってるっしょー」

「ッ!?」

 隠しきれないほどに驚愕しているシオリンに、ヤシロは乾いた笑いをこぼす。

「シオリンがあたしたちの前にわざわざ顔を出すくらいだからねぇ。“ツネークスの頭領”が動いたくらい察しがつくって」

 そんなヤシロのもとに、シオリンはズカズカと詰め寄る。

「ちゃうねん、そんなことに驚いとるとちゃうねんで」

 そして、整えたばかりのドレスの胸元をグイと掴んだ。

「あんさんがあまりに呑気すぎるからや……ッ! 知らんのかい、クリス・K・グッドマンの恐ろしさを」

 腕を組んだまま、ユウもシオリンの言葉に続ける。

「戦闘民族ツネークスの中でも最恐と呼ばれる剣豪……並み居る有力者を皆殺しにして頂点に立ったといわれているわね」

「その通りや。敵対して生き延びたモンはおらん。ウチかて、盗聴がバレたら“コレモン”やで」

 そう言って、シオリンは親指で自分の首を切って見せる。まさに、命懸けの盗み聞きだったようだ。

 ヤシロよりも事の重さを理解しているユウがヤシロを諭す。

「悪い報せだけど、女神ズーミアも、元は普通の人間だったと経典にあるわ。そして、それを機に人が変わったとか、そういう記述もない」

 つまりは、意識を乗っ取られた様子はないということだ。意識は人のまま神になった、ということである。

「だからこそ、神を喪うまでこの惑星は栄えてたわけで……ただ、この地に宇宙征服なんて野心を持った人がいなかっただけで」

「ツネークスの戦闘力にカスガの頭脳が加わったいま、ヤツらが女神の力をどう使うか……考えただけでも恐ろしいわ」

 この情報を知る前からヤシロは呼び出されていた。ゆえに、ユウにはツネークスに限らず、異教徒に女神の力を譲るつもりはないのだろう。そのひとつが最強の戦闘集団の中に現れたことで、その難易度が格段に跳ね上がっただけで。

「ひとつ言っておくけど、伝承には不確かなところが多いわ。具体的にはどうなるかわからない。けど……」

「夢も希望もないわけやない」

 だからこそ、シオリンはここに来ている。

「カスガか、もしくは聖痕持ちか……クリスが両方護れん状況に追い込んで、片方をサクっと暗殺するか」

 暗器使いはそのような不意打ちを得意としている。とはいえ、ユウの目的はそこにない。

「いずれにせよ、ズーミアの司祭として不当な者に神の力を預けるわけにはいかない」

 ユウ自身が適当な者とはいい難いが、一応立場上の職務をまっとうする意思はあるようだ。

 シオリンにはとって、ツネークスが聖痕を揃えることを阻止さえできればよい。

「ほんじゃ、誰か代わりに揃えさすん?」

「少なくとも、異教徒は論外として……」

「何や、目星ついとらんのかい」

 シオリンは呆れた声を上げるが、ユウもただ待っていただけではない。

「手がかりはふたつ。ひとつは女神の力を発揮するには、その刻印を魅了する人々の前に示す必要がある」

「へぇー、刻印を、ねぇ」

 そう言って、ヤシロは改めて女神像を眺める。お腹はともかく、乳房や生尻を露出してステージに立つ女性アイドルはなかなかいないだろう。

「もうひとつ――刻印の力は、揃わずともその片鱗を発揮する、ということ」

 完全に全宇宙を掌握するにはすべて集める必要がある。だが、その一つひとつに意味がないわけでは無いらしい。

「つまり、最近急に注目されるようになったアイドルは、何らかの形でズーミア神の寵愛を受けている可能性が高い」

 自信満々に眼鏡のつるを糺すユウだが、ふたりの反応は芳しいものではない。

「何らかって何やねん」

「例えば、オーディションで刻印を見せたとか……それこそ、温泉でスカウトされたとか」

「無茶じゃない?」

「そのくらい無茶な偶然がなければ、急に注目されるわけ無いでしょ」

 ヤシロからツッコミを受けるユウだが、ボケたつもりはないらしい。本気でそう考えているからこそ、すでに手は打っている。

S.K.(エス・ケー)!」

 ユウがそう呼ぶと、礼拝堂奥の開けっ放しの扉から何かがふわふわと飛んできた。体長の倍はある剣を鞘ごと運んでいるからか、その軌道はやや頼りない。ドローンのようだが作りかけなのか、コードがクラゲのようにピロピロと漂っている。何とも杜撰な様子だが、むしろそれが良かった。もしきちんと精巧に作られていれば――首から切り離された生首が漂っているように見えただろう。

 その後ろ髪はせいぜい頭を覆うくらいの短さだが、もみあげにあたる側頭部は長い。その二本を器用に両腕のようにして剣に絡めている。

 人畜無害なお手伝いロボットのようだが、その生首をシオリンは看過できない。

「キ……ッ、サマ……ッ! まだ生きとったんかい!」

 何しろ、それはつい最近まで『魔王』としてこの惑星(ほし)の片隅で君臨していた張本人なのだから。しかし、その戦いの途中で自爆したはずである。その彼女がどうして――そもそも機械なので修理したのか、作り直したのか、元々2号がいたのか――とにかく、その魔王が平然と楽しげに現れた。

 これに幼女は熱り立って刀の柄に手をかける。間合いは完全に離れているが、あらゆるところに様々な暗器が仕込まれているため、何かを飛ばすつもりかもしれない。

 それでも、生首の方は構わず呼び出した主人の方へと向かっていく。

「生きるも何も、シキ、機械だし」

 S.K.――通称、というか自称はシキというらしい。その機械は、機械がゆえに命令者には忠実に。ユウの前に辿り着くと、黄金の鞘をするりと解いた。

 それを両手で受け取ると、ユウはヤシロに向けて言い放つ。

「これは神殺しの剣。もし異教徒が聖痕を揃えるようなことがあれば……」

「うわぁ、物騒」

 ヤシロは勇者でありながら、殺伐とした解決法を好まない。それを知っているからこそ、ユウは予め懸念を払拭しておく。

「心配しないで。その剣は神しか殺せないから」

「そりゃー罰当たりだねぇ」

 ヤシロは肩を竦めて応える。いずれにせよ、あまり乗り気ではないらしい。ただ、少なくとも明確な拒絶はなさそうなので、ユウは話を進めることにしたようだ。

「S.K.、命じていた件は?」

 ヤシロが剣を承りに来ないので、ユウは再び生首ロボットに託した。それを運びながら、生首ロボットは楽しそうに報告を続ける。

「はーいはいはい。えーと……急に目立ち始めたアイドルってゆーと三人だねー。ひとりめはミーシャ」

 ヤシロの前まで近づいたところで、S.K.はスルリと目下の膝のあたり目掛けて剣を放る。神を滅ぼす神器を授けるにしては、ラグビーボールを投げ渡すような雑さだ。このロボットは、主人であるユウ以外に対してはこの調子らしい。床に落としては怒られそうだからか、ヤシロは前のめりになりながら頑張ってそれを受け取る。少し床に引っ張られたようなので、それなりの重さはあるらしい。

 運搬の任務を終えたところで、生首はフワリと後ろを向いた。そして目から光を放つと、中空に動画が表示される。そこでは、大きなハンチング帽をかぶったショートカットのアイドルがステージで踊っていた。その歓声の大きさから、相当な人数を動員し、盛り上げているらしい。

 ユウがこれといって興味を示さなかったからか、S.K.はモニタビームをスッと消す。

「ふたりめ、ミトフルー」

 だが、該当の人物の映像が表示されることはない。また、ひとりめのように歓声を浴びることもない。何ら交じるものはなく――だからこそ、この場にいる誰もが圧倒される。

「うわっ、この人、本気で歌上手くない?」

 正直、ひとりめのミーシャはお祭り騒ぎのような誤魔化しがあった。しかしふたりめのミトフルは――映像がないにも関わらず声だけで人々を引き付ける力がある。

「最近デビューしたばっかで、まだ音源だけみたいだよー。偶然発掘されたんだってー」

「風呂場でか?」

 映像がないだけに、シオリンは半信半疑だ。S.K.の方も指示に従っているだけで、あまり興味はないらしい。

「知ーらない。んで、最後のひとりはマコット。このコならシキ、コネあるけどアクセスしてみる?」

 再びモニタビームを放つと、映し出されたのは着ぐるみの女のコだった。……いや、女のコなのかも定かではない。ギャーギャーと叫ぶ声は甲高いが、怪獣の口から顔を出しているだけなので、正確なところの性別不詳だ。両サイドからふたりの力士着ぐるみに張り手を繰り出され、クルクル回っている。これはアイドルのライブというより、もはやコントだ。

 普通、女のコが痛めつけられていれば笑いより先に心配されるはずだが、その回りっぷりがあまりに豪快だからか、会場は大いに沸いている。

 しかも、どのような原理かわからないが、突然怪獣着ぐるみは大爆発。真上に向けて飛び出した中身は裸一貫、高くもない天井に頭から突き刺さり、裸身がプラプラと揺れている。が、最低限の配慮はされており、肌色の身体にはモザイク修正が施されていた。確かに、このようなライブは斬新である。が、アイドルと呼んでいいかは怪しい。とりあえず、S.K.の機械判別にはライブとして認識されたようだ。

 ということで、この三名が最近人気急上昇のアイドルとのことらしい。しかし、ユウはわざとらしい溜め息でみっつの報告を一蹴する。

「……S.K.、肝心なことが調べられてないわ」

 それはロボットの方も承知しているらしい。

「聖痕? そーだねー。そーいう画像は見つからなかったよ」

「見つからなかったじゃないでしょッ!」

 ユウの憤怒によるものか、S.K.はふわーっと吹き飛ばされていく。

「急に注目されるためには女神の力……聖痕を露出させる必要がある。だったら、映像にも映るはずでしょうッ!?」

「お腹はさておき、胸やお尻は難しいって~」

 ヤシロは一定の同情を示すが、シオリンもまた不満を感じている。

「てか、これじゃツネークスかどうかもわからんやん」

 三人とも、見事に頭部が映されていない。シオリンとしては、異教徒が云々より、ツネークスをどうにかしたいのだろう。

「だから知らないってばー」

 S.K.は憤っているユウが怖いのか、高い天井の方をふわふわと飛び回りながら叫んでいる。実際、これ以上怒鳴ったところで新たな情報が出てくるわけではない。八つ当たりする相手も遠く、ユウはひとり苦々しくひとりごちる。

「これは全宇宙を左右する重要事項だってのに……接触するなら聖痕の確証を得てからにしたいのだけど」

 重要性はさておき、ヤシロとしては事を荒立てずに済ませたいようだ。

「もしズーミア教徒でなければ、聖痕の秘密に気づいてないかもしれないしー」

 さて、この三人の中から誰の聖痕を狙うべきか――だが、肝心の聖痕がひとつたりとも目視できていない――そう思われていたのだが。

「……フフン、せやったら、ウチの情報網のが優秀っちゅーこったな」

 ここで、シオリンが不敵に笑う。

 どうやら、聖痕に見覚えがあるらしい。例えば、お尻が丸見えになるような場所で――


       ***


 S.K.はあくまでアイドルとして急上昇している人物を探していたようだ。しかし、聖痕を得てアイドルとしての力が増したとしても、本人がそれを誇示したがるとは限らない。

「……確かに、あれは紛れもなく、ズーミア神のお尻に刻まれていた聖痕ね」

 裸エプロンメイド喫茶『Cheese O'clock』――ここはユウたちの住まう惑星とは異なり、宇宙ステーションのような人工のコロニーらしい。それだけに宇宙テクノロジーが駆使された小綺麗な建造物が並んでいる。空にあたる湾曲した天井は真夜中のように暗く、雲ひとつない星空は美しい。ただ、どんなに綺麗に整えようとも、ネオンの走る常夜の下ではオトナのための繁華街、という雰囲気は払拭できないが。

 そのひとつが、この――裸エプロンメイド喫茶、という紳士のための喫茶店なのだろう。なお、シオリンは背丈や身体つきから幼女と間違われるが、このような店にも堂々と入れる年齢とのことである。

「最近、デビューの話がぎょーさん来とるんに、全部断っとるっちゅーメイドはんがおる聞いてな」

 どうやら、ユウたちに接触する前に、目星はつけていたらしい。とはいえ、シオリン自身、自分で調べた情報が信じられなかったのだろう。

「……アレが神の力の片鱗かいな?」

 両手両膝を突いて蹲り、仲間から励まされているシレーの様子は、とてもではないが神とは程遠い。

「ダンスは達者だったでしょ!」

 確かに、彼女の舞いは美しく、一方でヤシロはただそれを真似しただけだった。にも関わらず、肝心の本人が折れている。

「やっぱり私に大舞台だなんて!」

「大丈夫です! 大丈夫ですってシレーさん!」

「シレーさんならミューズフェスだって出場できるのー!」

 ヤシロは何も考えてなさそうだが、項垂れて励まされているところまで無思慮に真似ることはない。それ以上踊ることはなく、ただぼんやりと立ち尽くしている。ステージのスポットライトはすでに落とされ、店内の照明が点灯された。メイド喫茶のミニライブは終幕したということなのだろう。一〇以上はありそうな客席のテーブルに使用中の食器は残されているが椅子は空いている。そこに座っていた者たちは、みなステージの下に集っているようだ。

 いわゆる“ご主人さま”たちにとっては、それはいつものミニライブだったのだろう。だが、知る者たちにとって、これはただのミニライブではなかった。男たちの最前列で、女ふたりがぼやくように状況を確認し合う。

「あー……これがアイドルバトル……やったか」

 もし、先程のライブをバトルと呼ぶのなら、状況的に勝者はヤシロ、ということになりそうだ。

「歌や踊りで格を競い合い、負けを認めたアイドルの身体に聖痕を持つ者が触れれば、敗者の聖痕は勝者のもとに移るはずよ」

 そうして、いずれはすべての聖痕がひとりの化身(アイドル)に宿るのだろう。だが、勝敗の基準は技術そのものよりメンタル面によるところが大きそうだ。となると、シレーのような者はこの戦いに向いていない。

「あんさんがシレーはんの実力みたいーゆーから店長に頼んでけしかけてみたけど……」

「念のために演習しておいて良かったわ」

 確かに、右のお尻には金の女神像で見たものとそっくりな聖痕が浮かび上がっている。こうして三人分のお尻が並んでいるが――実際、観客たちが釘付けになっているのはシレーのものだ。本人が項垂れていても、女神としての力は遺憾なく発揮されているらしい。

 とはいえ、彼女は敗者である。

「演習とはいえ、いまのシレーはんが聖痕持ちに触れられると……」

 幸い、この場に聖痕持ちはいないはず――だが――

 ふいに、ヤシロの視線が厳しくなる。その瞳はいまだお尻を鑑賞している群衆に向けて――その中にあからさまな不審者がひとり。ドブ色のフードを深くかぶっているため、目元は見えない。そんな怪しい客は人混みを掻き分けるように一歩、二歩と足を進め、そして――

「っ!?」

 それで、シレーも気づいたらしい。だが、お尻越しに振り向いたものの、すでに背後では上着の暗い隙間の奥で鋭い刃物が光っている。目を見開いたのは一瞬だけ。すぐに惨事を予感して逆に強く瞳を閉じる。

 だが、そこに。

「おっと、マズイねぇ」

 ヤシロは神殺しの剣を抜き、シレーのお尻の前に差し出した。しかし、それは神しか殺せないと聞いている。何よりそれ以前に、ヤシロの剣の腕前は初心者だ。

 それでも、一瞬の隙さえ作れれば良い。

「……ッ!」

 抜き身を前にして躊躇した僅かな隙に、ローブを貫く鋭い拳が繰り出された。しかし、ユウの腕に手応えはない。そこには、ただ重いコートが一枚残されているだけ。それでも、相手の正体を知ることはできた。男性客に混じって違和感のない背丈ではあったが、真っ赤な長い髪をなびかせ――何より、サラリーマンのようにネクタイを締めたビジネススーツ――その色合いが漆黒であるため、喪服どころか、裏の組織の構成員にさえ見える。しかし、ピッチリしているどころか押さえきれない胸とお尻のメリハリは、男性のものではなさそうだ。そして、その頭上でピクピクと周囲を窺っている大きな三角耳は――おそらく、シオリンのものと違って偽物ではないのだろう。

「……なるほど、聖痕を狙うのは我々だけではなかったようね」

 どのように移動したのかはわからないが、その相手はいつの間にか人垣を越えていた。出口の扉の前に立っているため、いまから追うのは難しいだろう。だが、どうやら戦意はないらしい。

「状況が変わったわ。ここは一旦引かせてもらいましょう」

 荒事が未然に防がれたことと――何より、誰もがシレーのお尻――もとい、聖痕に夢中になっていたため、店内で騒ぎになることはなかった。ゆえに、赤髪のツネークスは、何事もなかったかのように悠々と退店していく。

「行ってらっしゃいませ、お嬢さまー」

 レジに立つメイドに引き止める様子はないので、どうやら支払いは済ませていたらしい。そして、カスガと入れ替わるように、金髪の偽ツネークスがヤシロのところへひょいと現れる。

「あんさん、よく反応できたな」

 刺客がいなくなったのを見て、ヤシロは剣を鞘に納めた。

「気配消してたからギリギリまでわからなかったけど、攻撃に転ずる瞬間ならねー」

 ただし、気配を読めてもできることは時間稼ぎくらいのもの。ユウ自身も、それを理解こそしていたが。

「というか貴女、ナニ逃げてんの」

 ユウはシオリンをそれなりの戦力と見做していただけに失望しているようだ。だがシオリンの隠匿は、仮にも同じツネークスだからこそ。

「無茶ゆーなや。カスガ・B・タカヤ……通称、カスガ参謀。よくわかったやろ。アイツ、ただの頭でっかちやない」

「腐ってもツネークスってことね」

 ツネークス――その一言で――何が起こっていたかわからなかったメイドアイドルも理解する。

「ツ……ツネークスが……どうして私なんかを……?」

 シレーはいまだ立ち上がることができない。ぺたんと床に座り込んだまま恐怖に打ち震えている。ツネークスの驚異は全宇宙に知られているようだ。

 そんな彼女を諭すのは、ユウでもヤシロでもなく――

「事情は、そこの方々からお伺いしております」

 裸にエプロン一枚という装いから、同じ店の従業員であることはわかる。が、小さな背丈に似合わずシャンと伸ばされた背筋は、お尻まで一直線に美しい。そして、反論を許さぬ雰囲気で、シレーに向けて言い放つ。

「行きなさい、シレーさん」

「メイド長……」

 その凛とした立ち振舞いは、やはりメイドの長たるものだったようだ。身長こそ低いが、シオリンと異なり胸部はしっかりと内側から張り出している。メイド長の威厳は、そんなところからも醸し出されているのかもしれない。

 上司が現れたことで、シレーも我に返ったようだ。慌てて立ち上がり、小さなメイド長に向き直る。

「し、しかし、デビューの話ならすべてお断りしたと……」

 やはり、聖痕を持つ者はその力を発揮してしまうものらしい。これまで埋もれていたのは、シレーの後ろ向きさによるものだろう。

 だが、メイド長はそれを許さない。

「またツネークスの“お嬢さま”が“お帰り”になられると、他のご主人さまにご迷惑がかかりますので」

「いやああああああッ!?」

 ひとしきり仰け反ったところで――再びシレーは膝を突いた。それに対して、待っていたと言わんばかりにふたりのメイドが素早く寄り添う。

「大丈夫、おねーさんたちもついていくからー」

「頑張りましょう、シレーさん」

 今度ばかりはメイド長の命令である。おそらくシレーも逃げることはできない。そんな様子を見ていたヤシロが呟いた。

「……なーんか、勇者の旅立ちー、って雰囲気だねー」

 本人にやる気がないのはさておき、この構図はまるで王様から魔王討伐を託された勇者一向のようである。

 そんな他人事を漏らすヤシロをユウは呆れながら肘で小突く。

「しっかりしなさい、勇者は貴女なんだから」

 だが、ヤシロはそれに応えず視線を逸らす。もしかすると、譲れるものなら譲ってしまいたいのかもしれない。


       ***


 シレーです。最近ご主人さまたちから頻繁に指名が入るようになったとは思っていたのですが、まさか、神の力だったなんて……。微力ながら、私にできることならお手伝いいたしますが……ええっ? 最初の相手は宇宙最強の歌姫!? 私などに勝てるはずがありません!

 次回、無気力勇者と5人のアイドル、第2話『4人のメイド』

 で、では、そろそろお店に帰っていいですか……?


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