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拒絶の幼馴染  作者: ひゃるる
89/200

89、風邪と陽葵とワガママと

 振替休日の二日目。

 時刻は午前九時頃。

 これから有意義な休日が過ごせるんだな、と思っていた時もありました。

 リビングには俺と陽葵の二人きり。

 そんな中に、ピピピピ、ピピピピっと無機質な機械音が鳴り響く。


 「…三十七度六分…」


 「はーい風邪でーす!」


 「…なんでテンション高いのよ…」


 陽葵は、ソファーの上に、ぐでーっとなりながら不機嫌そうに俺を見る。

 別にテンションが高い事に特に理由はない。


 「とりあえず部屋で寝ろ。早く。今すぐに!」


 「やだぁ〜!せっかくのお休みなのに!」


 「お前は小学生か」


 熱があるにもかかわらず、テレビとゲーム機の電源を付けてリビングに居座ろうとする陽葵。

 そしてコントローラーを握ると、余ったコントローラーを俺に投げつけてきた。


 「いや、寝ろよ」


 「大丈夫だってこれくらい!遊んでれば治るから!」


 「お前なぁ…」


 まぁ、そこまで高い熱でもないから放っておいても大丈夫か。


 「…買い物行ってくるから大人しくしてろよ」


 「えぇ…行かないでよ…」


 「始まったよ…」


 陽葵は風邪をひくとワガママになる。

 いや、いつもワガママと言われればそれまでなのだが、風邪の時のワガママはなんというか…ガキっぽい。

 これくらいならかわいいものなのだが、いつもの陽葵はただの暴君だからかわいくはない。

 俺は陽葵の隣に座ってコントローラーを握った。


 「…ちょっとだけだぞ」


 「わかってる」


 こういう時の陽葵は基本わかっていない。




 一時間後。


 「アホですか?」


 「…すみません…」


 あの後、「喉乾いた…」と言いながら冷蔵庫に向かう陽葵の足取りは、明らかに健康な人の足取りとはかけ離れていた。

 一度座らせて熱を測らせたら案の定。

 三十七度六分で収まっていた熱は三十八度まで上昇。

 やはりすぐに寝かせるべきだったと後悔をした。

 あれだけワガママを言っていた陽葵は反論する気力がなくなり、大人しく自分のベッドに入っていた。


 「早く寝ろって言ったよね〜?」


 「…頭痛い」


 陽葵の頬に濡れたタオルでペチペチと何度も叩いてやる。

 まぁ、止めなかった俺も悪いし、そろそろかわいそうになってきたから許してやろう。俺は優しいからな。うん。


 「んじゃ、昼ごろまた来るから」


 タオルを額の上に乗せて、部屋の出口に向かおうとしたが、腕を掴まれてしまった。


 「…行かないで…」


 「またぁ…?」


 瞳を潤ませながら弱々しく呟く陽葵。

 …なぜだろう。男なら萌える展開なんだろうけど、全く萌えない。陽葵もかわいいはずなんだけど、全くそういう気になれない。やはり姉弟だからだろうか?

 これが他の女の子だったら俺の理性は保っていられただろうか。


 『旭ぃ…行かないでぇ…』


 ごはぁっ!?

 …危ない危ない。

 なぜかは知らないが、弱った伊織の姿が頭の中に浮かんでしまった。

 この前の告白の刺激が強すぎたのだろうか。危ない危ない。


 「…あさひぃ…」


 「わかったわかった。わかったから早く寝ろって…」


 仕方なく陽葵のベッドの横に座ってスマホを起動する。

 ソシャゲのログインも済ませてしまい、やる事が特にないため適当に漫画アプリを開いて、面白そうなものを探して読み進める。

 おっ、意外と面白いじゃんこれ。


 「早く次…のページ…」


 「ちょっと待て、俺まだ読み終わってない」


 陽葵が早く読め、と急かしてきたため、俺は少し流し気味に漫画を読み進める。

 漫画くらい、一人でゆっくり読ませて欲しいのだがな。

 …ん?

 俺は何かが変だと思い、後ろを向く。


 「…なに…?」


 そこには、熱のせいか少し息の荒い陽葵が、俺のスマホに視線を向けていた。


 「陽葵ちゃん?」


 「…早く…次…」


 言い終わる前に、陽葵の額のタオルを目に被せた。


 「…なにすんのよぉ…」


 「寝ろ」


 「だって…眠く…ないもん…」


 「目瞑ってろ」


 「うぇぇ…」


 めんどくせぇ…。

いつの間にか陽葵が脇役っぽくなっちゃってた事に気づきました。

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― 新着の感想 ―
[一言] 楓じゃなくて伊織を先に想像してるし思ったより勝率高そう
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