表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
拒絶の幼馴染  作者: ひゃるる
85/200

85、わかってる

 この場だけ時が止まってしまったかのように感じた。


 「…好き…」


 もう一度、彼女は噛み締めるように言った。

 中学の時からずっと求めていた言葉。

 どれだけアプローチしても、伊織からは決して言われることのなかった言葉。

 ずっと、ずっと言わせたかった言葉。


 「…俺…」


 後は彼女の言葉に応えるだけだ。

 俺も好きだ、と。

 しかし、その一言は出てくる事はなかった。

 口に出そうとしても、正体不明の違和感が纏わりついて、猛烈な気持ち悪さが俺を襲う。

 言うだけだろ?簡単だろ?何で言えないんだよ。


 「…えと…」


 何か、何か言わなければならない。

 伊織の告白に対しての答えじゃなくてもいい。

 このまま黙っているのはまずい。


 「…」


 それでも声は出なかった。

 頭の中がぐるぐるしてて何も考えられなかった。


 「…旭…」


 「っ!」


 痺れを切らしたのか、伊織は俺のことを呼んだ。

 恐る恐る彼女の顔を見ると、彼女はなぜか笑っていた。


 「…わかってるよ、旭」


 「…ぇ…?」


 いったい何をわかっていると言うのだろうか。

 伊織には何が見えているというのだろうか。

 俺は伊織の次の言葉を待つ。


 「当たり前だよね…」


 そう言って伊織は窓の外に一度目を向けて、すぐに俺の方に戻した。

 その時の顔も笑っていた。

 だけど、少し寂しそうだった。


 「旭さ…私の事、もうそういう風に見てないでしょ?」


 「なっ?!」


 そんな事ない、そう言おうとしたが、今まであった気持ち悪さと違和感が一気に無くなった気がした。

 その時、初めて理解した。

 納得してしまった。


 「あはは…そうだよね…知ってた…。あんな事言っちゃったんだもん…」


 「…いや、それでも最近までは…まだ好きだった気がする…」


 そう、最近までは。


 「…そっか…」


 「…ごめん…」


 「…旭はさ…私の事、嫌い…?」


 「いや、嫌いなわけないだろ…」


 「…ありがと…」


 「あ…いや…」


 「…じゃあさ…」


 そう言って伊織は俺に近づいてきた。

 え、何?!

 伊織は俺の前まで来ると小さく息を吐いた。


 「…私は、旭が好き!」


 「お、おう…」


 「だから!旭がまた好きになってくれるように頑張る!」


 「…へ?」


 ごめん、ちょっと理解が追いつかない。

 すると伊織は俺の胸ぐらを掴んできた。

 えっ?!何?!俺ボコボコにされるの?!


 「わ、私は!あなたを…ほ、惚れさせる!!!」


 「ふぁ?!」


 惚れさせるって…えぇぇぇぇ?!


 「旭がいつも、す、好きって言ってたみたいに、私も、もう隠さないから!」


 そう言って顔をずいっと近づけてきた。

 西日に照らされた彼女の顔は真っ赤に染まっていて、覚悟を決めたような目で俺を見ていた。


 「か、覚悟しといて!!!」


 その言葉を最後に、伊織は俺に背を向けて空き教室を走って去っていってしまった。


 「…」


 え、ちょっと待って。

 惚れさせるって…?


 「…はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?!?!」


 俺の声が教室に響く。

 先生に見つかったりしたら確実に片付けをサボってる認定されて怒られるだろう。

 しかし、今の俺にそんな事を気にする余裕なんてなかった。


 「いや…え?!は?!お?!」


 もはやパニック状態だった。


 「え、えぇぇぇぇぇぇぇぇぇ?!?!?!?!」


 自分の顔が熱くなっていくのがわかった。

 いや俺、何されんの?これからどうなるの?!


 「いや、え?はぁ?っげほ!」


 叫びすぎて咽せてしまった。

 そこでようやく俺は冷静になることができた。


 『わ、私は!あなたを…ほ、惚れさせる!!!』


 「っ!!」


 頭が冷めても顔の熱が引くことはなかった。

朝香さん?!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 友達宣言の時にやってたら高確率で勝利出来てた 今は恐らく勝率3割前後…
[良い点] 伊織頑張ったね、、、 [一言] 伊織派なので楓も好きで大好きでしょうがないけど、伊織派なので、、、 伊織、、、がんばれ、、、幼馴染、、、、報われてくれ、、、 楓もすち、、、でも、、、いおり…
[一言] うんうん。次は伊織氏の番だもんね。楓ちゃんと正々堂々頑張って欲しい。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ