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拒絶の幼馴染  作者: ひゃるる
23/200

23、締まらない

 「名前?」


 「そう、名前!」


 昼休み。俺と高橋が昼飯を貪っていると小野寺さんが皇さんにくっつきながら聞いてきた。


 「高橋君は『旭』って呼んでるのに佐倉君は『高橋』のままだよね。なんで?」


 「なんでって…なぁ?」


 「なんで?」


 「おめぇもかよ」


 言われてみれば確かにそうだ。俺だけ高橋を名前で呼んでいない。


 「名前、流歌るかだっけ?」


 「なんで疑問形なんだよ。クラスメイトの名前くらい覚えてるだろ?」


 「…」


 「嘘だろ?」


 いや、この期間いろいろとありすぎてそこまで気が回っていなかったといいますか。


 「佐倉君?」


 「…佐倉くん?」


 「すみません」


 小野寺さんと皇さんに冷たい目で見られる。

 いいですね、その表情。グッドです。


 「いや~高橋はなんか、『高橋!』って感じがするからさ~」


 「なんだよそれ」


 「でも、高橋っていっぱいいると思うんだよね」


 「高橋が…いっぱい…?」


 「佐倉くん…たぶん違う…よ?」


 なんだ、高橋がゾンビみたいにいっぱいいるのかと思ったじゃないか。考えただけでも恐ろしい。

 全員で「よう、旭!」なんて言って迫られてきたら失神するわ。


 「でも、俺が今更名前で呼んだところで違和感しかないと思うぞ」


 「試しに呼んでみ?」


 「…流歌?」


 「うぉぉ、寒気が」


 「てめコラ」


 震える素振りを見せる高橋。自分から言ってきたくせになんなんだこいつは。


 「じゃあ、私は?試しに呼んでみてよ!」


 「謹んでお断りいたします」


 「なんで?!」


 「『キモイ』って言われて俺が殺されるのが目に見えている」


 「お前、まだ根に持ってたのか…」


 あたりまえだ。女子からの『キモイ』は即死魔法だぞ?あれ?なんで俺生きてるの?


 「言わない言わない!言わないからさ!」


 「あーわかったわかった!」


 これ以上渋っていると掴みかかってきそうな雰囲気だったのでとりあえず了承しておく。


 「…名前、なんだっけ?」


 「ひどい!」


 「いや、小野寺さんは『小野寺さん!』って感じじゃん?」


 「君それ言えば許されると思ってるでしょ」


 「ごめんなさい」


 本格的にごみを見るような目をしてきたので、すぐに謝っておく。


 「もう…美波みなみだよ美波」


 「だってよ高橋」


 「知らなかったのお前だけだよ」


 「なん、だと…?」


 そう言われ皇さんのほうを見ると「うんうん」と少し怒ったような顔でうなずいてくる。かわいい。


 「美波さん?」


 「さん、はいらないよ」


 「美波?」


 「…なんか、普通」


 「何を期待していたんだ」


 本当に何を期待していたんだこの人は。


 「なんか、こう…ドキッとなる感じのを期待してたんだけどなぁ」


 「だとよ高橋。お前の出番だ」


 「なんでだよ」


 「そうだ!高橋君もやってみてよ!」


 「えぇ…」


 これで終わりだと思ったか?残念だったな高橋!


 「美波…」


 「うははは!高橋が女子を名前で呼んでる!」


 「旭テメェ!」


 女子の手料理がー、とか言っていた高橋が女子を名前で呼ぶと違和感というか、無理してる感が出ていて面白い。

 名前で女子を呼ぶだけでこんなにも笑いが取れる高橋は天才だと思う。最高。


 「可もなく不可もなくって感じだね」


 「こっちもこっちでむかつくな」


 「あ!二人とも呼び方はそのままでいいよ。私も旭君と流歌君って呼ぶから」


 「君、フレンドリー過ぎない?」


 「陽キャだ」


 「え?だめ?」


 「いや別に」


 「俺も特に」


 「じゃあ、ケッテー!」


 この人すごいな。今まで友達とかに困ることはなかったんだろうな。

 こういう人、素直にすごいなって思う。


 「あ、あの!」


 今まで黙っていた皇さんが声を上げる。


 「わたしも、名前で呼んでみて!」


 そう言って詰め寄ってくる皇さん。

 美波だけ名前で呼んだから疎外感を感じたのだろうか。


 「いっその事、ここにいる四人みんな名前で呼び合わない?」


 美波がそう提案してくる。


 「楓…でいいの?」


 「う、うん。流歌くん、で大丈夫かな?」


 「全然オーケー」


 高橋と皇さんがお互い確認し終えると皇さんがこちらを見る。

 高橋からも「次はお前だ」という視線が送られてくる。


 「えっと…よろしくね、楓?」


 「っ!うん!よろしく!旭くん!」


 そう言って満面の笑みで答える楓。

 ほんと、変わったよなこの子。それもいいほうに。

 今まで楽しめなかった分、充分に楽しんでほしいな。

 そう考えていると美波が「うんうん」と自信ありげに腕を組んでうなずいている。


 「いやぁ、私のおかげでみんな仲良くなれたみたいでよかったよ」


 「いや、名前で呼ぶようになっただけだよね」


 「なんでそういうこと言うかな。今いい感じに締まろうとしてたよね?」


 「そういうキャラでしょ?美波って」


 「何勝手に変なキャラ付けしちゃってくれてるの?」


 「違うの?」


 「違うよ!」


 どうやら彼女では締まらないらしい。

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