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NO2:食塩水を電気分解する

 とある小学校の図書室でのこと。


 「水って、電気分解すると水素と酸素に分かれるんだ。へぇー」


 理科の本をじっくりと読んでいた小学五年生カズキは、水が分解できることに関心を示していた。


 「水って、分解できるの?」


 隣からカズキに話しかけたのは、同級生のジュンだ。


 「そうらしいんだよ。今日家でやってみようかな」


 気になることは、やってみないと気が済まない性格のカズキ。早速、家で実際にやってみることをひらめく。


 「でも、電気を使うと危険じゃないの?」


 対して、少しでも危険ならば手を引くジュン。性格は真反対だ。


 「ゴム手袋をはめるから、大丈夫だよ」


 「本当にそうかなあ」


 カズキの事を心配するジュン。しかし、カズキはそんなことを気にもしていない。


 「あ、食塩水も電気分解出来るって書いてある!端っこの方が破れてて、何て書いてあったかは分か

らないけど」


 ページの端の方が破れていたが、食塩水も電気分解できるようだ。


 「ジュンも来る?」


 「いや、いい」


 電気と水という二つのワードが重なっただけで、行きたくないと思うジュン。ゴム手袋をはめるからといって、安心はできなかったのだろう。


 「じゃあ、明日どうなったかだけいうから、楽しみに待ってて!」


 それだけ言うと、カズキは本を本棚にきちんと直して、図書室を駆け足で出て行った。


 「図書室は歩かないといけないはずなのに・・・・・・」とは、ジュンのつぶやいた一言である。


 ―――――学校終了後―――――


 カズキは、自宅に帰ってくるやいなや、電気分解するために必要なものを集めだした。


 大型の使っていない水槽にまず水道水を入れる。水がギリギリまでたまると、カズキは蛇口を閉めた。


 問題は、電気を流す方法。こればっかりは、カズキも数分悩んだあげく、とんでもない方法を思いついた。


 その方法とは、『コンセントにプラグをつないでそのまま水槽に突っ込む』というもの。


 確かに電気は流れるが、感電する危険の方がはるかに大きい。それに、間違いなく親に怒られる。だが、カズキは片付けの事はなにも考えていなかった。


 早速、カズキはケーブルの先端を水槽の中に放り込んだ。そのまま、しばらく水槽の様子を見る。


 しかし、カズキにとっては予想外なことに、特に面白い変化がない。水素や酸素を調べるための物を何も持ってきていないのだから、一見なにも起きていないように見えるのは当然なのだが。


 このままでは面白くない。そう思ったカズキは、次の実験に移行した。


 まず、水槽の水の中に台所から取ってきた食塩をぶちまける。後の事は全く考えていない。


 さすがに、水に触れると感電することはカズキも分かっているので、水に浸かっていないところを持って、水から引っ張り出した。そして、水槽の中の水をかき混ぜる。


 ある程度かき混ぜたカズキは、再びプラグを水槽の中に入れた。


 カズキが実験のために使っている部屋は、閉め切った部屋。発生した気体が逃げていかないように、というカズキの発想によるものである。

 

 1分後。

 

 「眠いなあー」


 カズキは、またもや何も起きない水槽を見ながら、横になっていた。


 眠気が、カズキを柔らかく包む。退屈なのも作用して、カズキは眠りに落ちた。そして、目覚めることは二度となかった。


 ―――――図書室―――――


 本棚の真下の床に、一片の紙が落ちていた。その紙には、こう書いてあった。


 『注意 食塩水を分解すると、塩素が発生します。この実験をやむを得ずする場合は、必ず換気を徹底してください』 

2NaCl=2Na+Cl²

食塩=ナトリウム+塩素

換気は絶対!

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