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閉じ込められた僕達。  作者: わこす
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出会い

おはよう。外が明るいから朝なのだろう。

意識が朦朧としている中、いつも通りの日課を過ごす。味のよく分からないご飯を食べ、歯を磨き、燃えるゴミを捨てに行く。そして準備をして学校に向かおうと支度をする。

希望に満ちた僕の将来は僕が決めるのだ。忘れ物がないか確認をしてから学校に向かう。

また新たな1ページを刻みに、僕は家を。

飛び出した。


「・・・・・て」

飛び出した。

「・・・・・」

飛び出した。筈だった。

「起きて。」

謎の呼び声に僕は目を覚ます。頭が痛い。胸が苦しいような気がする。しかし、何時までもこのままでは何も起こらないと、俺は目を開けて起き上がった。

「・・・え?」

そこは、真っ白な空間に僕は居た。

起き上がったというより、立っていた。

直立。

足に力が入らず、ふらり、よろめいてしまうが何とか耐える。それよりも周りの状況が飲み込めず、理解し難い気持ちでいっぱいであった。一つ言えることはここは家ではない、という事である。

「・・・・・・」

しかし妙に冷静であった僕は、辺りを見渡した。落ち着いていた訳では無い。だが一つ言えるのは「行動」を起こさなければならない。と直感的に思ったからである。

少し辺りを見渡すと、白い扉が真正面にあった。目を凝らさなければ見つからなかったであろう。僕はその扉に吸い込まれるように体が動く。手を伸ばす。

その先には、学生服をきた自分と同じ年代くらいの人が居た。同じように彼もこの状況に戸惑っているような、そんな感じだった。

「・・・え?」

「・・・・・・やあ。」

その人は此方を見るとまるで1度会っているかのように僕に挨拶をしてきた。僕も戸惑いつつも、

「お、おはよう。」

と返す。今が何時か分からないが、昨日寝て今日起きたらここにいるためおはようであっているであろう。

「・・・君は、何故ここにいるんだい?・・・まあ、わかったら困ってないか。」

「・・・?」

「何でもないよ。恐らく、僕達が会えたのは幸運だと思う。何もわからない状態で出会える人間がいる事がツイてる、ってやつだと思うんだ。」

「・・・ま、まあ・・・。」

彼は先程とは違って様々なことを知ったような風に此方を見て

「僕は凪稾焔なぎわらほむら。焔でいいよ。君の名前は?」

「ぼ、僕は影鉈 創 (かげなた そう)。君がほむらなら僕はそう、かな……?」

「ん、わかった。創。よろしくね。」

差し伸べられる手に僕も差し伸べ返すしかなかった。

「ふふ、まあ・・・なんでこんなに落ち着いてられるかって感じでしょ。」

そりゃそうだ。パニックになっていない僕の頭がおかしいんじゃないか、と疑問に思うが、それをも違和感と思わないほど心が平穏を保っていた。その事を焔に伝えた。

「ん、・・・そうかい。君がそう思うなら、僕もそう思うかな。」

などと訳の分からないことを言っている。彼の考えていることはよく分からない。

「・・・とにかく。ここは何処なんだろう・・・」

「ここかい?ここは・・・そうだね。暫く居たら分かるんじゃないかな。」

「暫く・・・?」

「うん。しばらく。また1人来るんじゃないかな。」

そういうと、指を指した方から扉が開き。僕と同じ学校の服を着た人が同じ部屋に歩いてくる。

「・・・」

「ねぇ創くん。君は、生きたい?」

「え?そりゃあ・・・勿論。」

その言葉を聞いた焔は安心したように頷いてこう言った。

「その気持ち、忘れちゃいけないよ。今後何があっても。離しちゃダメだ。」

いいね?と念を押され、僕は思わず頷いた。

「あの・・・ここは・・・?」

「ふふ、幸運な人がまた増えたね。」

と、焔は終始不気味なくらい笑顔で、顔も知らないような人にまた話しかけるのであった。


僕は少し驚いていた。何故なら僕のあとに結局6人程同じ部屋に集まったからである。触れもするし、痛覚もある。少なくともここは夢では無いのだ。

一通り皆が皆自己紹介する流れになった。

「私は鶴野智子つるのともこです。よろしくお願いします。」

「俺は雨切陣あまぎりじんだ。よろしく。」

「星原ひかるでーす。よろしく!」

「あ、僕は霧谷藍良きりたにあいら)でーす!よろしくね~」

と、手短に自己紹介を済ませお互いがお互いを認識した。自然と馴染むような気がして何処か違和感を感じる。皆同じ制服という事は1度会っているのかもしれないな、なんて思いながら僕達は状況を整理する。

「・・・朝起きたらここにいました。・・・としか記憶がありません・・・。すみません。」

「俺は・・・よく覚えていない。車に乗って、寝ていたような・・・、」

「ひかるよく分かんない。友達と話してた気がするけど、はっきりとは覚えてないわ。」

「あー、そうだ!あの魔法少女まじかる☆みらいちゃんのアニメを見ていたと思うよ。ずっと見てたからね・・・!ぼーっとしてたら今こんな所に・・・」

と、皆ぼんやりとしか覚えていないようであった。僕も含めて、寝る前の記憶と何故ここにいるのか分からなかったようだった。

「焔は?」

「ん、僕かい?僕は・・・そうだねぇ。ここに来る前はコーヒーでも飲んでたかな。・・・覚えてないかな。創も覚えてないんでしょ?」

「うん・・・覚えてない、かな。」

「手詰まり・・・ですか。」

「そうなるな。少し俺は辺りを探索してくる。」

「ウチも行く!ここってスマホ使えないっぽいし・・・不安だし!」

そもそも、ここが何なのか。僕達は何のために集められたのか。それを解明しないと出口さえ見えないこの部屋は出してくれ無さそうだな、と僕は思う。

何か、とても大きな何か。ここにいる理由がある筈だ。と。

そう信じて、僕達は探索を始めた。

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