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クルマ娘キュートレーサー  作者: 印朱 凜
エピソード3
83/85

ロードスターはいずこへ?


 次の日の昼過ぎになって、バブル組は再びユーノス・ロードスターの実家へと集合していた。

 総勢10人近くのクルマ娘による津々浦々の大捜索にも関わらず、とうとう行方不明となったロードスターは、発見されるに至らなかったのである。

 途中で脱線しまくって、レースまがいの勝負を、おっ始めてしまう血気盛んな娘が多数だったから……であろうか。


 少し寝不足気味の松田コスモ・スポーツは、リビング中央のテーブルを囲むように座したバブル組を見回した後、腕組みしながら首の関節を鳴らした。


「う~ん、ここまで心当たりのある場所を虱潰しに探しても、全く成果が得られなかったとは……。これはもう、お手上げなのか」


 それを聞いた三菱GTOは、テーブルを叩くと、すぐさまツッコミを入れた。


「いや、アンタは引っかき回しただけで、具体的に何もしてないじゃないか!」


 その乱暴な言葉を遮るようにアンフィニRX-7が擁護した。


「とんでもない! コスモさんは御両親と連絡を密にして、一晩中寝ずに頑張っていたんですよ! 捜索隊の中心となって、影で支えていたんです!」


 意外な事実を前に、椅子から立ち上がったGTOは冷静になり、彼女を素直に認めるのだった。


「ハンッ! それならそうと、ハッキリ伝えてくれりゃあイイじゃねーか。報酬をエサにして、上手く使いっ走りさせられたと思っちまうぜ」


 対面に座っていた日産フェアレディZとスカイラインGT-Rは顔を見合わせながら、他のクルマ娘達が難なくロードスターを発見するだろう、といった甘い考えだった自分達を責めた。


「ゴメンよ、RX-7! フェアレディZと一緒になって探してみたんだけど、あまり力になれなくて……とにかくゴメン!」


「オイオイ、オレもいた事を忘れんなよ!」


 アンフィニRX-7とコスモは、ねぎらいの言葉を伝えただけで、むしろ三人のクルマ娘達の献身的な努力に感謝するしかなかった。


 その後には気まずい沈黙の時間だけが、無情にも過ぎてゆくのだ。

 一段落着いたところで、とうとう豊田スープラが深刻な表情でコスモに伝えた。


「とても残念な事ですが、これはもはや……我々の手には負えない案件なのでは?」


 それを聞いたコスモはポニーテールを揺らすと、無念で一杯の感情を押し殺すようだった。

 続けてソファに座るロードスターの御両親に、言葉を選ぶように語りかけた。


「行方不明から、すでにかなりの時間が過ぎてしまいました。お力になれず、誠に申し訳ない気持ちで一杯です。ですが、こうなったからには、今すぐ警察に失踪届を出して捜索願いを……」


 すっかり焦燥し切った父母は、絶望感と無力感に苛まれながら、最後の希望を警察に託すため、携帯電話のキーパッドに110を入力した。


「それは、ちょっと待ったあああぁぁぁ!」


 その場にいた全てのクルマ娘達が、大声を発した人物に注目する。あまりの事に狼狽えたロードスターの父親はスマホを床に落としてしまうほどだった。




 

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