ロードスターはいずこへ?
次の日の昼過ぎになって、バブル組は再びユーノス・ロードスターの実家へと集合していた。
総勢10人近くのクルマ娘による津々浦々の大捜索にも関わらず、とうとう行方不明となったロードスターは、発見されるに至らなかったのである。
途中で脱線しまくって、レースまがいの勝負を、おっ始めてしまう血気盛んな娘が多数だったから……であろうか。
少し寝不足気味の松田コスモ・スポーツは、リビング中央のテーブルを囲むように座したバブル組を見回した後、腕組みしながら首の関節を鳴らした。
「う~ん、ここまで心当たりのある場所を虱潰しに探しても、全く成果が得られなかったとは……。これはもう、お手上げなのか」
それを聞いた三菱GTOは、テーブルを叩くと、すぐさまツッコミを入れた。
「いや、アンタは引っかき回しただけで、具体的に何もしてないじゃないか!」
その乱暴な言葉を遮るようにアンフィニRX-7が擁護した。
「とんでもない! コスモさんは御両親と連絡を密にして、一晩中寝ずに頑張っていたんですよ! 捜索隊の中心となって、影で支えていたんです!」
意外な事実を前に、椅子から立ち上がったGTOは冷静になり、彼女を素直に認めるのだった。
「ハンッ! それならそうと、ハッキリ伝えてくれりゃあイイじゃねーか。報酬をエサにして、上手く使いっ走りさせられたと思っちまうぜ」
対面に座っていた日産フェアレディZとスカイラインGT-Rは顔を見合わせながら、他のクルマ娘達が難なくロードスターを発見するだろう、といった甘い考えだった自分達を責めた。
「ゴメンよ、RX-7! フェアレディZと一緒になって探してみたんだけど、あまり力になれなくて……とにかくゴメン!」
「オイオイ、オレもいた事を忘れんなよ!」
アンフィニRX-7とコスモは、ねぎらいの言葉を伝えただけで、むしろ三人のクルマ娘達の献身的な努力に感謝するしかなかった。
その後には気まずい沈黙の時間だけが、無情にも過ぎてゆくのだ。
一段落着いたところで、とうとう豊田スープラが深刻な表情でコスモに伝えた。
「とても残念な事ですが、これはもはや……我々の手には負えない案件なのでは?」
それを聞いたコスモはポニーテールを揺らすと、無念で一杯の感情を押し殺すようだった。
続けてソファに座るロードスターの御両親に、言葉を選ぶように語りかけた。
「行方不明から、すでにかなりの時間が過ぎてしまいました。お力になれず、誠に申し訳ない気持ちで一杯です。ですが、こうなったからには、今すぐ警察に失踪届を出して捜索願いを……」
すっかり焦燥し切った父母は、絶望感と無力感に苛まれながら、最後の希望を警察に託すため、携帯電話のキーパッドに110を入力した。
「それは、ちょっと待ったあああぁぁぁ!」
その場にいた全てのクルマ娘達が、大声を発した人物に注目する。あまりの事に狼狽えたロードスターの父親はスマホを床に落としてしまうほどだった。




