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クルマ娘キュートレーサー  作者: 印朱 凜
エピソード3
73/85

魔のカーブ


 ワインディングロードが果てしなく続く道で、右に左にアウト・イン・アウト、スローイン・ファーストアウトを続けるスカイラインGT-Rは、巧みなコース取りをしながら頂上を目指す。

 三菱GTOも必死に食らい付いてゆくが、コーナリングの能力においてはGT-Rの方が一歩上手であった。


「なかなか、やるじゃねーか! だが、次のカーブで絶対に差してやる」


 次はやや下ったヘアピンカーブ。どちらかが先にビビってブレーキをかけてスピードを殺せば、十分に抜いていける道幅がある。


「よし、ここが勝負所だ!」


 一気に加速したGTOは、豪快にGT-Rのイン側からパスしにかかる。長い下りの直線は、重量級のGTOにとって最後のチャンスをもたらした。


「よっしゃあああ! ついに並んだぜ!」


 狭い道幅に荒れた舗装道路。カーブ前を予告する標識と滑り止めの段差をモノともせずに両者共、ひたすら加速を続けた。


「面白えええ! チキンレースってか? 望む所だあああ!」


 あと数十メートルでヘアピンにさしかかる。だが並びかけた両者とも決して道を譲らない。ついに薄ぼんやりと見えてきたヘアピンのガードレールは、そこだけ不自然なほど新品で、幾多の曲がり切れなかった車のバンパーを喰らってきた経歴を感じさせる。


「オイオイ、いつまで痩せ我慢するつもりだあああ? GT-Rよおおお!」


 真新しいクラッシュ痕で、斜めに歪んだガードレールの向こう側は、暗闇が広がる底なしの断崖絶壁。落ちてしまえば、間違いなく良くて病院送り、悪くてあの世逝きだろう。


「えええ? 嘘だろ! ここでまだ加速するかあああ?」


 信じられない事に、三菱GTOを引き離してスカイラインGT-Rがヘアピンに向かって突進していった。いつの間にか姿を見せた、能天気な見物人が歓声を上げる。


「なッ? 馬鹿なのか? 命知らずの自殺行為だぞ?」


 もう魔のカーブは、眼前に大口を開けて待ち構えている。限界を超えたオーバースピードである事は、誰の目にも明白であった。もはや、どう足掻いても曲がり切れない。


「慣性ドリフトなのかあああ? それでも無理だあああ!」


 暗闇に光るスカイラインGT-Rの眼光に、更に野生の凄みが宿った。彼女はギャラリー達の目の前で、女豹を思わせる咆哮を上げた。


「うおおおおおお! ――たああああああァァァ!」


 誰もが現実に繰り広げられている曲芸に、自分自身の目を疑った。

 スカイラインGT-Rは、事故で斜めとなったガードレールに飛び乗ると、そのまま遠心力を利用して倒れ込みながら旋回し、ヘアピンカーブを忍者のようにクリアしていった。


「何いいい? 水平シャトルループ? 3次元超立体ガードレールターンだとおおお? あんた何モンだあああ?」


 そのあまりの神業に戦意を喪失したままの三菱GTOは、ギャラリー達の拍手の中、徐々にスローダウンするしかなかったようだ。遅れて来たフェアレディZが、GTOの背中を押しながら言う。


「あ~ん、遅れて見れなかったじゃん! 彼女の名人芸が! 惜しかったな〜!」



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