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クルマ娘キュートレーサー  作者: 印朱 凜
エピソード2
39/85

セカンドのスタート


 私立名車女子学園の大健闘に、ここぞとばかりに実況の声にも力が入る。


「何とおおお! 波乱に満ちたラーメンスタンプラリーに予想外の展開だあああ! やはりイタリア勢に、食べ慣れないラーメンの早食いは酷なのか~? 先に完食してスタートの準備ができたのは我が校の選手、三菱ランサーエボリューションⅥの方でしたあああ! 後ほど調整されますが、第二チェックポイントに向かって先発してゆきま~す!」


 体育館に集まったクルマ娘達が、そして生徒会長が、モニターの数字を凝視する。


「行っけえええ! ランサー! パジェロとスタリオンが、ここで応援してるぞ~!」


「そう……ランサーさん、あなたは期待に応えられるクルマ娘のはず……!」


 柔軟を済ませた三菱ランサーエボリューションⅥトミ・マキネンエディションは、トールゲートの遥か先を見据えて構える。


「――4、3、2、1……今スタートです!」


「オレのスタートダッシュを……よく目に焼き付けろォォォ――!」


 湧き上がるトルクと自慢のトラクションを地面に叩き付けたランエボは、航空母艦からカタパルト射出されるように急加速してゆく。


『今となっては感謝に尽きるぜ……インプレッサ。この燃え上がるような熱気と、マグマのように内から湧き起こってくる底知れぬパワー! 全部てめえが……焚き付けてくれたおかげだ! それに鍛えてくれてありがとよ、マキネンコーチ……!』


 ターマック路面を靴底からスキール音を発しながら、右に左にダンスするかのごとく正確に攻めてゆくランエボ。ここでようやく伊太利屋女学院のランチア・ラリー037が店外に飛び出してきた。


「出ました! 第二走者の美しすぎるアスリート! 伊太利屋女学院の白き風! ランチア・ラリー037が今、スタート地点に向かいます!


「はあ~……こりゃ思ったより気合いを入れないと、勝負になんねーぜ。だが! 我々に勝つのは、容易じゃねえって事を思い知らせてやる!」


 マルティーニレーシングのスーツを風に翻し、猛禽類を思わせる姿を全クルマ娘に印象付けたラリー037は、あくまで冷静だ。


「次走のカウントダウンが始まります! ここは注目のスタートです! 全校生徒の皆さん拍手で見送って下さい!」


「――3、2、1……気合いだァァァ!」


 その迫力は若干ランエボに劣るとはいえ、寸分違わぬ完璧なスタートダッシュを成功させたランチア・ラリー037だった。そして燻し銀のテクニカルな身のこなしで障害物を避けながら、街道に向かって吸い込まれるように消え失せていったのだ。

 



 




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