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クルマ娘キュートレーサー  作者: 印朱 凜
エピソード2
36/85

デルタの走り


 先行するランチア・デルタHFインテグラーレEvoⅡは、学校の敷地外から公道へ抜けると、周囲に気を配りながらマラソン選手のようなペースで走ってゆく。ただそのスピードはクルマ娘らしく、人間の限界を遙かに超えていた。


「――総距離は10.05kmで区間距離は0.45kmです。……次に見えてくるT字路を右折します。制限速度は時速30㎞……」


 ワイヤレスイヤホンから逐次送られてくるナビゲーション情報を元に、ランチア・デルタはアスファルトの路面を、横断歩道を、公園を一直線に横切り、時には路地裏の狭い道を野良猫と野次馬に気を付けながら走る、走る!


「がんばれ―! 真っ赤な服の、ねーちゃん!」


「グラッチェ!」


 沿道に群がる親子連れの声援に愛想を振りまくと、ついナビ情報を聞き逃す。


「次、総距離は6.82kmで区間距離は0.80kmです。コンビニを左折し農道に出ると速度無制限ですが、ラフロードです……時に犬の糞が落ちています」


「ちょっと、ちょっと! コンビニなんて見えてないけど~! コマ図合ってんの~?」


 ミスコースは致命的だ。道に迷ったりすると目も当てられない結果となる。ここは敵地で、土地勘のない伊太利屋女学院勢にとっては、正にナビゲーターからの道案内が命綱となる。


「あった! 茂みに隠れて見えにくいけど、確かにコンビ二の看板。……ちっさ! こんなの見逃すじゃん!」


 そして人混みと速度制限から逃れたランチア・デルタは、水を得た魚のように加速してゆく。


「そりゃあああ――! どいてどいてどいて――!」


 砂煙を撒き散らしたかと思うと、今度は水溜まりの嵐だ。華麗なるコレツィオ―ネ仕様のレーシングスーツが、泥まみれになるのも気にせず、水飛沫をこれでもかと上げまくる。更にカーブでは、濡れた低μ路にアンダーステア?が発生し、田んぼの畦道にコースアウトしそうになる。


「なんの! これしき~」


 風を切って走るランチア・デルタには、背中に翼が生えているかのようだ。なぜかリードを外した近所の柴犬が、嬉しそうに彼女目がけて追いかけてくる。


「わあああ~! 何なの、コイツはあああ~?」


 だが、全力で走るクルマ娘には、犬でも容易に追い付けない。しばらく飽きるまで、本気の追いかけっこが続いた。

 やがて見えてきたのは黒いラーメン屋の大きな看板。ランチア・デルタは、スタンプラリーの最初のチェックポイントである『泡とんこつ博多ラーメン三福』に無事到達できたようだ。

 ここには第二走者のランチア・ラリー037が待ち構えている。食券を買うと、すぐさまスタンプラリーのカードにハンコを押した。


「デルタ! 制限時間内に完食すること! はい、食券はここ! 店長、なるべく早くお願いします!」


 息を整えながら座るデルタに代わり、ラリー037が店員に声を掛けたのだ。


「早く食えよ! 早食いはポイントが加算されるんだ!」






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