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クルマ娘キュートレーサー  作者: 印朱 凜
エピソード2
35/85

蒼いイナズマが角を攻める 炎カラダ灼き尽くす


 そして伊太利屋女学院のスタートから1分後、今度は私立名車女子学園の出番が回ってきた。ここで応援席の声援が、待ってましたとばかりに最高潮に達する。

 当日渡されたリストを見ながら、松田コスモスポーツがマイクに向かって叫ぶ。


「いよいよ我らが、私立名車女子学園のターンが巡ってまいりました! 第一走者はズバリこの人……! 昴インプレッサ22B-STiバージョン、その人だあああ!」


 ソニックブルーマイカ色のレーシングスーツには、555の数字が誇らしげにプリントされている。タバコメーカーのロゴであることは、学園長しか知らない公然の秘密だ。


「出ましたあああっ! 部長ー! ファイトォォォ! 走れー!」


 これでもかと、天文部の部員達がプレアデス星団の旗を振りまくる。

 インプレッサは誇らしげにレガシィやフォレスターに向かい、大きく手を振って応えたが、応援席の中に見付けてしまった。――密かに恋心を抱いている、遠い親戚の昴アルシオーネSVXの姿を。ファンに混じって応援に駆け付けてきてくれたのだ。


「よっしゃ! こりゃ皆にイイとこ見せなきゃ……ね!」


 中央の大型モニターに映し出されているカウントダウンの表示が、どんどん減数してゆく。


「6、5、4、……!」


 実況席で声を荒げる松田コスモスポーツの隣で豊田2000GTが、思わず両手をギュッと握り締める。


「頑張って! インプレッサさん……」


 姿勢を低く構えたインプレッサ22B-STiバージョンは、かっと両眼を見開くと、ゲートの先の先に存在する、見えないはずのアスファルトロードを見据えた。


「……3、2、1、スタート!」


 先行のランチア・デルタに引けを取らない爆発的な急加速をキメたインプレッサは、自慢のトラクションをグイグイ掛けながらトールゲートをくぐり抜けると、晴天の校庭へ飛び出した。


 左右には学園の生徒達が、ズラリと並んで道を作り、張られたロープ越しに声援を浴びせてくる。


「せいやアアア――!」


 グラウンドには薄く砂が被ってグラベルの路面を呈していた。綺麗なフォームで走るインプレッサは、限界までスピードを上げると、コーナーを高速ドリフトしながら派手に砂煙を巻き上げた。


「ひゃあああ!」


 盛大に土砂を浴びせられたクルマ娘達は、眼鏡にヒビが入り埃まみれとなる。グラウンドの所々に設けられたマウンドを華麗にジャンプしながら舞う、三段飛びの選手のようなインプレッサの姿に、歓喜の声が渦巻く。

 豪快にして涼しげ……何より走る喜びに満たされた表情。


 蒼いイナズマは、残像のように砂埃だけを残すと、学園の校門から舗装路へと駆け抜けていった。






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