これが私達のラリー
ついに褐色スレンダー美人のランチア・ラリー037が機嫌を損ねたように言った。
「Uffa! ストラトス姉さん、これはちょっと許せない発言だと思う。私達、舐められてんじゃないの?」
個性的なブラウンショートヘア美少女のランチア・デルタも、両拳を腰に当てるようなジェスチャーで怒りを露わにした。
「あのTOYOTAチェリカっていう相手方のリーダー、失礼すぎない?」
あくまでイタリアのBaciチョコのように、激情を甘い理性でコーティングしたランチア・ストラトスは涼しげな笑顔を保ったままだった。
「まあまあ、このくらいの挑発行為は当たり前の世界ですよ。それよりも許せないのは、交流試合の内容です」
「確かに……対外交流試合を申し込んだ時、対戦内容はラリーであれば形式自由って書いたけど……」
「何なのよ?! ラーメンスタンプラリーって!?」
伊太利屋女学院のラリートリオにとっては、正に寝耳に水。衝撃的な試合内容だった。
私立名車女子学園が立地する市内にあるラーメンの名店、3店舗を3名のクルマ娘達が交代しながらスタンプラリーして回る、といった学園祭の余興に近い早食い競争である。
澄ましたイタリア3人娘が色を失っているのを見て、三菱ランエボが余裕の笑顔で畳み掛ける。
「オイオイ、どうした? どんな試合でも受けて立つんじゃねーの? 公道を走るために、わざわざ周辺に住んでいらっしゃる地域住民の皆様には、御協力を願ってんだぜ?」
いつも真剣な昴インプレッサも、かけてない眼鏡を直すような仕草で、こう語った。
「各ラーメン店に至るまでの道程は、ほぼターマック路面のコースが主体となりますが、グラベルコースやリエゾン、もちろんタイムトライアルのスペシャルステージも用意しております」
もはやリーダーを任された豊田セリカには、2000GT譲りの威厳に近い物が備わっていた。休校日にも関わらず観戦と応援に駆け付けた全生徒の前で、マイクに向かう。
「どのラーメン店も学園長が常連客となっている、お墨付きの人気店です。伊太利屋女学院の皆様は、是非スープまで残さず完食して下さい。フードロスするとペナルティが科せられますので、ご注意を!」
実際に下見のため、3店舗をレッキした生徒会長に、コースの感想が回ってきた。
「え~、本校から出発して一人当たり約15㎞、湖に掛かる橋も含め、ぐるっと一周して合計45㎞のハードなコースです。あっ……ラーメンの感想もですか? 私はダイエット中だったのですが、3杯ぺろっと平らげてしまうほど、美味でしたよ!」
屈託のない豊田2000GTのコメントに、会場の生徒達からも笑いが起こった。




