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クルマ娘キュートレーサー  作者: 印朱 凜
エピソード2
30/85

ROAD TO THE TOP GEAR


 ランチアトリオが声の主を探すまでもなく、三名のレーシングスーツに身を包んだクルマ娘達が颯爽と眼の前に立ち塞がっていた。


 赤に白のマルボロカラーをイメージしたレーシングスーツを身にまとい、力強く腕組みしているのは、三菱ランサーエボリューションⅥトミ・マキネンエディションであった。


「ああん? 他校のモンが、何勝手にウチの生徒をナンパしまくってんだよ? ここいらでは見かけねえ顔だな――どこのどいつかって思ってたら……ええ? その赤い制服とエンブレム……ひょっとして、あの名門と名高い伊太利屋女学院御一行様ですかねぇ?」


 ランエボの初対面とは思えない乱暴で失礼な物言いに、隣のソニックブルーマイカ色のレーシングスーツを着た昴インプレッサ22B-STiバージョンが焦って詰め寄った。


「ちょっとあなた! 何考えてるんですか! 大切な交流試合という事で、遠くからはるばるお越し頂いた相手に、何という言い方を……!」


 インプレッサが身に付けている555という数字がプリントされた機能的スーツが、鮮烈で印象的な青色を見せつけた。そして大声に驚き、その場の空気にいたたまれなくなった五十鈴117クーペとオーテック・ザガート・ステルビオは、そそくさと退場してゆく。


「ああ、待って仔猫ちゃん達……!」


 手を伸ばしたランチア・デルタHFインテグラーレEvoⅡの願いも虚しく、二人のクルマ娘は逃げるように人混みに消えてゆく。特にステルビオをロックオンしていたランチア・ラリー037の落胆は大きく、悲しみは怒りを呼び覚ます火種となったのだ。


「よくも! いい関係になりかけていたというのに! 人の恋路を邪魔するなんて、何て無粋なクルマ娘なんだ! ブーイング待ったなし!」


 呆れたようにランチア・ラリー037を睨み付けるランエボは、すでに一触即発の状態だ。そこでようやく登場となったのが、白ベースに赤と緑のカストロールカラーのレーシングスーツを着用する豊田セリカGT-FOUR RC、その人である。


「君達ぃ〜! そこまでにして貰おうか! ……何度も言わせないでよ」


 ついに成り行きを見守っていた豊田2000GTが、事態を丸く収めようと生徒会長らしく動いた。一目でランチアトリオのリーダー格を見抜いたかのように、小柄なブロンド娘であるランチア・ストラトスに頭を下げた。


「誠に申し訳ありません。ここにいるセリカとインプレッサ、それにランサーに悪気はないのです。どうも伊太利屋女学院の皆様と、こうしてお会いできる嬉しさの余り、少々興奮気味のようです。どうか数々のご無礼をお許し下さい。そして本日の親善交流試合を、心待ちにしておりました。このように胸躍る機会はそうありません。正々堂々と勝負いたしましょう」


 豊田2000GTに一目惚れに近いような感情を抱いたランチア・ストラトスである。まるで何事もなかったかのようにセリカとインプレッサ、それにランサーに代わる代わる握手した後、何と無防備な豊田2000GTの両肩を優しくハグしただけでなく、頬にキスをした。


「チャオ! 今日はヨロシクね、綺麗なTOYOTAさん」


 すでに黒山の人だかりとなっていた体育館前のホールに衝撃が走り、どよめきが起こった。






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