表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クルマ娘キュートレーサー  作者: 印朱 凜
エピソード2
28/85

響けカンツォーネ、届けローマまで


 私立名車女子学園は親善試合の日に合わせて、校内に洒落た飾り付けを施していた。至る所にイタリア国旗と日の丸をモチーフにした横断幕やのぼりが風に揺れている。


 そんな中、異彩を放っていたのが、校内を堂々と練り歩くエキゾチックな三人組の姿だったのだ。シックなイタリアンレッドに染め上げられた制服の胸には、誇らしげに伊太利屋女学院の校章が輝いている。


 赤い象のぬいぐるみを抱えて先頭を行くランチア・ストラトスは、カチューシャで纏めた長いブロンドヘアを指先で弄びながら、嫌悪感を思わせるような表情を浮かべていた。


「日本は相変わらず美的センスが酷いわね。雑多な印象で、一貫性やテーマがないものだから、こうなるのよ」


 答える小麦色したランチア・ラリー037は、淡い栗色の髪が長身に映えていた。


「姉さん、それは仕方ないよ。芸術を表面上しか理解してないし。それに西欧文化に触れた歴史が、浅すぎるから」


「ふん……。一度ヨーロッパを旅して、大いにショックを受けるといいわ」


 偉大な二人の姉達に埋没しがちなランチア・デルタHFインテグラーレ・エヴォルツィオーネⅡは、飾り気ないブラウンショートヘアが、裏表のない性格を表していた。


「う〜ん、サル真似の模倣で成り上がった国だから許してやってよ。でもよく見ると、生徒達のレベルは結構高いみたいよ」


 妙な視線を感じた年長組の五十鈴(いすず)117クーペが、思わず廊下を歩くスピードを緩めて立ち止まった。彼女は校内でも有名な美少女だ。チャンスとばかりにランチア・デルタが駆け寄る。


「ハジメマシテ。体育館はどこになりますか? それより、あなたの黄色を基調としたファッションは、超イケてますね!」


「はあ、ありがとうございます。体育館なら……」


「この学校は、制服の他に私服も認められているのですね~。どこのブランドなのでしょうか?」


「――! よくぞ訊いてくれました。カロッツェリア・ギア時代の名匠ジウジアーロのデザインなんですよ。しかもハンドメイドです」


「な、何と! 何たる偶然! 私の私服やレーシングスーツも原型を留めていませんが、ジウジアーロデザインなんです! まるでデザイナーの導きに、お互い引き寄せられたような……」


 意気投合する二人にランチア・ストラトスとラリー037も興味を示し始めた。


「ほう! フィアット・ディーノ・クーペに似て、誰が見ても美しい。いいじゃないか。もうカップル成立だな」


「姉さん、私はあの娘がいいな!」


 目ざとくランチア・ラリー037が見付けたのは、ゴージャスな雰囲気の私服を着こなすグラマラスなクルマ娘、オーテック・ザガート・ステルビオだった。


「そこの君だよ、君ぃ! 名前は何ていうの? そこはかとなく、美意識を刺激されるような服装だね!」


「ステルビオと申します。……ふふっ、お分かりですか? この服はザガートのデザインなんです」


「おお〜! その巨乳、いやダブルバブルの意匠は正にザガート! この学校には、こんな素敵な娘もいるのか!」


 これにはランチア・ストラトスも感心してしまった。


「へぇ! 我が国のステルビオ峠の名を冠するなんて……ただ者ではないわね、あなた?」


「いやぁ。中身は日産レパードでして、少々恥ずかしいですぅ」


「そんな事はありません。どうでしょうか? ここにいるラリー037と付き合って、更なる高みを目指してみては?」


 その時だった。リーダーであるランチア・ストラトスの美少女レーダーに、強烈な反応が示された。


「はうっ! あの上品なクルマ娘は……!」





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ