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クルマ娘キュートレーサー  作者: 印朱 凜
エピソード2
17/85

ラリー娘トリオ、イタリアより来たる

 

 春めいた風が、澄み切った青空の覗く街路に舞い踊り、桜の開花を今か今かと待ち望む季節……。

 突如イタリアからシロッコを思わせる熱い風が来訪し、のどかな私立名車女子学園を不穏な空気へと誘う事になろうとは、この時誰も知る由もなかった。


 伊太利屋女学院の赤い制服に統一した三人は、モデルと見紛うような美貌に加え、アスリートを思わせる引き締まったスタイルで道行く人々を振り返らせる。それぞれが、血の繋がりを感じさせない個性的な自己同一性(アイデンティティ)を誇っているのだ。


「――かなり駅から歩いたが、私立名車女子学園とやらは一体どこにあるのだ?」


 トップのランチア・ストラトスは美人揃いの三人娘のうちで一番の小柄だったが、カチューシャで留めた金色のロングヘアが映える切れ味鋭い美少女だった。その手にはマスコットである赤い象のぬいぐるみを大事そうに抱えている。



・ランチア・ストラトスHF


 スピード:A


 スタミナ:B


 パワー:B (190馬力)


 人気:A


 その他:座右の銘はHi-Fi(High-Fidelity)。



「タクシーに乗らず、堂々と歩いて乗り込んでやろう! って言い張ったのは姉さんじゃないか!」


 二番目のランチア・ラリー037は、栗色セミロングヘアで長身の武闘派。だが決して褐色の野性味溢れる風体を好まず、あくまで上品でエレガントな外見にこだわっているのは流石である。



・ランチア・ラリー037


 スピード:A


 スタミナ:B


 パワー:B+ (205馬力)


 人気:B


 その他:アバルト家と血の繋がりがあるのは秘密。



「……どうも、あそこに見えるレンガ造りの建物が、探してる学校みたいね!」


 三番目のランチア・デルタHFインテグラーレ・エヴォルツィオーネⅡは、怪我で入院中のデルタ・S4に代わり付いてきた。どちらかと言えば庶民派であるが、それでもブラウンショートヘアの際立った美少女である事に変わりはなかった。



・ランチア・デルタHFインテグラーレEvoⅡ


 スピード:A


 スタミナ:B


 パワー:B+ (215馬力)


 人気:A


 その他:バージョンが多くあり、本人も覚えていない。


 

 ようやく校門に辿り着いた三人は、守衛を軽くあしらうと、早速自慢の嗅覚と審美眼で学園に通う生徒達の品定めに入った。薄色の瞳がトパーズのように輝く。


「フフフ……ここが噂に聞く私立名車女子学園か。垢抜けてないけど、ぱっと見でも、なかなかの美人さんが揃ってるじゃないの」


「もう、ストラトス姉さんったら……気が早すぎるって。まだ校舎にすら入ってないというのに」


「そうよ。姉さん達は肉食系女子丸出しなんだから。イタリア女子は手が早いって思われちゃうよ」


 風にそよぐブロンドの髪を整えたストラトスは、赤い象のぬいぐるみを撫でつつ、ワインから立ち昇るブーケとアロマを思わせる優雅な口調で言葉を紡いだ。


「そこは情熱的って言って欲しいわね! あなた達も……そうなのでしょう?」


 何かを感じ取ったのか……校舎を根城にしている数羽の鳩が、羽をバタつかせながら一斉に飛び去ったのだ。







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