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マリーのささやき

侍女のマリーさんの回です。



私は、マリーゴールド=ストーン 16才 背が低くて、童顔で、胸がなくて、12,13才の子供にみられますがちゃんと成人しています。

 筆頭執事の父親、オリバー=ストーン と 侍女長兼料理長の母親、カリナ=ストーン と一緒に フォッカー伯爵邸に新米侍女として働かせていただいております。 新米といっても、1年は経過したので初心者マークは外しております。 


 私は、学習があまり得意ではなくて、尋常学校を15才で卒業してすぐに侍女として働くことにしました。 父親は、ストーン準男爵家の三男で、貴族の中ではあまり良い家柄ではなかったのですが、王都の高等学校での成績が優秀だったため、フォッカー家に努めることになったと聞いています。 フォッカー邸で、料理見習いとして働いていた母と出会い結婚したそうです。 結構波乱万丈な出来事があったらしいのですが、ここではお話しできません。

 

 フォッカー邸での私の担当は、三人のお子様のお世話が中心です。 別に私が幼くて、子供みたいということが原因ではありませんょ。 絶対。

 特に、昨年御生まれになった アルベルト様の担当にさせていただきました。 侍女として初めての体験ばかりで、ドギマギの連続でした。 私は、一人っ子なので弟妹の面倒も見たこともなく、赤ん坊の扱いなんて全くの未知の世界でした。 なので、ずっと母が補佐してくれました。

  アルベルト様は、奥様の セシリア様によく似ておられ、銀色に近い金髪で、目元のぱっちりした女の子のようなお顔立ちです。 出産前から奥様のお世話も、先輩侍女の ディリリさんに就いて、今後自分の出産にも役に立つといわれて、いろいろ習いながら覚えました。 出産のときには、教会から神官の方が一人来られましたが、ほぼ母の仕切りでご無事に出産、小さな新しい命に感動です。


  セシリア様は、アルベルト様と同室で過ごされていましたが、三カ月もたつと朝・夕の授乳の時以外は、旦那様のお手伝いの仕事に戻られました。 フォッカー家は、代々この土地の領司として治めていましたが、先々代のラッセン=フォッカー様のときに、領内の山脈に金鉱を発見して一躍頭角を現し、豊富な金を国へ治めることで得た莫大な財を使うことで都市として整備し、入植者を増やし近郊の畑も圃場整備した耕作地として農民に下げ渡し、鉱山夫や山林業者を集めて産業として育て、テレスヘリング伯爵領内の都市領司として、特別に伯爵位をちょう爵し、平民・貴族の身分の差を問わず慕われる、立派な領司様だったそうです。 そのひ孫様が私の主様なのです。 

  そのお父様のギルバート様が次期領司さまとして、現フォッカー領司 ロイ=フォッカー様より引継ぎを忙しくされているので、奥様の セシリア様もその補佐として育児の時間が取れず、お辛そうなのです。


  そして アルベルト様も、お寂しいらしく、ハイハイが出来る頃からお母様を探してか、どこかへいなくなるようになりました。 いやいや、何処かと言ってもお屋敷内なので、中食の授乳のお時間を呼ぶまで見つけられません。 奥様が戻られると、どこかから現れるのです。 そう言ったら、母に職務怠慢だとこっぴどく怒られました。 授乳の後は、お昼寝をされます。 目が覚めるとそのあとは、ホールや調理場あたりでうろうろされたり、玄関から外を眺めておられたりして、夕食まで過ごされておりました。 旦那様たちが遅くて、お子様たちだけのお食事が多かったのですが、アルベルト様は、特に寂しそうでした。 


  立って歩けるようになると、普通は授乳は終わるそうですが、アルベルト様は、朝起きてからと夜寝る前の授乳は続けられています。

  甘えん坊さんです。

たまたまギルバート様のお休みと、アルベルト様の朝食のお時間が重なった折に、本を読まれたそうで、紙とペンをいただかれました。 その時に文字時の基礎の並び表を書いてもらっていらしゃいましたが、アルベルト様は私に読み方を聞かれました。 勿論読んで差し上げましたが、ご自分でよく似た表をおつくりになりました。 見たことのない記号でできたそれを見ながら、ニヤニヤされている姿は少し奇異に思いましたが、アルベルト様は時々何か考えながら中年男性のように、ニヤリとされていることがあるので、またいつものかなと、すぐに思いなおしました。 折角かわいらしいのにあの瞬間は残念です。








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