1才調査報告 その2
確定申告に追われて投稿出来なかったけど、
コロナウイルスの影響で締切日が延長する
ことになっていた。
どのみち、納税は義務付けられているからね
ブルーヘルム王国には、前世の記憶のように四季が存在する。 冬には雪が降り山脈が雪化粧で白く染まるのが近くに見えるが、1年中温暖で◯州や四☐のような気候になるだろうか。 ちなみに暦は、1年が14ヶ月になり、1月が24日である。 1週間は、6日で5日働いて1日休みを繰り返すのが、一般的であるらしい。 春と秋にあたる月が3ヶ月で、夏と冬が4ヶ月になっている。 閏年はない。
食事を終えると、兄 ミッシェルにいじめられる前に、2階にある書斎に隠れる。 マリーに部屋の前まで送られて、中で遊んでいますと言いながらコッソリと部屋を移る。 兄は、晴れていれば、庭でトニーさんに剣術を習っているか、同年代の貴族の子どもたちが集まっている広場に遊びに出ていく。 これで平和な午前中の時間が約束される。
書斎の中では、明かり窓のある壁際と本棚の間に、子供一人が入れる隙間があった。 ここがオレの定位置になっていた。 「異世界らしい」というあいまいな認識の上での考察になるが、ごく普通に生活のできる大人になりたいと思うならば、地道な努力を計画的に明確な目標に向かって続けていくしかないだろうと考える。 貴族の生活様式も知らなければ、この世界の常識も知らないのである。 貴族の次男がどのような立ち位置なのか、嫡男との差も成長の過程の中で把握して努めなければならないだろうし、早い段階で最終的な到達点を理解、設定する必要がある。
まずは、自己鍛錬かな。 基本は体力と知力だろう。 体力は1歳なので、筋力をつけることと食べる事かな。 知力は前世の記憶があるのでアドバンテージがあると思っていたが、言語に加えて常識・生活環境が違い過ぎるので、当てにしない方がよさそうである。 思わぬ墓穴を掘るよ。 普通に本や周りの大人から知識を吸収していくことにする。
書斎の本といえば、ほとんど表表紙を見せて並べてあることに驚いた。 勿論、高価なもので数も多くないけど、紐閉じしてある本がほとんどである。 製本技術や印刷技術がまだ発達してないのだろう。 紙?の材質も様々で、高価そうな羊皮紙もあれば、わら半紙のような安っぽいものもある(実際には高価だけど)。 わら半紙なんて、小学校時代に見たきりだよ。 巻物状になっている物も沢山ある。 わざわざ背表紙をつっくて年ごとにまとめられた報告書もある。 この書斎ではそのコーナーだけ異質に見える。 おやおや木の板にそのまま書いてあるものまで…。 本の歴史資料館でもアルマーニ。 ちびっ子のオレ的には、内容が察しやすくて助かる。
まず、動物と花の絵が書いてある「動物・植物 子供図鑑」(勝手に命名) を手に取っていた。 野菜や家畜などの身近な生き物を子供向けに30体ほど載せてある。 ガリ版印刷のようだが、挿絵は丁寧に描いてある。 侍女のマリーに読みを習って、発音を練習する。 料理に使われていた、食材の名前もここで解った。 名前はアルファベット的というか、ローマ字表記に近いと思う。
1週間ほど本を持ち歩きながら、(途中で 兄 ミッシェルと 姉 ソニアに本を取り上げられたので、マリーに泣きついて取り返してもらい)30この単語を覚えた。
夕食後、母 セシリア=フォッカー を捕まえて、本を読んで聞かせてあげた。
「どやぁ!」
結果、抱きしめられて頭をなでられた。 ほめ方は前世とも近いなぁと想いながらホクホクした。
オレのやることを注視していた ミッシェルは、オレから本を取り上げて同じ様に読み上げた。 褒めてほしそうに頭を母の方へ突き出して、オレに向かって舌を出している。
いや、貴方は5才年上ですから 「ざんね~ん」。
次の日の朝、休みなので珍しく父親のギルバートにあったので、父にも図鑑の絵をひとつづつ指さしながら読んであげた。 ギルバートは、驚いた顔で母のセシリアの方を向いている。
「だから いったでしょ、 ギル。 アルは、天才天才 かも。」
暫し考え込んでいたギルバートは、いきなり立ち上がり、ホールからすごい勢いで出ていった。
セシリアの言った最後の単語が判らなかったオレは、いきなり不安になった。
「 あれ? 失敗したかも? ・・・。」