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先輩②


 5月、昼休みに私は先輩の上級クラス前まで行く。そして元気良くクラス前で弁当を持って待つのだ。


「今日も来たのかお前は」

「今日も明日も来るっす。すーすー」

「おっマジで今日も来たんだな」

「あっ坂本先輩!!」


 大好きな先輩のクラスメイトで少しチャラ男の坂本先輩が大好きな先輩の肩をつかんで頬に指を突き刺して笑みを浮かべる。教室前廊下で坂本先輩は私の手を取る。


「今日も可愛いね!! 銀ちゃん」

「でっしょ~坂本先輩わかってる~」

「……そこ肯定するんだな」

「坂本先輩のは誰に対しても同じですし」

「おっと……君だけだよ」

「わぁーうれしいなぁー棒読み」


 いかにも心を込めずに言うと坂本先輩はヒラヒラと手を振る。流石である。


「早く飯にしようぜ」

「はーい」

「おう」


 大好きな先輩こと高橋先輩が私たちの肩をつかんで揉んでくる。わぁー!? 触れてる!?


「……」

「おーし食堂行くか。あれ? 下水流(しもずる)来ないのか?」

「おーい銀ちゃーん!!」

「はっ!? いきますいきます!!」


 肩をニギニギして少しだけグッと拳を作る。今日は少し触れる事が出来た!! よしよし!!


(本当にこいつ……)

(銀ちゃん。分かりやすい)

「ん? 先輩方? なんかついてます?」

「なーんも」

「だなー」

「あー酷いです!! なんですか!? なんかある雰囲気ですよ!?」


 私は二人にテトテトとついていくのだった。







 食堂につき二人が食券を購入……うどう大を持って広い食堂の取っていた空席に座る。二人とも対面である。高橋先輩は箸を割って手を合わせる。私も同じようにし、二人で坂本先輩を見た。


「………坂本」

「………はやくぅ」

「……これ毎日やるの?」

「もちろん」

「合掌」

「「「いただきます」」」


 日本人であるのだからやるべきだと推進者の私は満足して歴代最強のふりかけをご飯にかける。


「のりたまー」


 そう最強の則球のりたまである。冗談である。


「本当に毎日それ飽きないね。銀ちゃん」

「偉大ですから。美味しいです。おかわりもありますよ? 入りますか?」

「うどんに入れてどうする。下水流」

「唐辛子のようなもんです」

「かける以外合ってないけどな!? くくく」

「はははは~」

「銀ちゃん今日も面白いね~本当に~」

「せやろ~」ドヤァ

「それちょっとウザイぞ~下水流」

「ええ~可愛くないですか?」


 私は若干演技っぽくしたのがバレたらしい。まぁ嘘っぽいし。


「まぁ下水流は可愛いしな……」

「おっふ……」


 先輩が褒めてくれて少し照れてしまう。叫びたい。


「銀ちゃん……俺の時と全然反応違う……」


 坂本先輩がズルズルと落ち込みながらうどんを啜る。そして、スマホになにか打ち込んでいる。


 ピロン


 私のスマホが音をならした。それを見るとSNSに坂本先輩からメッセが飛んでくる。それはある日の若い外人選手のように鋭い真っ直ぐな質問だった。


(高橋のこと好きやろ)


 それは確信のような質問だった。私はそれをしっかりと受け捕り。返す。


(そうです好きです)

(ふあぁああああああああああああああああ……やっぱ……狙ってたのにな)

(またまたご冗談を)

(いやいや……かわいいじゃん? 後輩って)

(あっごめんなさい。好きな人がいます。ごめんなさい)

(まぁいいや。分かりやすいね本当に)

(まぁ……高橋先輩気付いてないですけどね)


 私は目の前でスマホでなろ○のPVチェックをしている先輩を見ながら溜め息をつく。


 いつになったら好意を言えるのだろうかと思うのだ。


(告白すればいいじゃん)

(告白しようと廊下で振り絞ったんですけど間違えて友達になってくださいって言っちゃたんです)

(見てた……笑ったわ。高橋も爆笑してたな)

(そうなんですよ~まぁ今のままでもしいいんです‼ いつか!! いつかでいいんです)

(そうか……俺はまぁ遠くから応援しとくわ)

(坂本先輩ありがとうございます~あっ厚揚げください)

(高橋に言え!!)

「高橋先輩!!」

「お、おう!? なんだ二人で密談おわったか? なんかいっぱい書き込んでたけど」

「厚揚げください!! 坂本先輩くれないんです!!」

「えっ打ち込んでたのそれ!? 長いこと戦ったな!?」


 結局私はうどんの厚揚げを戴く事は出来なかった。まぁ……高橋先輩の貰っても意識して無理だったと思うのでそれは……残念なような助かったような気がしたのだった。









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