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転生先は魔王の娘でした。  作者: 成瀬イト
魔族会議編
9/64

第一話 精霊使いの青年

初回のみ連続投稿します。

カタストロフに促されたどり着いた先には

西洋風の魔王城ほどではないが

立派な館があった。


カタストロフの家なのだろうか、

だがその館は家というより大使館のような

厳かな雰囲気を醸している。


私がカタストロフを見上げると

思考を察したのか

僅かに口角を上げた


「ここは魔族達の緊急招集の場なんです

主に会議に使われるのでエレノア様は

初めて来られるようですね」


入口の無い高い塀に手をかざすと

カタストロフは何かの呪文を唱えた。


すると壁の中にそのまま通り抜けられるようになる。まるでハ◯ーポッターのような光景にテンションが上がった。


どうやらこの塀は特定の呪文を唱えると通れる魔力結界のようだ。


「あら、カティじゃない

遅かったわね、もう幹部は大体集まっているわよ」


中に入ると長身のオネエ口調の男性が

すぐに声を掛けてきた。

藍色のサラサラとしたストレートの髪は

形の良い輪郭に切り揃えられ

陶器のような白い肌を引き立てている。

琥珀色の瞳の目尻にある

ホクロが艶やかな美しさを引き立てている。耳は長く先が鋭くなっているところから

エルフのような種族なのだろうか。

カタストロフもなかなかの長身だが

この男はそれよりも卵一つ分ほど背が高い。

6歳のエレノアにとって

背の高い人に囲まれるのは

それだけで威圧感を感じてしまう。


視線を下げようやく

エレノアに気が付いた男は

エレノアに視線を合わせるように跪いた。


「その瞳...

貴方が噂の魔王様の秘蔵っ子ってわけね。

こんにちわ、エレノア様。


私は魔族の幹部の一人

ティリスティアを治める役割を仰せつかっております、ライリーと申します。

宜しければライとお呼びください。


魔王様のことは精霊から伝わっております。

私共が必ず魔王様をお救いしますから

どうか心配なさらずよう」


ライリーは右手を胸に当て

跪いたまお辞儀をする。

ニコリと茶目っ気を含んだ笑みを浮かべた。


「既にご存知のようですが

私の名前はエレノアと申します。


よろしくお願いします、ライ」


私がご案内します、とライリーが言ったので

お言葉に甘えてついて行くことにした。


「でも驚いたわ、カティ

貴方がこんな麗しいお嬢さんを連れているのがあまりに似合わなくて」


「カティと呼ぶのはやめろ、ライリー」


「あら、可愛くていいじゃない

私のこともライって呼んでいいのに」


クスクスと笑うライリーと

珍しく口調の荒いカタストロフに目をやる。

お互い古い友人なのか気の知れた雰囲気を感じる。

エレノアが微笑ましげに見ていたのに気づいたのかライリーはエレノアに話しかけてきた。


「エレノア様も可愛いと思うでしょ?

カティって」


「エレノア様に妙な事を聞くんじゃない。

大体カティは女性につける名だ」


カタストロフの言葉は歯牙にも掛けない

つもりなのかライリーは

エレノアの方を見たまま続ける


「今はこんな図体でかくなっちゃったけど

こう見えてもカティは小さい頃は少女みたいには可愛かったのよ、だから私が名付けたの」


冗談交じりのふふっとこぼした笑みに

思わず釣られて微笑んでしまう。

確かに今でも綺麗だと思うが男性的な魅力の方が強い、小さい頃もさぞ美少年だったのだろう。


不満気に溜息を零すカタストロフが

いつもとは少し違っていて面白かったので

カタストロフに女性のあだ名をつける

ライリーの言葉を否定するのはやめておいた。


会議室に入ると既に

多くの魔族達が着席していた。

緊張感のある空間に思わず息を飲んだ。


父である魔王の死は既に魔族達に広まっているようだ。

そしてそれはこの国にとって絶体絶命の危機に等しい。

魔族の中で最も強い魔王が

聖剣に勝てなかったのだ。

魔族の誰もが父が斃されるはずがないと思っていた、しかしその油断がこの危機を生んだのだ。


ライリーの朗らかな対応は

私がこの空間に気圧されて

張り詰める緊張感を少しでも緩めるためだったのかも知れないと実感する。


私達が入室すると

室内が騒ついた。

室内の誰もがエレノアに注目する。

突き刺さるような視線の海に放たれ、

居心地の悪さに身が竦んだ。

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