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転生先は魔王の娘でした。  作者: 成瀬イト
精霊救済編
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第一話 再びの玉座の間へ

新章です、よろしくお願いします。

はっと目を覚ますと

エレノアはソファーに寝かされていた。


ガバッと起き上がると

薄手の布がかけられていた。


「良かった..目を覚まされましたか?」


カタストロフが向かいの席で

心配げに様子を見ていた。


その瞳と目があった瞬間

ふと何故か頰が紅潮してしまう。


“私はカタストロフが好き”


恥ずかしながら前世も含めて

恋を自覚するのは初めてだった。


「エレノア様?」


きょとんと目を丸くするカタストロフに

動揺するも高まる熱を振り払うように

頭をブンブンと揺らした。


「な、何でもないわ!

それより魔王城の魔族達は無事かしら..

城内の状況把握とオーガスト、フィリルを何とかしてこの城に呼ぶこと、

それと今後の作戦を皆と話し合わなければいけないわね」


エレノアが揺れる瞳を厳しく正し

カタストロフを見ると是、

と言うように頷いた。


「エレノア様はお倒れになられてから5時間ほど眠っておられました。


その間に今まであったことは

全てニュクスから聞きました。


城のものは全員無事です。

ご安心を。


現状、教団に詳しいフィリルと精霊王の協力は必須でしょう。

ですがフィリルの協力を得るためにはオーガストをここに呼び戻さなければなりません。

話を聞く限りフィリルは中立な立場のようですから。


ニュクスがフィリルに魔力で印をつけてあるとの事なので連れてくるよう命じておきましたが、すでにフィリルとオーガストを捕らえたとの連絡が上がってきております。

すぐにこちらに到着するでしょう。


しかしエレノア様、

精霊王に啖呵を切ったと

お聞きしましたが、

一体何をなさるおつもりですか?」


カタストロフは眉を下げ困惑げに問う。


「そう、良かった...

ありがとう、カタストロフ


私の目的は魔王城に来た悪魔を使役し

精霊達を縛る呪印を解かせること。

そして、勇者の聖剣を奪い、捕らえることよ。


父の安否が不明なまま悪戯に勇者を倒すことは出来ないもの。」


「お言葉ですが、

それが出来ていたら

私達はこのように苦しんでおりません。」


「そうね、でも今は中立な立場を続けていた

精霊の助けがあるわ。

この城で魔力無効化結界の高等魔法が使えたのはライリーだけだったけど

彼らの力を借りればより広範囲で、しかも複数の結界がつくれる。


それで悪魔の呪印を無効化させ弱体化させる。まずはそれが第一目標。」


「ですが、そのような結界は」


「えぇ、わかってるわ

すぐに感づかれて逃げられ、

あげく精霊王は命を落とす


でもそれは感づく範囲に結界があったらの

話でしょう。」


エレノアはにやりと強気な笑みを浮かべた。


「どうやら何とか最悪の事態は乗り越えたみたいだね」


不意に執務室のドアが開き

仏頂面のフィリルが入ってきた。

その後に続いてオーガストとニュクスも

入ってくる。


「フィリル!オーガスト!

よく来てくれたわ」


「エレノア様、事情はフィリルやニュクスから聞いていますが一応私は手配人の身、

よく来たという言葉は..」


エレノアが二人の姿を見て

ぱっと顔に花を咲かせ立ち上がると

複雑げな面持ちのオーガストが制した。


「そうね、貴方はフィリルの呪印を隠蔽しようとした責任を取ってもらう必要があるわ。貴方にはしばらく左官を降りて貰いましょう。」


その言葉にオーガストは

納得するように頷く。

その様子を見ていたフィリルは

何か言いたげにエレノアを睨んだ。


「カタストロフ、

今から作戦会議を開きたいから

城の者を集めて頂戴」


エレノアの言葉に

カタストロフは僅かに訝しむ


「ここへ..ですか?」


エレノアは困ったように首を横に振ると

実顔を向けた。


「ここでは狭くて集められないわ

会議を開くのは、“玉座の間”よ」


その言葉にカタストロフ、オーガスト、ニュクスは瞠目する。フィリルは睨み顔のまま少し口角を上げた。


玉座の間は父である前魔王が

魔族達に命令を出したり

魔族達の謁見の場に使われていた。


エレノアが魔王になってから

幼い身であることやエレノアの意向で

見聞を深めることに重きを置いていたため

この場が使われる事が無かったのだ。


何より父が斃されたのも玉座の間である事から魔族達はエレノアにあの間に座ることを

強く言えなかった。


そのような事態だったことから

エレノアのこの言葉は城内の者にとっては衝撃的なものであった。


「御意のままに」


カタストロフは誇らしげに微笑むと

静かに跪き礼をした。


その様子を確認して頷くと

勇ましげにフィリル達に向き直った


「皆は私について来なさい

フィリルやオーガストの処遇も

この会議で伝えるわ

ニュクスは影に戻りなさい」


「待ってよ!

僕は君の配下になったつもりは

一度も無いんだけど」


フィリルがいかにも不服だというように

顔をしかめた。


「貴方がどう思っていようが関係ないわ

私が守ると決めた相手は全て魔族になるの

魔王らしく振る舞えと言ったのは

貴方のはずよ?」


エレノアがしれっと伝えると

何だそれ、と小さく呟いたあと決まりが悪そうに目を逸らした。

前回の編のほぼ続きですが長編になるので二つに分けることにしました。

今回の編で勇者がやっと出てきます。

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