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転生先は魔王の娘でした。  作者: 成瀬イト
魔王城編
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第六話 生誕祭に潜む闇

数話まとめて投稿します。

「絶対に許しません

あのような場所にエレノア様を放り込むなど

命がいくつあっても足りませんよ」


あれから書類を処理し終わり、

二人で昼食を食べている時

カタストロフはエレノアに目も合わせず

いかにも不服だと言うように言い放った。


「でもヴァンパイアが治めるヴィンセシア領はここからもそれほど離れていないし、

人の血を主食とする彼らの生活が気になるのも事実だから悪い話じゃないと思うの」


「エレノア様、貴方は現魔王ですが

同時に人間の血も半分受け継いでいるのですよ、殺しはしなくても味見程度に血を吸われてもおかしくはない事を分かっているのですか?」


「カタストロフは心配し過ぎよ

流石に魔王を襲うとは思えないわ

それに護衛にクリストフも連れて行くし

魔王城に逐一報告を入れるわ」


「ですが..」


「お願いよ、カタストロフ

ただ武力を高めて立ち向かうのでは

勇者達には勝てない事がわかっているのなら

人間と魔族の関係にもっと目を向けて

対策を取る事は必然だと思うの


今は名ばかりの魔王だけど

何も出来ずに貴方に抱えられているままではいけないのよ」


エレノアの真摯な瞳に

カタストロフは口をつぐむ。

窮するような瞳を

不安げに揺らせ、やがて目を閉じて

長く息を吐いた。


「....分かりました

そのかわり、クリストフ以外にも何人か護衛をつけさせます


何百年の間魔王であった前魔王様と違い

貴方は即位して間もない

それに竜人族のように魔王の祝福に自覚を持つ魔族ばかりでは無いのです


いくら魔王国であっても

皆が貴方の味方である訳ではない事を

自覚してくださいね」


カタストロフの言葉にほっと

胸をなでおろしスプーンを口に運ぶと

すでにスープは冷めていた。



**********************



あれから数週間後

エレノアの7歳の生誕祭が行われた。


当日は魔王城にエレノアの誕生日を

祝うために、城内の魔族だけでなく

魔王国中の有力な魔族達がこぞって参加した。


参加する魔族にはエレノアの誕生を純粋に祝うために来た者もいるが、

多くが四天王の指名を狙う者であった。


エレノアが主役のパーティなど魔王城では滅多に開かれるものではないため、

自身を売り込むには格好の機会だったのだ。


エレノアは真っ赤なドレスに身を包む。

花を模した装飾と惜しげも無く縫い付けられたフリルがその可憐さをより一層引き立て黒のリボンやアクセントにつけられたフリルが

小さな魔王の可愛らしさと威厳を両立させている。


髪をアップにし、バラの生花を使った髪飾りをつけると、使用人は満足げに何度も頷いた。


「あらー!

いつも花のように可愛らしいけれど

今日は特別可憐なお姿ね」


「エレノア様、

大変可愛らしいです

そして誕生日おめでとうございます」


カタストロフのもとに行くと

傍にライリーもいた。


二人ともパーティ用に髪をセットし、

いつもより少し華美な服装をしている。

カタストロフが黒い服を着て

ライリーが白い服を着ているので

二人並ぶと対のようでさらに映える。


二人に連れられ会場に入ると

すでに会場内には大勢の魔族達が集まり

食事を囲んでいた。


壁にはエレノア宛てに贈られた魔族領の特別な花なのだろう、大きな花が並べられ

高い天井には豪奢なシャンデリアがいくつもかけられ眩しいほどに華やかな光景だった。


人型の魔族が多いが

中には魔物のような魔族もおり

様々な種族の魔族が集まっている。


エレノアが入場した事が分かると皆一斉にエレノアを見る。

この視線の雨にも慣れかけている事に気づくと己の適用力に関心した。


エレノアは壇上に立って挨拶を済ませる。

カタストロフと共に

誕生祭に訪れた高官達にも

それぞれ挨拶を済ませる


一通りの挨拶をようやく終えると

緊張の糸が解けふっと息をついた。


「お疲れ様です、エレノア様

せっかくですから

何か食べて行かれたらどうでしょう?

オーガストがエレノア様の好物を

優先的に手配したそうですから」


カタストロフは他にも話す相手が居るらしく、

一旦別れることとなる。


そういえば誕生祭に来てから

まだ何も食べていなかった。

緊張してお腹が空かなかったのもあるが

せっかくなので何か頂こうか。


だがその前に外の空気を吸おうとテラスへ向かうと

見慣れた少年を見つけ、直ぐに声をかけた。


「イアン!久しぶりね」


「エレノア..!?

あぁ、生きてるやつの

誕生祭なんて珍しいから来てやったよ」


エレノアは後ろからイアンの手を掴んだので

驚いた様子のイアンだったが直ぐに

いつも通りの無愛想な顔に戻る


「ふふっありがとう!ってわっ!」


イアンが急に手を引っ張り

顔を近づけてくる。

急にどうしたんだとイアンの方を見ると

険しい顔をしている。

ひっぱった先もテラスの丁度壁の裏で

丁度周りの者たちの死角になる場所だ。


エレノアは慌てて小声で聞く。


「どうしたの?」


「いたんだ、呪印がついたやつが」

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