表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生先は魔王の娘でした。  作者: 成瀬イト
魔王城編
27/64

第四話 人間と魔族

数話まとめて投稿します。

あれから数週間後


新魔王即位の噂は世界中に轟いた

魔王が死んだと言う噂が届いた人間達の

歓喜も束の間に起こったこの噂は

世界に再び絶望を与えたという


こちらからしてみれば

絶望しなくてもほっといてくれて構わない

というところもありつつ、

勇者がまたやってくるかもしれないという恐怖が身を竦ませた。



「カタストロフは災害をもたらす悪魔なのにあまり悪魔らしい事をしないわね」


ふとした疑問を投げかける。

というのも、今目の前にある光景から現実逃避したいからである。


「エレノア様、

無駄話をしていても

目の前の書類は減りませんよ」


カタストロフとエレノアは目の前の書類の山を見て溜息をつく。


魔族会議で魔王としての決定権は自分にある発言をしてしまった手前、

6歳の少女であるエレノアの元にも

魔王や宮中の魔族が倒され

宮廷の魔族達が一新された事により

あらゆる書類がやってくる。

カタストロフが今まで代理でやってくれていたが立場上エレノア自身の許可が必要だからだ。


流石に6歳の子供にやたらにサインさせるわけにはいかずカタストロフが確認したものを再度確認する形になっている。


「父様はいつもこんな仕事してらしたのね..」


疲弊した声で言うとカタストロフはにこりと笑顔を作って首を横に振った。


「魔王様は魔力で動く書類のサインをひたすらこなす人形を作り執務をサボったり

使用人を使役して自分の代替わりにさせたり

いかに楽をするかを常に考えておいででしたよ」


カタストロフのそう言って僅かに開いた瞳は死んだ魚のような目をしていて

今まで父からかけられた苦労を

垣間見てしまった。

おそらく父の粗野な仕事の尻拭いをずっとこなして来たのだろう。


あれから父の封印場所の調査に

未だ進展の兆しはない。

うまく隠されているのか、

今や前魔王城周辺だけでなく、

魔王国中に範囲を伸ばして捜索している。


小さく溜息を吐いたエレノアの心情を察したのかカタストロフは父の話を避けるように

話題を戻す。


「でもそうですね、

私もたまには悪魔らしい事を

したいものです」


「例えばどんな事?」


「ルーレットで当たった小国を

火の海にして滅亡させたり

月の国と太陽の国の軍事施設を燃やし尽くしたりとかですかね、

そのくらいすれば日頃の鬱積も

貼らせるかもしれません」


「鬱積を晴らされた側はたまったものではないわね...」


想像したのか本当に気持ち良さげに微笑むカタストロフを見て彼は悪魔なのだと再確認しエレノアはカタストロフに悪さをさせる隙を与えてはいけないと実感する。


「しかし正直な話、悪事を働く悪魔や魔物はステレオタイプの存在ですね

人間と魔族の区分がはっきりしている今現在はこちらに侵入して来ない限り

私達も無闇に傷つけたりはしないのです


人間のために整備された土地は

私たちにとって魅力を感じませんから」


カタストロフは書類を手早く分別しながら器用にエレノアの疑問に答えた。


確かに魔王国の土地は広大で住むに足らないという心配は無いし、人間の土地は自然を大事にする魔族達とは相性が悪い。


戦争するだけ無駄だと言うことだろう。


「ただ、人間の国にいる魔物と魔人や

魔王国でも人間を主食とする者達は別の話ですが」


カタストロフはポツリと呟く。


「人間国にも魔族がいるの?

それに人間を食べる魔族もいるのね..」


「人間国の者は魔王様の支配下にないので

魔族ではなくあくまで魔物や魔人です

少数ですが住んでいるそうです


森を荒らした人間に怒り村を滅ぼしたり

人間を蔑視したものが人間を傷つけたり

理由は様々ですが


彼らのこのような行いが

人間側にとっては魔族は人に仇なす存在だと思われている理由でしょうね。」


カタストロフはさも興味なさげに伝えてくる

正直な話、魔族にとっては人とは

出来れば関わりたくない

煩わしい存在なのだろう


だがエレノアはそれでいいのかと考える。

自身が人間でもあるせいか

人と上手く付き合っていけば

もっと平和になるのではと

魔族のイメージが少しでも変われば

もっと違う道が開けるのではないかと思えてならない。


「面白い話をしていますね」


艶のある低い声が執務室に響いた。

声の先を向くと執務室の扉を開いて

オーガストが薄笑いを浮かべてこちらを見ていた。エレノア達の視線に気づくと、トントンと既に開け放たれた扉をノックする。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ