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恋愛には恋とほんのちょっぴりのスパイスを…。

作者: 芳香サクト

「見なきゃチョコにする。」「無理でしょ。」

 2月14日といえば何を思い出すだろう。煮干しの日、ふんどしの日、詳しい人だとあの有名なアレクサンダー・グラハム・ベルが電話の特許を出願した日、アフガニスタンのアブドゥール・ラフマン航空相が群衆に取り囲まれ撲殺された日など、いろいろあるが一番わかりやすいのはバレンタインだろう。それは女子が男子にチョコをあげる日と一般的には言われているが実際はローマ帝国のキリスト教の司祭だったヴァレンティヌス(バレンタイン)は、婚姻を禁止されて嘆き悲しむ兵士たちを憐れみ、彼らのために内緒で結婚式を行っていたが、やがてその噂が皇帝の耳に入り、怒った皇帝は二度とそのような行為をしないようヴァレンティヌスに命令した。しかし、ヴァレンティヌスは毅然として皇帝の命令に屈しなかったため、最終的に彼は処刑されたとされる。彼の処刑の日は、ユーノーの祭日であり、ルペルカリア祭の前日である2月14日があえて選ばれた。というチョコレートには一切関係ない話でもある。つまりのんきにチョコレートと言っているのは日本だけなのだ。ということを前の社会でやっていた。

「ねぇ、起きてる?」

 なんだよ。今、僕はバレンタインについて文句を…。

「おい、起きろ。」

 強く言われた。こうなると僕は勝てない。

 イエスマム。

「ほら起きているじゃない。おはよ、幸之助こうのすけ。」

「人というのは世知がないものだな。おはよ、麻那まな。」

 僕の名前は氷河ひょうが 幸之助こうのすけ、高校一年生。そして僕をたたき起こした人物は条威じょうい 麻那まな、僕と同じ高校一年生で僕の幼馴染み。

「ところで、幸之助、今日は何の日か分かる?」

「あ?煮干しの日だろ?ほら、煮干しあげるから。」

「そうだけど。」

 僕は麻那の手の上に一匹の煮干しを置いた。

「あ、ありがと。じゃなーーーい。」 

 麻那は煮干しを放り投げて僕につめよった。

「あーーー、煮干しがーーー。」

「そんなことはどうでもいいのよ。バレンタインよ。バ、レ、ン、タ、イ、ン!!」

 やっぱりバレンタインか。僕はあえてそこを触れないで乗り切ろうと思っていたのに。

「バレンタイン?ああ、あのキリストの司祭が処刑された日だろ?ちゃんと知ってるって。」

「そうそう、あれむごいよね。何時間も拷問…。って、そうでもなーーーい。」

 え、そうじゃないの?じゃあ、ほかには…。

「も、もしかして…。」

「うんうん。」

「僕にチョコクッキーをおごれというのか?」

「なんでそうなるのよ!!」

 あれーーー?これでもない。じゃあ、ほかに何があるのかな。

「なによ。」

 僕が考えるようにして麻那を見ていたので麻那にちょっと強く言われた。

「いや、何でもない。それじゃあ、僕はもう学校に行くけど…。」

「待って!!」

 麻那は僕に一つのチョコレートを見せた。

「これは?」

「こ、これは…。あんたのよ!私が作ったから心して食べなさい!!」

「おおー!え、待てよ。お前、今、手作りって言ったか?」

「ええ…。言ったわ。」

「お前、料理の経験は?」

「カップラーメンならあるけど。」

「それを料理とは言わん。」

 大丈夫かな…。

 僕は恐る恐る包み紙を開け、中にあるチョコレートを食べた。

「うまい…。」

「ほ、ホント!?」

「ああ!うまい、うまいよ。」

「よかった~。きちんとできて~。」

 僕は今日という日を生涯、忘れないだろう。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 放課後 校舎裏


「先輩、これ。チョコレートです。受け取ってください。」

「うん。ありがとう。」

 俺は後輩からチョコレートをもらった。だが、これで3個めである。そして俺はあまり甘いものが好きではない。断るのもかわいそうだから一応、受け取っておく。

「はぁ…。」

 教室に戻った俺は片手に持ったチョコレートを持ちながらため息をついた。みんな、もう帰っていてほとんど学校に残っている人はいない。

「どうするかな…。」

「あら?そこにあるのはチョコレートじゃない。もらったの?よかったわね。」

 俺の前に現れたのは小柄な女の子だ。

「ああ、雨宮あまみやか。そうなんだけどね。俺、あまり甘いものが好きじゃなくて。」

「そう?なら、それをもらってもいいかしら。」

「いいけど…。でも。」

 俺はチョコレートを改めてみた。よく考えればこれは後輩が俺のためにって作ってくれたチョコレートなんだよなぁ。

「そうだ。なら、半分にして食べないか?一応、俺のためってことだし。」

「そうね。立花たちばながそれでいいならいいわ。」

 俺は席に座るとチョコレートの包み紙をきれいにはがし、雨宮に半分あげた。

「そういえば、雨宮は誰かにチョコをあげたりしているのか?(モグモグ)」

「そうですわね。私はそういうことを考えたりはしません。ですが、欲しいと言われば、考えますけど。(モグモグ)」

「そうなんだ~(モグモグ)」

 そう会話しながらも俺たちは今までのチョコレートを消化していく。

「そうだ、立花に上げようと思っていたのがありまして。」

「うん?なんだ?お前も俺にチョコレートでもくれるのか?」

「違います!別にあなたにチョコレートなんて…。いや、そうですわね。」

「なんだよ。なんかくれるんだろ?」

 俺がそういうと雨宮は両手を握って俺に見せた。

「では、ここでクイズです。私の手のどっちかにチョコが、もう一つには素敵なものがありますわ。さあ、選びなさい!」

「えっ、簡単にくれないの?そんなぁ…。」

「いずれどっちもあげますわよ!!さあ、選びなさい!!」

 俺は右手で雨宮の左手を触った。

「こ、こら、触っていいなど一言も…。」

 そうは言ったが触らないと確認できない。

「じゃぁ、こっちは?」

 俺は右手をつないだまま、左手を雨宮の右手に触れた。

「あぅぅぅ…。だから、触れていいなんて言ってないわよ。」

「確認しているんだよ!少しは静かにしてろ。」

 俺は考え、左手を挙げて言った。

「こっち。」

「いいわよ。」

 雨宮の手を俺が開くとそこには小さな指輪があった。

「これは…。指輪?」

「え、ええ。そうよ。さぁ、それを私の薬指にはめなさい!」

「う、うん。まあいいけど。」

 俺はそのまま、雨宮の左手の薬指にはめた。

「これで、契約は完了ですわ。」

「へ?契約?」

 俺がそういうと雨宮は右手を開いて俺の頬を優しく触ると…。

「契約はこういうことですわ。」

 俺に優しくキスをした。

 俺は最初驚いたが、ま、いいか。と思うとそのまま、ゆっくりと瞳を閉じた。

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