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ご近所ダンジョンを踏破しよう!③

 

 じゃあ何かい?

 俺はヘロヘロで事の善悪も把握できてないぐらい疲れてるヤツにぶっ飛ばされて、アオイは考え無しにボロクソにけなされたって事かい?


 何だそれは。


 なんなんだそれは!!


「あのババアぶっ飛ばしてやる! どこにいる!?」


「落ち着きなよ。ユールの言ってる事自体は、まあなんか極論だったけど間違っちゃいないんだ。そこんところは、ちゃんと考えておかなきゃね」


 止めるなクソネズミ!

 俺はもう我慢ならねえ!

 アオイの母親だからってどこかで遠慮してたが、こうなったら破れかぶれだ!


「落ち着けってんだ」


「へぶぅ!」


 またも親父に頭を叩かれた。


「何も答えを持っていかないまま、また返り討ちか? さっき言った死にたくねぇ気持ちっていうのはな、その為に全力で手段を講じろって事だ。馬鹿正直にまっすぐ進むのはお前の良いところだが、それ以外の事は人に頼れって言ってんだよ」


 そ、そんな事言われてもだな!


「まあだ俺が殴った意味を理解してないな? 脅しに屈したり見送った事じゃねぇよ。お前がアオイちゃんと一回も話し合ってないからだ。 二人の問題だろうが」


 それは、そうだ。

 俺は苦しむあいつに何も言えなかったし、あいつは一人で答えを出そうとしていた。

 ああ、言われてわかる。

 ひどい事したな俺。


「ユールさんは他種族を今一信用してない。んで、お前らだけだと不安に思っている。それは合ってるんだよな?」


「ああ、まあな。アオイだけじゃ双子の面倒見切れないってところもだ」


 頭をさすりながら思い出す。

 ユールが言いたいのは、親父が上手い事纏めてくれた。


「んじゃ、話は簡単だ。龍に助けてもらおう」


「え?」


「ユールさんやアオイちゃん達以外にも、龍はいるんだろ?暇してそうな龍にお願いして守ってもらおう。それなら条件満たしてるだろ。人間でも獣人でも魔族でもないし、強いしな。どうだネズミ」


 親父は腕を組んでアルバ・ジェルマンに促す。


「大丈夫じゃないかな。年若い龍ならそんなに人間に不信感を持ってないし、強さも折り紙付きの娘がいる。アオイとも仲が良いしね。お願いしたら快く頷いてくれると思うよ」


「んじゃ、渡りをつけといてくれ。なんか礼を考えとかなきゃな」


「礼はいらないさ。同族の事なら彼女達はどこまでも本気になれるからね。まあ、言うなればユールもそうなんだけど。あの子は性格がなぁ」


 なんか物凄い速さで事が解決していく。


 アオイは双子を育てたいが、守りきれる力がない。

 俺は双子の為に居ないとダメだが、やはり力がない。

 なら、力がある存在に守ってもらおう。


 あれ?簡単な話じゃないか。


「龍が一箇所に集まる事で、なんか困る事あるか?」


 親父とネズミの会議はなおも続く。

 黙って聞いて居た翔平が、キッチンからお菓子を取り始めた。


「まあここにいる事がバレたら、集まる人が増えるだろうけど、それを差し引いても龍の強さは絶対だからね。助かる事の方が大きいと思うよ」


「んじゃ問題ねえな。薫平、どうだ?」


 突然話を振られて、呆気にとられた。


「へ?あ、ああ。それで解決するなら」


「よし、後はアオイちゃん達の居場所だな」


 なんか、親父のやる気が凄い気がする。


「アオイ達は、巣に戻ってるよ。ユールの休養の為に、三日ほど荷造りするってさ」


 遠くに行ってないなら、それで良い。

 それと一つ、気になることが。


「チビ達の授乳、大丈夫か?」


 そうだ。

 いつもならこの時間に俺とアオイは授乳している。

 一日一回の共同作業。

 これだけは絶対欠かさなかった。


「まあ、大丈夫じゃないと言えば大丈夫じゃない。が、こっちはそう焦る話じゃないよ。二、三日なら後でリカバリーできるからね。できるだけ早く迎えに行ってやりなよ」


 俺は胸を撫で下ろす。

 すぐに人間を食われちゃ、溜まったもんじゃ無い。


「僕がユールのそばにいて、時間を出来るだけ稼ごう。君たちはあの岩を登ってきてくれ。内部にダンジョンがあるのは知ってるよね?」


 ああ、そう言えばそうだ。


「ダンジョンなんて、登って良いの?」


 今まで黙って聞いていた翔平が、心配そうな顔で割って入ってきた。


「まあ、良くねえな。トレジャーハンター協会の管轄だから、ハンター資格が無いとまず入れないな」


 そうか。

 確か西日本トレジャーハンター協会とか言うところが、管理運営してるんだっけ。

 まず一般人は立ち入れない。

 どうするか。

 あ。


「そう言う話に、詳しそうなヤツがいる」


 ダンジョンとか伝説とか、モンスターとか魔法とかが大好きな、頭の良いヤツが。


 俺はつい最近戻ってきたばかりのスマホを取り出し、電話帳を開く。

 慣れない操作に四苦八苦しながら、お目当の名前を見つけてタップした。


 数回のコール後、電話が繋がる。


「はは、は、は、はいもしもし!薫平くん!?」


 三隈 夕乃は、慌てながら電話に出た。

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