表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/201

双子の龍は夜に泣く②

 

「おはよう……」


「おはよう、って兄ちゃん大丈夫?」


 ダイニングに入り、翔平に挨拶をした。


「大丈夫じゃねえよ……今何時だ?」


 テレビの上の壁掛け式の時計を見る。

 もう十時か。

 多分四時間も寝れてない。


「顔色悪いよ?お昼は昨日の残りでいいかな」


「おう、それでいい」


 翔平はクッキーを食べながらソファでワイドショーを見ていた。

 紅茶のカップに、お茶請けの籠。

 こいつ本当に小学生か?

 ウチの弟の主婦力が高すぎる問題。


「お姉ちゃんと赤ちゃん達は?」


「今メシあげてる。一時間ぐらい前から寝てくれなくなったからな」


 あんだけ頻繁に起きてたのに、朝になると元気にワタワタと手足を動かし、二人だけで遊んでいた。


「大変なんだね。赤ん坊って。父さんからカード預かってるよ」


「カード?」


 この歳で親父と決闘デュエルなんてする気無いぞ。

 ルールも知らないし。


「クレジットカード。赤ちゃん達の必要な物買いに行けってさ。良いものなら高くても良いって」


「ああ、了解」


 足りないもの一杯あるからな。


「あとでアオイが荷物取りに巣に戻るらしいから、戻って来たら出かけようか」


「その手で買い物大丈夫なの?」


 翔平は右手を指差す。

 包帯で巻かれた俺の右手は、医者が言うには全治一ヶ月。

 今でもかなり痛いし、動かしづらい。


「腕で持つ分には大丈夫だろ。お前が付いて来てくれたら、兄ちゃん助かるんだけどな」


「まあ、元々暇だしね。良いよ」


「サンクス」


「ユアウェルカム」


 本当に出来た弟だこと。

 ソファに座り、お茶請けからクッキーを取って食べる。

 チョコチップのクッキーは翔平の好みだ。


「ちょっと裏の森見て来て良いか」


「裏の森?」


 翔平が首を傾げた。

 様になるなあ。


「あのネズ公、探して話を聞きたいんだよ。暫くこの町に居るって言ってたのに、アイツ森に入って行っちゃったろ?巣穴ぐらい把握してないと、いざ困った事があったら大変だからな」


 何せ、龍のお医者さんらしいからな。

 本当かどうかは眉唾物だが。


「うーん。あの森、結構深いから気をつけてね。庭から見える所でも、凄い暗かったし」


「了解。顔洗ったら少し行ってくるわ。昼までには戻ると思う」


 家の裏で迷うってのも嫌だしな。


「わかった」


 ポリポリとクッキーを食べながら、翔平は頷く。

 ソファから立ち上がり、ダイニングを出る。

 洗面台に立ち、顔を洗って、鏡を見る。

 髭は、まだ良いか。

 俺は伸びるの遅い方だからな。


 歯を磨いて、口をゆすぐ。

 洗面台に頭を突っ込んで、水を被る。

 俺の髪は硬い。毎朝寝癖を直すのに苦労している。

 いっその事水洗いした方が早いのだ。


 洗面台横のタオル棚からタオルを取る。

 前の家と配置を似せてある。よく使う物ぐらい、探さずに取り出したいからな。


 ワシャワシャと頭と顔を拭きながら、二階に上がる。

 親父の部屋の前、物置の前、二部屋通り過ぎて、俺の部屋だ。

 その奥と、対面の部屋、その隣は空室だ。

 何も入ってない。


 右手でノックしようとして、包帯が目に入ったから左手に変えた。

 怪我をしてる事を忘れそうになるな。ちゃんと痛いのに。

 三回ノック後、声をかける。


「入っても良いか?」


「はい、大丈夫ですよ」


 返事を待って扉を開けた。


「メシ、終わったか?」


 アオイはベッドに座り、双子と遊んでいた。

 身を乗り出して顔を覗き込んでいて、指先で頬をつついたり、指を握らせたり。

 俺と同じぐらい寝てないのに、嬉しそうに微笑んでいる。


「はい、二人ともげっぷも上手に出せました。今は眠くないみたいですね」


「そか」


 返事はすれど、顔は双子に夢中だ。

 

「ジャジャは、パパが来たら分かりやすく喜ぶんですよ?ほら見てください」


 言われて、俺も双子の顔を覗き込む。


「あー、あー!」


 ジャジャはニコニコしながら、手をブンブンと振り回していた。

 か、可愛い。


「ナナは、おとなしい子なんですね。あんまり笑わないんですけど、時々フニャッて笑うんです」


 ナナの顔を見ると、不思議そうに俺の顔を見ている。


「ほーらナナちゃーん。パパが来たよー」


「あー?」


 アオイの指先で頬をくすぐられて、ナナは顔をアオイに向けた。


「えへー」


 母親の顔を認識したのか、半開きだった口がゆっくり形を変える。

 本当に、フニャッって感じで笑うんだな。

 これまた可愛い。


「おし、ちょっとネズ公探してくるな。夜泣きの事とか聞きたいし、住んでる場所を知っときたいから」


 そう言いながら、ベッドの横にある衣装ケースからシャツと下着、そしてジーンズを取り出した。


「あ、おじさまですか?分かりました」


「昼までには戻ってくるから、それからお前の荷物を取りに行ってくれ」


 肩に着替えをかけて、再びベッドを見る。

 相変わらず、アオイは双子に夢中だ。


「はーい」


 本当に聞いてるのかね。


 俺は半ば呆れながら、部屋を出た。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろうSNSシェアツール

作者の別作品です!!



書籍1〜2巻、コミックス2巻は2019年12月24日発売!
帰宅途中で嫁と娘ができたんだけど、ドラゴンだった。


可愛い使い魔達とのんびり異世界ライフ
天騎士カイリと無敵に可愛い天魔パレード!

ハードな現代ファンタジーが読みたいなら
トーキョー・ロールプレイング~クソゲーと化した世界で僕らは明日の夢を見る~

えっちなお嫁さんは嫌いですか?
鬼一族の若夫婦〜借金のカタとして嫁いで来たはずの嫁がやけに積極的で、僕はとっても困っている〜

問題だらけのハーレムを従えて、最強の人狼が借金返済にひた走る!
騙されて多額の借金を背負った人狼、最狂のハーレムクランでのし上る! 〜火力が極限すぎてえげつない〜

あっちにもこっちにも勇者ちゃん!高校生エージェント、猟介の苦難が止まらない!
勇者ちゃん、異世界より来たる!〜とんでも勇者の世話をすることになったんだが、俺はもうくじけそう〜
よかったらどうぞ。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ