↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
173/201

【一周年記念】すこし未来のわたしたち

2月12日で一周年でした!

間に合わなくてすみません!

PCぶっ壊れて自力で復旧してました!


今後のネタバレが多少入ってますので、ネタバレが嫌な人は閲覧注意です!

 

「お姉ちゃん、パパの誕生日どうする?」


 私の双子の妹が、ローテーブルに顔をくっつけながら聞いて来た。

 日曜日のお昼下がり。私たち姉妹は思い思いの過ごし方をする。

 私は二段ベッドの上で図書館から借りてきた本を読んでいて、妹は友達から借りた少女漫画を読んでいた。


 あんだけあった漫画をもう読んだのか。

 たった二時間で全12巻を読破とか、凄いな。

 この子の集中力には姉である私も勝てそうにない。


「私はもう考えてるよ」


「え?」


 なんで驚く?

 だってパパの誕生日は明後日だよ?

 ていうか今更相談とか遅すぎるよ。


「ず、ズルイ! 去年まで一緒に考えてたじゃん!」


「来年からは別々にするって駄々こねたのナナじゃん」


 今年から高学年だから、今までみたいな子供じみたプレゼントは嫌だって言ったの覚えてるんだから。


「そ、そうだっけ?」


「そうだよ」


 えっと去年は確か……そうそう、絵を描いて送ったんだっけ。

 大きな画用紙に、私がパパの絵を描いてナナが色を塗って、『お誕生日おめでとう! 大好きです!』って書いたんだ。


 その『大好きです!』の文字がナナはとても気に食わなかったらしく、大喧嘩をした。

 恥ずかしがり屋で、すぐ背伸びしたがるこの子はそういうところがある。

 パパのこと本当は大好きなのに、子供っぽいから甘えたりしない、とか。

 もう高学年だから、お風呂は別々に入る! とか。

 誰の何を気にしてるのかわかんないけれど、ナナは最近パパに冷たい。


 私? 私は変わらずパパが大好きだ。

 お仕事で二、三日家を留守にするパパだから、会える時間は結構少ない。

 だから帰ってきたら目一杯構ってもらって、それで肩を揉んだり背中を踏んだりして労を労うんだ。


 私とナナ、ルルとニトとそうちゃん。


 五人も子供がいるから、パパは他所のお父さんの何倍も頑張ってお仕事しないといけないってママが言ってた。

 ウチはじぃじもまだ働いてるし、ゆうのママはパパのお仕事手伝ってるし、ウエラねぇとアズイねぇの庭園もあるからお金の心配はしなくて良いらしいんだけど、でも将来に向けて貯金を頑張らないと行けないんだって。

 大変なんだ。本当に。


 友達の家と私たちの家はだいぶ違う。


 まず、普通のお家ではママは一人だ。

 私たちみたいに三人も居ない。正確にいうと二人と一人に半分づつだから、3.5人? かな。

 パパとちゃんと結婚してるのはゆうのママだけだけど、私たちのママとルージュママも立派なパパのお嫁さんだ。


 なんでそんな難しいことになってるのかは私たちにはまだわかんないけれど、ママたちが幸せそうだから別にいいかなって思ってる。


 一つ年下のルルと、四つ年下のニト。

 去年生まれたそうちゃん、蒼平。

 可愛い妹や弟が生まれたのも、ママが3.5人も居るからだ。

 だから何も不満はない。


 でも他の人には内緒なんだ。

 ママが一杯いること。


 バレるとめんどくさいことになるから、言わない方が良いんだって。

 でもこの町の人たちはほとんどが私たちの事知ってるから、意味ないんだけどね。

 風待家はこの町の有名人さんだもん。


 パパなんかファンクラブがあるんだよ?

 パパは知らないみたいだけどさ。

 ママたちが必死に隠してるし、パパはそういうのに本当に疎いんだ。


 ああ、そうだ。

 もう一つの秘密。

 これもこの町では結構有名なんだけど、私たちは『龍』だ。


 双子の妹のナナも、ルージュママの娘であるルルも、ゆうのママとアリスママの娘のニトも、そして蒼平も。

 蒼平なんて男の子なのに龍だから、みんな大騒ぎだったなぁ。

 とっても可愛い私の弟。


 小さなプニプニのおてて。

 ぷっくりフニフニのほっぺた。

 ママや私と同じ色の短い角がとっても愛らしくて、この一年間は我が家はそうちゃんにメロメロだ。


 ニトも最初はみんなをそうちゃんに取られたと思ってムクれてたけど、今では誰よりもそうちゃんとくっついて遊んでいる。

 ニトだってめちゃくちゃ可愛いから、心配しなくても良いのにね。


「あうぅぅ……。どうしよう。私何も用意してない」


「二年生の時みたいにお歌でも歌ったら?」


「嫌だよそんな子供っぽいの! 私たちもう四年生だよ!?」


 子供っぽいも何も、私たちまだ全然子供じゃん。

 なんでそんな大人ぶろうとするのだろうかこの子は。


「ちなみに、お姉ちゃん何にしたの?」


「ママと一緒に編み物にしたよ。ママがセーターで、私がマフラー」


 私たちの羽や尻尾や髪の毛と同じ色の、綺麗な青のマフラー。

 実は去年からコツコツと頑張ってきた、自慢の一品だ。

 ママに教わりながら、失敗に失敗を重ねてようやく完成した自信作。


 パパ、喜んでくれると良いなぁ。


「……ファザコン」


 パパに褒められるところを想像してニヤニヤしてたら、ナナがボソリと呟いた。


「パパが好きで何が悪いのさ」


 いつも私たちのために頑張ってくれてるんだもん。

 嫌いになるわけないじゃん。


「姉弟の中でも、お姉ちゃんだけパパのこと好きすぎるんだよね。まだお風呂一緒に入ってるし」


「パパとお風呂一緒に入るの、別に悪いことじゃないでしょ?」


 背中流してあげたりしてるだけじゃん。

 そうでなくても、私がパパに甘えられる時間はとても少ないんだ。


 だって私は長女だもん。

 まだまだ甘えたい盛りな妹たちに優先してるから、お風呂ぐらいじゃないとパパを独占できない。


「そんなこと言ってるけど、ナナだって充分ファザコンだからね?」


「私が? そんなことないって」


 自覚してないなぁ。

 パパが家に居ると絶対近くから離れないし、学校や友達のことを嬉しそうにパパに報告してる姿は間違いなく私のソレと一緒だ。


「まぁ、ナナが嫌なら別に良いけどさ。プレゼントどうするの?」


「どうしよー!」


 尻尾をブンブンと振り回して、ナナはテーブルに突っ伏した。

 私は二段ベッドのはしごを降りて、テーブル越しのナナの向かいに座る。


 今日の我が家はとても静かだ。


 そうちゃんとママとばぁばはユールばぁばのところに。

 ルージュママはさっきからアズイおねぇとウエラおねぇの庭園を手伝って居る。

 じぃじとパパとゆうのママはお仕事だし、翔平おじちゃんは今年の春から海外の大学に行っちゃったし。


 今家の中に居るのは私たちとルルとニト。

 下の妹たちはリビングでアニメ鑑賞中で、もうじきお腹空いたって部屋に突撃してくるだろう。


「お昼何がいい?」


「お姉ちゃんが作るの?」


「なんで不安そうな顔するの?」


 失礼な!

 私だって簡単なご飯ぐらい作れるもん!


 ナナと違ってママたちのお手伝いちゃんとしてるし、翔平おじちゃんの弟子なんだからね!


「だってこの間のケーキ……」


「あ、あれは初めて作ったし、ちょっと間違えて焦がしちゃっただけじゃん!」


 クリスマスケーキを自分で作ろうとして、盛大に失敗したのを覚えてたのか。

 くそう……どうでもいい事だけしっかりおぼえてるんだからこの子は。


「じゃあ、ルージュママに作ってもらう?」


「お姉ちゃんのご飯大好きだよ私!」


 うむ。

 それで良いんだよそれで。


「ジャジャねぇ、ナナねぇ。お腹すいたー」


「すいたー」


 部屋の扉をゆっくり開きながら、ルルとニトが入って来た。

 真っ赤な短い髪の毛のルルと、緑色の長い髪のニト。


 可愛い可愛い私の下の妹たちだ。


「おっけー。何食べたい?」


 立ち上がり、両腕の袖をまくる。


「オムレツ!」


「ニトも!」


 元気よく返事を返したルルに賛同して、ニトがピョンピョンと飛び跳ねる。


 任せなさい!

 お姉ちゃんがとっても美味しいオムレツ作ってあげる!

 チーズオムレツとかどうかな?


「えー? 私グラタンがいいー」


「今からグラタンなんて時間かかっちゃうでしょ。言っとくけどナナも手伝うんだからね?」


 たまにはお手伝いしなさい!

 ママにまた怒られるよ?


「ナナねぇもごはん作るの?」


「つくれるの?」


「つ、作れるよ!?」


 また見栄はるんだからこの子は。

 滅多にキッチンに近寄らないくせに、ご飯なんて作れるわけないじゃん。


「それじゃあ下に行こっか。ルルちゃん 、ルージュママたちにそろそろご飯だよって言ってきてくれる?」


 家のすぐ裏にある、ウエラねぇとアズイねぇの庭園。

 リビングから出れる庭に繋がっているから、そこへの伝言係は小さなルルでもできるお手伝いの一つだ。


「できるよね?」


「うん! ルルもう三年生だもん!」


「よーしお利口さんだー」


 ルージュママと同じ真っ赤な髪の毛をサラサラと撫でると、勝ち誇ったように笑うルル。

 その様子を見ていたニトが羨ましそうに私の服の端を摘んだ。


 ルルより更に小さなニトには、別のお願いをしよっかな。


「ニトちゃんにはー、そうだ。お風呂の準備をお願いしようかなー。ルージュママたち泥んこで戻ってくるから、きっと喜ぶよ?」


「うん! ニトできるよ! できるの!」


 パァっと満面の笑顔でニトが笑う。


「よーし良い子良い子」


 ニトを持ち上げて、その頬にスリスリと頬ずりをする。


 うーん。私の妹たちが可愛過ぎて幸せ!

 若干一名、まだ不満気なナナを除くけど。


 この子ももっと素直ならとっても可愛いのになぁ。


「ルルたちはパパのお誕生日に何かするの?」


 ナナが立ち上がってルルの頭を撫でた。

 目を細めて気持ち良さそうにするルル。


「ニトとお歌歌うよ。ゆうのママとアリスママと一緒に練習したの」


「アンタねぇ……もう三年生なんだから、もっと別の事したら?」


「ナナねぇも同じことしたじゃん。去年」


「うっ」


 図星を突かれたナナが狼狽えた。


 余計なこと言った罰だ。

 可愛い妹たちが可愛いことしようとしてるんだから、素直に褒めてやればいいのに。

 今しかしてくれないんだぞ?

 ナナみたいに変に大人ぶったら、もう絶対やってくれないのに。

 パパだってルルとニトのお歌、絶対に喜ぶに決まってるじゃん。


「ナナねぇは、もっと凄いことしてくれるんだってさ」


「もっとすごいこと!?」


「お姉ちゃん!?」


 私の言葉に大げさに驚いたニトが、ナナを期待の眼差しで見つめる。

 キラキラと輝くその瞳に勝てるのは、ウチの家には誰も居ない。


「何するの!?」


 ルルもナナを見上げて目を輝かせている。


「うっ……なっ、内緒! 当日のお楽しみだから!」


 妹二人の視線に耐えきれなくなったナナがそっぽを向いて目を逸らした。


「楽しみ!」


「たのしみー!」


「そうだねぇ。何してくれるんだろうねぇ」


 ニトを抱っこしながら部屋を出ると、ルルとナナが後に続く。


「……お姉ちゃん。恨むからね」


「きこえなーい」


 ナナの恨み言を無視して階段を降りる。


「さあて、オムレツ作るぞー」


「オムレツー!」


「おむれつー!」


「わぁい……」


 私の号令に合わせて、元気よく声をあげるルルと、舌ったらずなニトがはしゃいだ。

 ナナは無理やりテンションを上げてるみたいだ。


 この町でちょっとだけ有名な、風待家四姉妹はいつもこんな感じである。


 さて、可愛い妹たちのお腹を満たすためにも、長女さんは頑張りますよーっと。



新作、『天騎士カイリと無敵に可愛い天魔パレード!』も、よろしければ読んで見てください!

https://ncode.syosetu.com/n6073em/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろうSNSシェアツール

作者の別作品です!!



書籍1〜2巻、コミックス2巻は2019年12月24日発売!
帰宅途中で嫁と娘ができたんだけど、ドラゴンだった。


可愛い使い魔達とのんびり異世界ライフ
天騎士カイリと無敵に可愛い天魔パレード!

ハードな現代ファンタジーが読みたいなら
トーキョー・ロールプレイング~クソゲーと化した世界で僕らは明日の夢を見る~!

えっちなお嫁さんは嫌いですか?
鬼一族の若夫婦〜借金のカタとして嫁いで来たはずの嫁がやけに積極的で、僕はとっても困っている〜

問題だらけのハーレムを従えて、最強の人狼が借金返済にひた走る!
騙されて多額の借金を背負った人狼、最狂のハーレムクランでのし上る! 〜火力が極限すぎてえげつない〜

あっちにもこっちにも勇者ちゃん!高校生エージェント、猟介の苦難が止まらない!
勇者ちゃん、異世界より来たる!〜とんでも勇者の世話をすることになったんだが、俺はもうくじけそう〜
よかったらどうぞ。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。