表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/63

キャッティの仲間

翌朝宿屋を出たところでキャッティさんの姿を探してみたけど見当たらなかった。


ちょっと来るの早かったのかな?


しばらくすると寝坊したーっと慌てて宿屋から飛び出てきたキャッティさんに土下座しそうな勢いで謝られた後、古城へと向かい森に向かう。

森を歩いていると他の冒険者がこちらをチラチラみたり、ひそひそと何か話していた。

特にキャッティさんが気にしている様子はなく、むしろ嬉しそうに話しかけてくるので気にするのをやめることに。





古城の広場に着くとキャッティさんの仲間が待っていて、こちらに気がつくと手を振ってくる。


「ごめん、お待たせ〜」

「キャッティはまた寝坊れすか」

「ごめんごめん、でもお詫びにこの子連れてきたからさ。えっと自己紹介するね」



キャッティさんはこのパーティのリーダーで、世話好きなおねぇさん的な存在で猫獣人の戦士。

さっき『れすか』と舌ったらずな喋り方をした140㎝程しかない幼く見えるクゥさんは人間の戦士と聞いてびっくり。

そして、おっとりしているカトレアさんは【守護の神ディア】を信仰する人間の女性神官で、守護の神を信仰してるだけあって、ガチガチのプレートメイルに身を包んで、下半身はスリットの深く入ったスカートを履いている。

最後に非常に大人びてミステリアスな雰囲気のアーテミスさん、信仰神は秘密らしく人間の女性神官戦士で、男装の麗人のようだ。


最後に私の自己紹介の番になる。


「サーラです。杖、持ってますけど戦士です。よろしくお願いします」

「よろしくれす」

「よろしくおねがいしますぅ」

「よろしく」

「一応今回1度だけって言ったけど、気に入ったらちゃんとパーティに加わってよ」

「はい」



自己紹介が終わると各自持ち物の点検を始め出した。


こういう事って先に済ませておくことじゃないのかな?


「あのー、これって?」

「ああ、私達のルールなの。各自で持ち物は用意するんだけど、出発前に重複しすぎた不必要なものがあったり、足りないものが無いか? ってね」

「なるほど〜」


「やぁサーラ、さん……と、キャッティか」


そこへ手に入れたばかりのモールを背負って尻尾をパタパタ振りながらテトラさんが声をかけてきた。


「テトラ様酷〜い。私をオマケみたいに言うなんて〜」

「いや、違うんだ。サーラ、さんは全身真っ黒だから目立つんだ」


改めて自分の格好を見てみると、髪の毛は黒髪でローブも黒、中に着ている服装だけ違うけれど外見はほぼ黒一色だった。


「あはは……」

「あ、いや、サーラ、さんはその格好凄く似合っていると思う」

「そう、ですか?」

「そそそそれよりテトラ様、サーラに何か用事ですか?」


あ、忘れてた。キャッティさんテトラさんの事好きなんだよね。気をつけないと。


「いや、実は仲間に誘おうと思ったんだが……」

「残念ですけど、今回は私達が先ですよ」

「そうか、なら仕方がないな。

今度、この間の続きをしよう」


この間の続き? 続き続き続き……抱きしめた事? え? へ?


「途中になったからな、祝杯」


ああ、そうだった。うわ私何考えてんの。


「はい!」


じゃあなとテトラさんが戻っていくのを見送った後振り返ると、準備の終えたキャッティさん達が待っていた。


「行こ、サーラ」

「はい!」





地下牢獄へと向かっていく。

森を歩いていた時から他の冒険者に私達がずっと見られているのが気になり我慢できなくなった私は聞いてみる。


「あのー、私達さっきから見られてる気がしませんか?」

「うん? ああ、私達、じゃなくてサーラの事よ。みんな気になっているの」

「え?」


聞けばセインさん達はこの地下迷宮探索冒険者の中でトップを争うパーティの1つだそうで、いわゆる有名な名の知れた人達だった。そんなセインさん達と一緒にいた新人の私に興味を持たないはずもなく、あっという間に冒険者の間で噂されるようになってしまった。



「サーラって本当に自覚無いのれすね。女の僕から見ても凄く可愛いのれすよ」

「そうですねぇ、可憐で美しく少し天然でどこかミステリアス、加えてセインさん達と知り合い、そんな子放っておけませんよねぇ」

「は、はぁ……」



初めて女体化したときの事を思い出す。体はもちろん顔も丸みを帯びて女になったのはわかっていたのだけど、いくら変わったと言っても自分の顔の雰囲気は変わらなかったから、全く自分自身が可愛いとかなんて微塵も感じることがなかった。


「私が男だったら……放っておかないよ」


顎を手でクイっと持ち上げられて言われ思わずカァっと顔が紅くなる。


「アーテミス、誤解招くような事は言わないの!」

「私は本音のつもりだよ」

「あはは……」




そんな冗談を言いあっていると大部屋まで辿り着き、クゥさんは迷わず一つの扉に向かっていく。


「ここが僕達の出発する扉と決めているんれす」

「同じ扉から行けば道も覚えるでしょう?」

「なるほど〜」




扉を抜けてしばらく行ったところで最初の小部屋につながる扉までくる。

隊列は前衛にキャッティさん、クゥさん、私で、後衛にカトレアさんとアーテミスさんとなった。



「カトレアは一応戦えるけど、戦士じゃないから回復に徹してもらってて、アーテミスは必要に応じて接近戦に参加してくるから覚えておいてね」

「はい」


ずいぶん白兵中心なパーティだなぁ。でもこんな狭い迷宮だと、範囲攻撃魔法も限られてくるからむしろいいのかも。神聖魔法を使える人が2人もいるから安全面もバッチリだしね。


私はそっと感知(センス)予測(プレディクション)、そして修道士(モンク)特有の呼吸法をして気を巡らせる。もちろん杖にも気を通して神鉄アダマンティン化させる。


「行くよ!」




「おお?ここがあの噂で聞いた何しても許されるという後書きれすか?」

「そうみたいね、へ〜こうなってるんだ」


何しても許されるわけじゃ無いですからね。


「ガッカリれす」

「しつも〜ん!」


はいキャッティさん


「なんでクゥとかカトレア、アーテミスは個性的なのに私は普通なの?」

「普通、れすか?」

「そうでしたかぁ?」

「異議あり」


だそうですが。


「なんでえぇぇぇぇぇ!」



というわけで更新です。

次回更新は明日を予定しています。

またあらすじにも加えましたが、ボーイズラブは間違いです。申し訳ありません。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ