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最終話 再会

なんとか駆け抜けました。

城に向かって歩いて行く。城を守る城門まで到着すると、当たり前なことだが門番の兵士達が警戒している姿が見える。



「まさかここも、って事はないよなぁ」


分かるはずもないアルにそう言いながら近づいて行く。

黒ローブに目深に被ったフード姿の怪しい俺と銀髪の美少女アルが城門まで来ると、さすがに兵士に止められるのだが……


「失礼ですが、お名前の方を伺ってもよろしいでしょうか?」

「俺はサハラで、彼女はブリーズ=アルジャントリーです」


名前を言った途端兵士達は横に並んでどうぞ!とあっさり通してくれるようだ。


「失礼ですが、国王マルス様から通達でもあったんですか?」

「はっ! サハラと名乗る黒ローブ姿の男性が銀髪の女性を連れて来たら、必ず通すようレイチェル妃様に仰せつかっておりました!」


やっぱりレイチェルだったか。


ありがとうと礼を行って中へとが入っていく。懐かしい城前の庭は少し歳月が経って汚くなっていたが、十分手入れがされているのは分かる。


俺に気がついたメイドが慌てた様子で侍女を連れてやってきた。


ビシッとした佇まいで現れたのは、俺が侍女をやっていた頃に侍女の見習いをしていた子だった。思わず名前を言いかけたが、サーラではないことを思い出して言葉を飲み込む。


「サハラ様ですね。ただいまアリエル様をお呼びしてまいりますので」


待ってと言うように手を俺は出して言葉を止める。


「アリエルは俺が呼びます。貴女はマルスとレイチェル……っと、国王と王妃に俺が来たことを伝えてください」


そう言うと不思議そうな顔をしながら返事をして立ち去っていった。



『アリエル、今城の前の庭にいるよ』


返事が返ってくる事はなく、しばらく待つと城から走ってきたのだろう、息を切らせながらアリエルが現れた。


俺の姿を見てユックリと近づいてくる。


「サー、サハラさん……」


俺の前まで来て立ち止まったアリエルの顔は、目に涙を浮かべぐしゃぐしゃになっていく。俺にとっては一瞬の事でつい昨日別れただけだが、彼女は10年という歳月を待っていたのだから想いは相当なものなんだろう。




「この姿で会うのは俺は初めてだったよね。はじめまして、ただいまアリエル。随分待たせたね」

「はじめまして、お帰りなさいサハラさん……」




そこではじめて俺に抱きつき、わあぁぁぁと大粒の涙をポロポロこぼして泣き出した。


こうして俺にとっては最悪な女体化の時期が終わった。

全てが全て最悪なということでもなかったけど、あまり覚えておきたくない過去だ。




その後、聞いた話でアルクレスタは支え続けてくれたカトレアと結ばれたそうだ。

そしてキャッティは鈍いというか天然なテトラを何とか陥落させて結婚、そのまま冒険者を引退したらしい。

セインとその仲間のシリク、テクセル、コロナはその後、キャッティの仲間だったクゥ、アーテミスと組んだそうで、迷宮の探索を続けてしばらくして消息を絶ったという。


トータークはあの騒ぎを起こした後、何かに怯えながら暮らし、ある日寝室でまるで獣に食い散らかされたようなひどい状態で死んでいたのを発見されたそうだ。


オルカは消息不明、ポラベアはマルボロ王国領の1つであるヴァリュームに向かい、しばらく滞在した後消息を絶ったそうだ。




そして今、懐かしい顔ぶれが城から顔を出し、俺の名を呼ぶ声が聞こえる。

俺の旅はまだまだ終わらないーーー




TS修道女の受難〜始原の魔術師外伝〜

ー完ー


ここまでお付き合いいただきありがとうございました。

拙い内容、文章、表現力、至らなかった部分多かったと思いますが、最後までお付き合い頂いた方々には本当に感謝いたします。

これより本編である『始原の魔術師〜時を旅する者〜』に話は戻ります。

(トップページの“時の旅人サハラシリーズ”から移動出来ます)


今回外伝で登場した人物は、アリエルとブリーズ=アルジャントリー以外は本編には登場することはありません。

彼らがどうなったのか、どうしたのかは読んでくれた方々の想像にお任せ致します。





外伝無事に終了です。


寂しいような気もしますが、終わらせないと本編も止まったまま時は流れなくなってしまいますので。



TS修道女の受難〜始原の魔術師外伝〜から読んでくれた人たち感謝です。

凡人の異世界転移物語から愛読してくれている方達にはお待たせいたしました。もう間もなく本編の再開になります。


本編再開は少しお休みを頂いて10/16から更新していきます。

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