分かち合う3人
結局アルはそれ以上は語らず、ニコニコと笑顔を浮かべながらスネイヴィルス様の様子を伺っている。
「サハラよ、其方はこの者を信用するつもりか?」
「はい」
まっすぐスネイヴィルス様を見つめて答えた。
「ならば其方に任せる」
そういった次の瞬間には既に姿を消していた。
「こ、怖かったでありんすぇ。まことに殺されるかと思いんした」
ヘナヘナとアルはヘタレこみ、薄っすら目には涙が溢れている。それを見て思わず吹き出してしまい、ジト目で見られてしまう。
「そんなに怖かったのなら無理をしなければよかったじゃ無いですか? 出来るところまででも説明して納得してもらうとか方法はあったと思いますよ」
首を振って拒否をしてきた。何も言わないところから出来る限り無闇に情報を出したくは無いといったところなんだろうか?
「まぁいいじゃない。それより早くこれ解いてよ。お風呂に行けないじゃない」
「あ、ごめん」
そう言って巻き髪を解くと私の事をジーッと見てくる。首をかしげてなんだろうアピールしてみる。
「サーラお風呂に入らないの? アルも」
「あ……うん、すぐ準備する」
なんだろう……私の両腕にアリエルとアルが片方ずつしがみついて、ニヤニヤ見つめられながらお湯に浸かっている。とても居心地が悪く、そして嫌な予感しかしない。
「アルもサーラ……サハラさんの事好きなんでしょ?」
「はい、と言っても男の方でありんす。でも、サハラ様の女体姿ってこなに可愛いんでありんすね 。こうなんて言ったらいいんでありんしょう……弄りたくなる?」
2人のやり取りにゾクゾクっと悪寒が走る。
「明日も早いみたいだし、お風呂から出たら早く寝よう、ね?」
「んふふふぅ」
「な、な、な、何その意味深な笑いは」
「なんでもない」
お風呂から出て部屋に戻った私達は、明日のみんなと会った時どう説明するのかを話し合う事になる。
「アル、さっき明日みんなと会っても大丈夫って言っていたけど、理由を聞いてもいい?」
「はい、歌姫をしていたのは、ずっとサハラ様の事を探していたためとでも言えばいいかと思ったからでありんすぇ。
こなたの時期はちょうど赤帝竜の事を知ってありんす人はいないはずでありんしたので」
「赤帝竜!? サハラさんって赤帝竜と知り合い……じゃなくて一緒に、いた?」
う、本当にこの子は私の過去を知っている。この事を知っているのはこの世に私の他には2人しかいないのだから。
「それは……そのうちに話すよ。じゃあ私を探していた仲間だったって事でいいのかな?」
アルが頷いて答えたことであっさり問題が解決してしまった。
未来に関わることは、何を言っても答えてくれないアルにアリエルも諦めると、私をベッドに手を引いて連れて行き、ニマーと笑顔を浮かべて押し倒してくるなり、キスをしながら寝衣を脱がしていく。
「アリエルちょっと待って! アルがいるから」
「その心配ないと思うわよ?」
「わっちも混ぜささせて頂きんすね」
ええぇぇぇぇえっ!
2人がかりで身体の隅々まで責め立てられる。身体のあちこちを触られキスをされ、抵抗しようにも2人がかりで押さえつけられた。
「ん! んんんんんん!!」
「ね、サーラって抵抗もしないで可愛いでしょ?」
「はい、こうなんていうか、可愛がってあげたくなりんすね」
「抵抗してるぅ! ちょ、2人がかりなんて、んっ! あっ! そこダメぇ!」
「アル、もうすぐ男に戻っちゃうから今のうちだけだよ」
「そうでありんすね、それでは遠慮なくわっちも可愛がらせてもらいんす」
どれだけ時間が経ったのかすらわからなくなるほど、身体は何度も弾け、意識も何度も遠のき、アリエルに言われるがまま私もキスを返してまた意識が飛ぶ。
このまま壊れてしまいそうになるほど2人に責め立てられ続け、ついにはピクピクとしか動けなくなるほどになってしまった。
「サーラ動かなくなっちゃったわね」
「寝んすか?」
「そうねぇ……」
ニマッとアリエルは悪い笑顔を見せてアルに襲いかかる。
「え? わ、わっち !? あっ! だ、ダメでありんすぇ。くぅ、んんっ!」
「ん〜? そんな事言っちゃってるけど、抵抗してないわよ?」
「そんな事……くぅん、ダメェ。んもぅ、わっちはやられっぱなしはなりんせんよ」
「ふぁあっ!? アル、んぅ……あぁん」
脱力して薄っすらとした視界の中で2人が抱き合って愛し合っている姿が見えた。それを私は見つめながら、とても美しく綺麗に見えた。
「あら? サーラ目が覚めたのね。じゃあ続き……しましょう」
「い! ちょっと待って! んんぅ!? はぁあぁぁぁぁっ」
「わ、わっちも……」
夜は更けていく。
明け方には3人仲良く裸で抱き合いながら眠りについていた。
「んんっ……」
いつもと変わらぬアリエルの濃厚なキスで目がさめる。
「おはよう」
「おはよう、アリエル」
「ん~、起きなんしございんすぅ」
モゾモゾとアルが目を覚ましてきた。
「アルは本当に面白い言葉使いね、あははははは」
「そんな笑うほど可笑しいでありんすか? わっちはこれが普通に育ったんでありんすが ……少うしだけショックです」
しょぼんとする銀髪の少女がまた可愛く、私が思わず抱きしめると慌ててわたわたし、アリエルがムスッとした顔を見せた。
「さぁ、着替えて集合場所に行きましょう」
私が冒険者の装束の上に黒いローブを羽織るとアルが目を輝かせて見つめてきた。
何かと尋ねると、やはり答えてくれる事はなかった。
本日分の更新です。
昨日の後書きにも書いた様に好き嫌い別れそうな話です;^_^A
さて終盤に入り、もう間もなく女体化時期の話も終わりが近づいています。
振り返ってみると日常的な話もなかなか書けたかなと思っています。
何より嬉しいのは、このサハラの話である凡人の異世界転移物語、始原の魔術師〜時を旅する者〜よりもTS修道女の受難〜始原の魔術師外伝〜が一番高い評価をされているのは嬉しい限りです。
少しは書き物の成長したのかな?
さて次の更新明日です。徐々にラストに向けてスパートがかかっていきますよ。




