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未来からの来訪者

程なくしてアリエルが部屋に戻ってきて笑顔を一瞬見せたけど、ブリーズ=アルジャントリーが居るのを見ると笑顔が消えたように見えた。


「どうしたの? あたしが必要な事?」

「アリエルに相談しようと思って……」


そこで私の元に戻る方法3種類を話してみることにした。全てを説明し終えて意見を聞くためにアリエルを待つと笑顔で答える。


「サーラがそれが一番良いと思う道を選べば良いと思うよ。私はサーラの従属だから、それに従うから。

……だから、決まったら教えてね」

「え、あ、うん……」


もしかしたらアリエルは私が元の姿に戻るのが本当は嫌なのかな?


何だか居心地悪い。それはアリエルも一緒のようで、ベッドに腰掛けて足をパタパタさせながら、時折私を見てくる。



「お風呂、行ってくるよ」


ベッドから立ち上がったアリエルが苦笑いを浮かべながらそそくさと部屋から出て行こうとする。


「ちょっと待って、私も……」

「ごめん、少し1人にさせて……」


そう言ってアリエルは部屋を出て行ってしまった。



「何だか怒らせてしまうような事してしまいんしたみたいでありんすねぇ。まさかぬし様の従属でありんしたとは思わなかったので、わっちも追い払うような言い方してしまいんした。申し訳ありんせん……」

「う、うううん、アルのせいでは無いですよ」


そうは言ったけれど、心がどこかモヤモヤしている。もちろんアリエルに繋がって聞けばわかると思うけれど、今回の事はそれをしてはダメな気がした。


「今はどの選択をするか、それだけ考えるようにしてみます。

……ところで、アルはいつまでここにいるんですか? 会場の方に戻らなくてもいいんですか?」

「もう会場は片付けて解散させたので問題ありんせん。給金とおっしゃるものも本日この時まで稼いだお金を分配する事で納得してもらいんしたから」

「えーっと、それってつまり……」



最初から言ってた気もするけれど、私と一緒に付いて来る気でいたようだ。

とりあえず、目下の問題は今夜の寝床で、間違いなくここに寝泊まりするんだと思う。

それと明日、セインさん達やキャッティさん達になんて説明したらいいのか。


それをブリーズ=アルジャントリーに聞いてみると、あっけらかんと大丈夫だと言う。



「その根拠を聞いてみたいんだけど……いいでしょうか?」


不安要素しか感じられない。きっととんでもない事を言うような気がした私は思い切って聞いてみた。

ブリーズ=アルジャントリーが口を開こうとしたけど、すぐに閉じて扉の方を見つめる。

すぐに扉が開かれてアリエルが部屋に戻ってきて、まっすぐ私の側まできた。


「これ……ほどいて……」


顔を真っ赤にさせながら、背中を向けて編み込んだフィッシュボーンを指差す。


プフッと思わず吹き出してしまう。ハッとアリエルを見ると顔を赤くしながら照れているようだった。


「サーラ、ごめん。あたしちょっと嫉妬してた」


小さな声で私に言ってきた。


「でももう大丈夫。それとブリーズ=アルジャントリー、アル? サーラは、サハラさんはあたしのもの。それだけ分かってもらえるならあなたの事は我慢するわ」

「アリエル……」


そこまではっきり言われるとこっちまで照れてしまう。


「安心してくんなまし、わっちはこなたの方を貴女から奪うつもりは無いでありんすぇ。 ただ、仲良くはさせて貰いんすけれどね」

「それでいいわ」


えーと……私の気持ちとかは?


苦笑いを浮かべながらも2人が仲良くしている姿にホッとする。


「じゃあ、次ね。サーラはさっきのどうするつもり? あたしの理想でいうならアルに時の速度を早めて貰いながら一緒にいたい。けど、サーラがさっさと戻りたいのなら、あたしは待ってる」


即答は出来なかった。アリエルの気持ちを考えたら、元の姿に戻るのが少し遅れても寂しい思いをさせないで済む。けれどこの短い期間だけで幾度も超えてはいけない一線に何度も近づいてしまっている。

アルクレスタさん、セインさん、シリクさん少なくともこの3人には好意を寄せられているし、私も……


「とりあえず迷宮の町に戻るまでに考えればいいんじゃない?」

「うん……」

「話はまとまりんしたかぇ? 別にわっちはどれを選ばれても構いんせんが、いえ、なんでもありんせん」


意味深な事をアルは言い、当然アリエルはそれを突っ込まずにはいられない。


「その意味深な事は何か言ってもらうわよ」


アルは悩無用なそぶりを見せたあと、頷いてから重い口を開いた。


「迷宮の町に戻ると大規模な魔物の襲撃が起こりんす。本来であればここにぬし様は向かっていないんでありす 」

「なんでその事をアルは知っているんですか!?」

「その口ぶりまるで……先を知っているみたいじゃない!」



つい口を滑らせてしまい、渋々ながら重い口どりでアルが言うには、アルは遠い未来からやってきたそうだ。時を戻った時点で戻る事は出来なくなってしまっているともいう。

なぜそんな覚悟をしてまで過去に戻ったのか? それは頑なに語ってくれなかった。


「大まかな流れだけは勉強してきんしたから、大まかな道筋だけは把握していんすつもりです」

「それを聞いて放っておける私じゃないのですが?」

「まぁサーラならそうだろうね」


道が変わってしまう、そう呟いている。だけどアルが過去に戻った時点で既に変化は始まっているはずだ。


「ひとまず、【自然均衡の神スネイヴィルス】様に連絡を取っても良いですか? 随分大事になってきたので確認したいのですけど」

「既に来ておるわ。ブリーズ=アルジャントリーと言ったか? 其方何者じゃ?」


そこにスネイヴィルス様が姿を見せた。挨拶もそこそこにアルに質問を始めた。

だけど未来から来た事だけを繰り返すアル。スネイヴィルス様に未来は見えないのか尋ねてみると、創造神様でもそんな力は無いという。


「あくまで話せぬと言うか? なぜじゃ?」

「神に言えば未来が大きく変わり、そいでわっちの思いんすに最悪の事態になりかねんせん。 神々はわっちには関与しないで頂きたい」


なっと、スネイヴィルス様が固まる。スネイヴィルス様の神官であるアリエルも凍りつく。


「其方、神々を敵に回す気かの?」


スネイヴィルス様がドスを効かせた口調でアルに迫るけど、アルは平然と首を振る。


「わっちを殺して自己満足に浸りたいのであれば、好きになさってくんなまし。

ただし、世界がーーーの物になってもいいのならば」



その言葉はスネイヴィルス様はもちろん、私までも固まる事になった。



本日分の更新です。


明日は……


「明日更新される話はわっち達が仲良くする所がありんす。苦手な方はおゆるしなんし。

それと何処をどうしていんすかの描写は当然控えてありんすので、読者様の方で脳内妄想に励んでくんなまし」


ブリーズ=アルジャントリーさんありがとうございました。


というわけで、苦手な人には申し訳ありません。

あと今回の話でアリエル、サーラ、アルの三角関係話も考えましたが、終わらなくなりかねないのでやめておきました。

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