突撃! 地下墓地(カタコンベ)ランド
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宿屋に着きアリエル達の元に戻った私とセインさんは、その足で酒場へ行き食事が始まると早速尋問される様に色々聞かれた。
結局セインさんの早とちりだった事と責任の意味を取り違えていた事を話すとシリクさんに馬鹿にされていたけど、セインさんは何も言い返せないで、ただただ済まん済まんと繰り返すだけだった。
ひと段落したところで明日の話になり、どうするか相談になった。
「コンサートは明後日だから明日もフリーだ。明日なんかしたいことある奴はいるか?」
セインさんがペコペコバッタになってしまったため、シリクさんが場を仕切って明日の話をしはじめた。
「あ、それなら俺にいい考えがある」
「よし、ワン公言ってみろ!」
テトラさんがシリクさんの顔面にワンパン入れて黙らせた後、コンサート会場近辺にアトラクション会場がある事を話し出す。
「凄い! さすがテトラ様、いつの間にそんな情報を!?」
フッフッフッと不敵に笑った後、ずビシッ! と指を指す。
その指先の方へみんなが顔を向けると、酒場の壁に張り紙があった。
ーーー地下墓地ランドーーー
地下墓地の町の名物と言えばこれ! 盛りだくさんのアトラクションが貴方達を待っている!
ヒーローショーもあるよ!
「地下墓地ランドで、僕と握手!」
ーーーぜひ来てねぇ〜ーーー
怪しさしかないだろ。
「良いわね」
「うんうん」
「行くれす!」
えぇぇぇえー!! そうなの? そうなるの!
と言うわけで、民主主義的に決まってしまう。明日の朝集合場所を決めると解散となり、宿屋にアリエルと辿り着くとその日は早めに寝ることにした。
朝になり、今日はドレスローブの方のローブを着て集合場所に集まり、朝食を済ませると地下墓地ランドに向かった。
1人金貨1枚という高額を払い中に入る時に、ランドに入るチケットは肌身離さず持つように注意された。
「こ、ここが、地下墓地ランドかよ」
「しゅ、しゅごいれす……」
そこに広がっていたのはありとあらゆるアトラクションがあり、幾人もの人達が挑戦していた。
「ねぇ! あれ! あれやろうよ!」
キャッティさんが指差したアトラクションはカウライダーと言って、猛り狂う牛にどれだけ長い時間乗っていられるかと言うもので、その時間によって景品が貰える、と言うものだった。
「よーし、行ってやれキャッティ! 獣人の凄さを見せてやるんだ!」
「うぅ、テトラ様に応援して貰ったよ。頑張るぅぅ!」
オオオオオオオオオオオオオオーー! 会場が湧き上がる。
キャッティさんは類い稀な運動神経で暴れ回る牛にまたがり続け、制限最大時間を乗り切り記録作りに入り、見事に砂時計2個達成する。
砂時計は1つがたぶん1分程で、2個目に入って半分ぐらいまで持ち堪えた。
「お客様凄いですねぇ、景品この中からお好きなの1品持って行ってください」
「やったー」
キャッティさんは景品の中から1品持ち出し嬉しそうにしている。
「よーし! 次は俺の番だ。悪いがキャッティ、お前の記録は俺がすぐに塗りつぶしてみせるぜ!」
……チーン。
「残念でした、参加賞でーす」
シリクさんは乗って僅か数秒で牛から落ちてしまった。
「サーラ、さんもやってみたらどうだ?」
「いいっ! 良いですっ、私には無理ですよ」
「いいじゃん、サーラ頑張れ」
「頑張れなのれす!」
うう、乗馬すらした事無いのに……
牛の目の前まで来ると、血走った牛が私を睨みつけてくる。
「お、お手柔らかにお願いします……」
カウライダーのアトラクション会場にいる人達、アトラクションの係りの人達全員が驚愕した顔をしてその光景を見つめていた。
「あ、あはははは……」
牛は私が乗り、開始の合図で尻をひっぱたかれるた後、暴れる事なく大人しく立っている。挙句振り返って私を見つめると人懐こそうにブモーと鳴いた。
結局砂時計2個を終えても暴れる事が無かったため、そこで中止となり降ろされてしまう。
「け、景品を1つどうぞ」
「ありがとう、ございます」
景品を覗き込み、その中にあった品物1つを貰ってアリエル達のところに戻った。
「さすがサーラ、さん!」
「お前は牛にまで好かれるんだな」
「す、凄いねサーラ」
「凄いれす」
「あはは、サーラよーしよし」
アリエルに頭を撫でられる。
今のカウライダーを見ていた周りからは、歓声が上がり、また改めて私を見てヒューヒュー声が上がり、近づいて来る者も出てくる。
「可愛いねぇ、俺たちと遊ぼうぜ」
「おい、僕の仲間に気安く声をかけるな」
セインさんが立ち塞がり、それに続くようにテトラさんとシリクさんも庇うように前に出る。
一発触発になりそうな状況になり、緊迫した空気が漂う。
「ハイハイ、そこまでにしてくださいね〜。ここでの争いをしたら即時ランドから追放になりますよ」
カウライダーの係りの人が気がつき注意してきた。
「ウルセェ! 係りの分際で客にケチつ……」
「さよならー」
係りの人に突っかかった人が消え去ってしまう。
悲鳴じみた声が上がり、係りの人が説明をしはじめた。
「ハイ、皆さんこのランド内は私達が完全に支配している領域です。いえ、正確には支配人が、ですけどね。
皆さんがランドに入る時に渡されたチケット、違反すると無効になって即時追放になります。
入場料無駄にしないでくださいね」
笑顔を絶やす事なく説明をするとお辞儀をして引き続きお楽しみください。と言ってアトラクションに戻っていき、客も説明を聞くと私に謝って離れていった。
「なんか、スゲェとこだな」
「そうですね……」
「よ〜し、次行こ〜!次にしゅっぱーつ!」
あはは……キャッティさん人が変わってる。
本日分です。
書き進み具合によっては本日更に更新するかも?しれません。




