パーティ解散とコンサート
書き溜めがちょっと厳しいけど更新です!
新章の障りだけですが、楽しんでもらえたらと思います。
あれから数日後アリエルが、オルカさん達が迷宮から戻ってきた。結局デプス4の最後の扉を守る魔物の所までたどり着いたけど、あの翼を持った魔物と出くわす事はなかったそうだ。
「お帰りアリエル」
「ただいまサーラ、良い子にしてた?」
「うー、たぶん?」
そこでオルカさんが私の、と言うかアリエルの側まで来るとパーティの解散を告げてきた。
「ちょっとオルカどういう事よ!」
「いやな、実は俺がオルカに頼んだんだ」
迷宮に入る前の事。ポラベアさんが町でとある噂を耳にしたという。
その噂とはポラベアさんがずっと探し求めていた氷の魔剣だと言う。
ん? 氷の魔剣!? まさか、ね。
それで、解散前にオルカさんが最後にもう一度だけ迷宮に入って有翼人を倒すのを手伝えと言われて、アリエルには内緒で最後の挑戦をしたらしい。
「ポラベアはそれで良いだろうけど、オルカはどうすんのよ?」
オルカさんが一度空を見上げると空に鳥が飛んでいて何処かに飛んで行った。
「じゃあな」
それだけ言うとオルカさんは鳥が飛んで行った方へ歩き去っていく。
最後の言葉は本当にそれだけだった。
をして生きる。きっと機会があればどこかで出会うわよ」
「短いとは言えない付き合いだったけど、悪い奴じゃあなかったな。さてと、俺も行くぜ」
「ポラベアはどこに向かうつもりよ」
「ん、俺は……」
ポラベアさんも去って行った。行き先はマルボロ王国の城塞都市ヴァリュームと言っていた。
その日のうちに私は久しぶりに使い魔をそっと飛ばす。懐かしい人に向けて。
「さってとぉ! これで私達2人きり自由だよ。サーラは何かしたい事、ある?」
「えーと……」
私が返答に困っているところへ
「あ、サーラ、さんとアリエルか」
「あたしをオマケみたいに言わないでもらえるかしら?」
テトラさんが声をかけてきて、その後にセインさん達がいた。
オルカさんが去り、ポラベアさんも去ってパーティが解散した事を話すと残念そうな顔を見せる。
セインさん達はその昔死にかけた事があって、そのとき颯爽と現れて助けてくれたのがオルカさんだったそうだ。たった1人で魔物を蹴散らし助けてくれたオルカさんはセインさん達の憧れとなり、をずっと追いかけてきていたそうだ。
「サーラさんはこれからどうするんだ?」
「あたしもいるんですけど?」
「い、いや、サーラさん達はこれからどうするんですか?」
「なんでそこで敬語になるかなぁ」
「ハハッ、そりゃ決まってんだろ。巷で有名なじゃじゃ馬アリエルを怒らせる奴なんざ早々いねぇよ」
「へぇ〜そこまで分かってそういう事言えるシリクはあたしを怒らせても平気って事なのね?」
「い!? いや、誤解だ。あぁそうだ! サーラあんときの約束伝える為に探してたんだぜ」
「約束〜?」
「あ、はい」
救ってもらった話をしようとしたところで、テクセルさんが立ち話も良い加減にしてどこか落ち着く場所に移動しましょうと促され、
〔湖上古城亭〕に向かうことになった。
〔湖上古城亭〕に辿り着いてテーブル席を1つ占領すると、領主のアルクレスタさんのところであった事を話して、セインさん達の約束の所まで話したところでアリエルが怒りだした。
「誰も助けてくれと頼んでないのに、勝手に助けた挙句礼を要求するなんて、よくも恥ずかしくもなく言えたものね!」
「い、いや、シリクが……なぁ」
「俺のせいかよ!」
「アリエル、約束しちゃったからいいよ」
「お? サーラはアリエルと話すときはまた違った雰囲気出すんだな」
「なんかサーラ、さん可愛い」
「テトラ、その言い方だと普段可愛くないみたいに思われますよ」
「ちげぇねぇ」
「ち、違う。普段も可愛いと言うか綺麗と言うか、美人で可憐で愛おしいと言うか……」
「おいおい、テトラそれ告白になっちまってるぞ」
ハッとなってテトラさんは顔を真っ赤にすると跳ね上がるように立ち上がると、雄叫びをあげながら店を飛び出して何処かへと行ってしまった。
い、良いのかな?
「それで? どんな礼を要求するつもりでいるのよ」
「いやぁ要求とは違うかな。実は地下墓地の町に巷で有名な歌姫が来てコンサートをするらしいんだ。それで一緒に誘おうとね」
セインさんの言う礼の要求を聞くと、ピクッとアリエルが反応して、身を乗り出して少し興奮気味になる。
「その歌姫って、もしかしたらブリーズ=アルジャントリーの事かしら?」
「アリエル知ってるのか?」
「あったり前じゃない! ふーん、そう、そうなのね。
……男所帯にサーラ1人きりなんて、飢えた狼の中に放り出された子羊のようなもの。あ、狼なら1人血を引いてる人が居たわね。
ねぇサーラ、そんな中1人じゃ心細いでしょうからあたしも一緒に行ってあげる」
アリエルのバレバレの行きたいが為の理由づけに、セインさん達も半ば呆れ、諦めたようななんとも言えない表情を見せる。
「ま、まぁ、チケットは偶然にも7枚手に入ってるからアリエルも来るか?」
「え、本当! 悪いわね、まるであたしがせがんだみたいで」
セインさん達から乾いた笑いが聞こえて、決まったように思った次の瞬間、酒場の扉がバーンと開かれ、キャッティさんとクゥさんが姿を見せたかと思うと、一直線に私達のところに向かってきた。
「テトラ様に聞いたわ。私も連れてってもらうからね」
「そうれす! 僕も一緒するれす!」
後からバツが悪そうにテトラさんが戻ってきた。
雄叫びを上げて酒場を出たテトラさんが、キャッティさんと出会い、心配したキャッティさんが話を聞いてくれた時につい歌姫のチケットの事を話してしまったらしい。
「そうは言ってもチケットは7枚しか無いんだ。無理ってもんがあんだろ」
「あと2枚ぐらい、シリクさんなら入手できるんじゃないですか!?」
「何言ってんだオメェ! これだってなんとかやっと入手出来たチケットで、しかも最前列だぞ?」
それを聞くとキャッティさんがガックリと頭を下げた。
「セイン、私はあまり興味無いですから私の分を1人に回していいですよ。私はいない間にこの町で調べ物でもしていますから」
「俺の分も使ってくれ。その時間があったら入手した巻物を整理したい」
テクセルさんとコロナさんがチケットを譲ってくれたことで、キャッティさんとクゥさんが行けるようになると2人は飛び上がって喜びだして、しきりにテクセルさんとコロナさんに頭を下げていた。
いいのかなぁ……あ、そういえば。
「キャッティさん、カトレアさんとアーテミスさんは今日は一緒じゃ無いみたいで、2人の分がないですけど……」
「あー、あの2人ならね……」
カトレアさんとアーテミスさんは、アルクレスタさんに気に入られて、そのまま侍女を任されることになってしまったという。
鎧の音さえ気にしなければ、おっとりとしつつもしっかりしているカトレアさんは侍女を安心して任せられ、しっかりとメイド達を取り仕切ってくれているそうで、アーテミスさんはセバスチャンに見初められて執事をやらせてみたら、これまた天職のような働きを見せたんだとか。
「つまりだ、キャッティとクゥは使い物にならなかった、ってところか?」
シリクさんがあえて誰も言わないでいた、心の傷をさらにエグってしまったようで、キャッティさんとクゥさんは互いに抱きしめあって泣き出してしまった。
「あーあ、女の子泣かせちゃった。あたしし〜らないっと」
とまぁ色々あったけど、地下墓地の町には、セインさん、テトラさん、シリクさん、キャッティさんにクゥさん。そして私とアリエルで行くことになる。
翌朝出発に決まって解散になると、酒場を出て久しぶりにアリエルと一緒にノンビリと町をぶらつくことにした。
次の更新は明日の予定です。
今晩徹夜だぁと言うのはウソですが、頑張って描き進めます。




