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解決でいいのかな?

次話より展開が!

冒険者達を敷地に留まらせて、私だけ館に入るとクゥさんが呼び止めてきた。


「サーラさん、じゃなかったれす、侍女長、着替えを済ませたら会議室に来てくらさいと言付かったのれす」

「あ、はい。分かりました」


もう既に侍女長にさ戻されているんだ。



廊下を進み部屋に入ると、当たり前の様にアルクレスタさんの部屋に入っている事に気がつく。

昨日の夜を意識しない様にしながら、ここにあるのが当たり前のようにこの部屋に置いてある侍女服に着替えを済ませると、会議室へと向かった。



「失礼致します」


そう言って中に入ると一斉に注目を集めながら、アルクレスタさんの背後に立った。


私が来た事でアルクレスタさんが会議で話した事を確認という形で私に教える様に、各地の領主達に話し始め、領主達は全員頷きながら話を聞いている。


まず領主達には今晩もここで過ごしてもらい、明日帰路に着いてもらう。そして館の護衛に兵士の他に冒険者も雇った事を告げる。


決まった事はたったこれだけだったみたいだけど、恐らく昨日の今日で領主の中には不安な者が愚図ったのだろうと思われる。



「儂は帰るぞ! ここにいたら命がいくつあっても足らんわ!」


今の再確認で声を荒げて反対したのは、言うまでもなく遺跡の領主で、他の領主達の白い目を向けられても気にすることなく喚き散らしている。


ドンッとテーブルが叩かれ全員の目が音の方へ顔を向け、テーブルを叩いた人物、イスカニエル様に集まる。


「ついでの話だが、今この場せっかく各地の領主が集まっているのだ。今ここで新代表を決めてしまうのはどうかね?」


ざわざわと騒がしくなるが、先日の会議で話しもしていた為、予想していなかったわけでもなさそうで騒ぎ立てる者は……いた。



「この様な時に新代表を決めるだと!? バカも休み休みにして貰いたい!」

「遺跡の! バカとは失礼だぞ!」

「もののたとえじゃ! それに一体誰が代表を務めるというんだ!」


そこでイスカニエル様が静かにアルクレスタさんを指名する。


「迷宮の領主は若いが聡明で人望もある。私は彼が適任だと思うが、反対する者がいるなら手を上げてもらおう」

「断固として反対する!」

「では遺跡の領主は誰が望ましいと思うのだ?」

「儂じゃ、儂以外考えられん! 儂が代表になればトラキアル王国の権威を取り戻して、また昔の様な栄華を取り戻してみせるぞ!」


遺跡の領主が堂々と言い放つ。しかしその狂気染みた遺跡の領主に誰一人賛同の声は上がることはなかった。



「決まりだな、では新代表を迷宮の領主アルクレスタ殿とする」


拍手が起こる中遺跡の領主だけが歯嚙みして怒りの表情を露わにしている。


と言うかこんなに簡単に代表が決まってしまう事に私は驚かされたけど、代表は代表だからといっても基本的には外交を任され、各地の領主の意見の決定権がある程度で、どちらかといえばただの面倒ごとを任されただけの様なものらしい。



「儂は認めんぞ! 貴様なぞに従わん!」

「それでは仕方がない。遺跡の領主トーターク、貴方を遺跡の領主の任を解かせて頂く事になる」

「好きにするがいい、いずれにしても貴様等全員これで終わりだ! 覚えておくがいい。その時が来た時貴様等はこぞって儂に助けを請いに来ることになるだろう」



遺跡の領主だったトータークは呼ばれた兵士に連れられ牢に引きづられる様に引っ張られていった。




トータークがいなくなり静寂の後、アルクレスタさんが正式に代表に任命された。


「今宵はゆっくりしてください。警備の方は万全にしておきます」



それで一時解散となり、館に集まった冒険者の元に私も連れられて行く。

館の前の広場では冒険者でごった返していて、そのあまりの数にアルクレスタさんも驚きを隠せなかった。




「諸君! 今日は集まってくれて感謝する」


アルクレスタさんが謝辞を述べてゆき、冒険者達はそれを黙って聞いていたが、黙っていられなかった1人が口を開いた。


「領主様、そんな話はどうだっていいんだ。要するに一晩サーラちゃんを守ればいいんだろ?」


ガッ! どうしてそーなる!


アルクレスタさんが隣にいる私を見てから、冒険者達に向き直し、


「そうだ! それでいい!」


ええぇぇぇぇぇぇぇぇえ!


うおおーーーと声が上がり、私は非常に居心地が悪い。

そこにアルクレスタさんが私に小声で一言頼むと言ってきた。


一体いつの間にこうなったのか? ここに集まる大半の人を私は知らない。だけど集まった冒険者達は私を知っていて、何故か慕われている。

女体化した私は人を魅了する妖しい力でも持ってしまったのだろうか……



「えーと、皆さん今だけですが、アルクレスタ様の侍女をしているサーラです。

今、この館には各地の領主様達がお集まりになっています。明日には各地に戻られますので、明日まで館を守ってください」


大歓声が巻き起こり、本気で今すぐこの町から逃げ出したくなった。


警戒などは全て冒険者達に任せると言うと、私はアルクレスタさんと館に戻り、私は夕食の準備などに忙しく取り掛かる。


各地の領主達の食事も済み、各部屋へ案内も終わると待ち構えていた様にアルクレスタさんが現れ、私を部屋へと誘おうとしてきた。


「今朝言いましたが、もう私のことは忘れて……」

「話しておきたいことがあるから、私の部屋に来て欲しい」


また上手いこと言って結局部屋へと連れ込まれてしまい、部屋に入るなり私を抱きしめてキスをしてくる。



「そういう事でしたら私は下がらせてもらいます」

「君のベッドはここしかないよ」

「館を警戒してくれている冒険者n達と一緒に警戒していますのでご心配なく」


これは手厳しいと笑うと、真剣な表情になり私の耳に口を近づけてくる。


「今日は恐らく何事も起こらないだろう。いや、もう大丈夫だろうと思っている」



体を離して、アルクレスタさんが真意を話してくれて、遺跡の領主だったトータークは権力を失い没落する事で、余生をゆっくり過ごすしか術がなくなるそうで、如何に妙な願いだろうと無駄だろうし、そんなことはあり得ないと。


結局アルクレスタさんはそれ以上何かしてくる事はなく、私を諦めてくれた様に思う。



部屋を出た私は一度見張りをしている冒険者の元に顔を出して外の様子を伺ってから、キャッティさん達の部屋に行きそこで休ませて貰う事にした。




翌日アルクレスタさんの言った通り、無事に何事も起こる事なく朝を迎え、各地の領主達はそれぞれの土地へと帰って行く。



3人の冒険者は新代表であるアルクレスタさんに書状を貰って、仲間の女性の解放する様にと新たに遺跡の領主に任命される貴族に通達されておそらく解決となり、去り際に私にもう一度謝罪と感謝をして帰っていった。


私もその日のうちに侍女を止めて、アリエルが戻るのを待つ事にした。



肝心の遺跡の領主だったトータークは、数日後に来たセブンスターナイトに引き連れられていったと話しだけ聞く。あえて誰が来たのかまでは聞かない事にして……




本日分の更新です。


次からわざとあやふやな終わりにしつつ、新展開に変わります。


更新は明日予定ですが、今日もしかしたら、更新したいと思ってます。

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