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収束と会議

次々と領主達を救出に向かい、途中出会ったキャッティさん達に各地の領主を任せると、遂には逃げ出そうとする遺跡の領主の元に私は辿り着いた。



「き、貴様! ええい、コイツをさっさとやってしまえ!」


黒いローブに深く被ったフードのお陰で私とは気がつかない遺跡の領主は近くに控えていた兵士たちに命令を下した。


向かってくる10人近い兵士を呆気なく意識を刈り取り、ゆっくりと遺跡の領主に近づくと物陰から奇襲を仕掛けてきた人物の攻撃を杖で軽く迎撃する。


感知(センス)で隠れているのが分かっていた私には奇襲の類は効かない。


苦痛に顔を歪めながらも急所は避けた様で、意識を保っている、その男は油断なく身構えはじめた。


「俺の奇襲を軽く躱すどころか、反撃までしてくるお前は何者だ?」


名乗る必要も無い為、杖で攻撃を仕掛けるも躱して反撃してくる。


「名乗る気は無い、か。ならば、死ね」


男が高速移動で一気に迫り攻撃を仕掛けてくる。その顔は自信に満ちていて、今まで敗北知らずの暗殺者(アサシン)だったのだろう。


だけど……今回ばかりは違った。地べたに転がされ苦痛と恐怖に顔を歪めながら私を見ている。


「ば、化け物め!」


それがその男が意識を失う前の最後の言葉になった。


暗殺者(アサシン)、彼らは死を作り出す職人であり、殺人することだけが目的で生きている。



杖に付いていた血糊をピシャッと払いながら遺跡の領主に向けて構え近寄る。


「ウヒィィィィ、金、金なら欲しいだけやる。そうだ地位も名誉やるぞ。儂にはそれだけの力があるんだ。どうだ儂に仕えんか」


私が歩みを止めると、遺跡の領主は私が話を聞こうとしているのと勘違いしたのか、豚が威勢を戻しブヒブヒと何か言い始める。

面倒になってフードを後ろに下げ、顔をみせると口をぽかんと開けたかと思うとニヤつきはじめる。


気持ち悪い。さっさと意識を刈り取ってやるんだから。



私が杖を逆手に構えると、遺跡の領主はポケットから小瓶を取り出し、私の足元目掛けて投げつけてガシャンと割れる。


私には毒や麻痺などの類は修道士(モンク)の能力で効果が無い。だけど、その油断がいけなかった。


「っん……」


身体が突然疼き始める。


「ぶひゃーははは、それは強烈な媚薬よ。人はもちろんの事、ドラゴンですら一度匂いを嗅げば悶えると言われる代物よ!」



くっ……ん。し、しまった。


先ほど中途半端だった事もあったせいか身体が異常に疼き地面に崩れるように倒れてしまう。その時ローブの紐が解けてローブ1枚きりだった肌が露出する。


「ぶひょほほほ、準備万端ではないか? 今その体にタップリと歓びを与えてや……ぎょっ!」

「そこまでだ」


疼きに耐えながらも近づこうとした遺跡の領主を睨みつけて見ていると、誰かが背後から剣を突きつけていた。そこで耐えきれなくなった私はスパークしたような感覚に包まれた後グッタリとなってそのまま気を失った。




次に目覚めた時はベッドの上だった。


「ここは……」

「あ、気がついた!」

「サーラさん大丈夫れすか!」

「一応治癒はしておきましたよぉ」

「サーラ、私のサーラ!」


キャッティさん達の部屋でベッドの上だった。体を起こして頭を振る。遺跡の領主が小瓶を投げつけてそれが原因で私は……気を失ってしまった。

思い出した瞬間に顔が真っ赤になる。



「私は……どうしてここに? 遺跡の領主は!?」

「捕まったわよ。サーラはセインさんが館まで連れてきたの」

「なんか顔真っ赤にしながらお姫様抱っこされてきたんれすよ」



そこで扉がノックされて、アーテミスさんが扉を開けるとセインさん達が入ってきた。


助けてくれたセインさん達へ目を向けると、セインさんとテクセルさんが何故か顔を赤くさせて横を向いている。


「セインさんありがとうございます」

「大丈夫、暗くてよく見えてなかったから!」

「私も夜でよく見えてませんでしたからね」

「あう……」


2人に達した姿見られたんだ……

テクセルさんはエルフだからインフラヴィジョンがあるわけだし……でもあのまま豚に犯されるよりは遥かに見られた程度ならマシ、絶対に!


シリクさんの次の言動から、それを見た事は心にしまってくれたみたいだ。



「それ2人共裸()見ましたよと言ってるも同然だぞ。セインもテクセルも羨ましい限りだぜ。俺が発見してたらなぁ」

「お前さんがサーラに変なことしたら今頃魔法で吹っ飛ばしてたわ!」

「サーラ、さん無事で良かった」


最後にテトラさんが尻尾をぱたぱた振りながら言うのだけど、すぐそばにいるキャッティさんの目が怖かった。



どうしてタイミング良く助けに来られたのかを聞いてみると、本当なら昨日の段階で迷宮に行く予定だったのをシリクさんが今回の襲撃の情報をたまたま知ったそうで、それをセインさん達に話したら私が館で働いているから、わざわざ迷宮行きは延期にして、襲撃に備えて見回ってくれていたんだとか。



「わざわざありがとうございます、セインさん」

「いや良いんだ。君を助ける事が出来たんだからね」

「対価を要求しろよ」

「……いやぁ、だってなぁテクセル」

「なぜ私に降りますか!?」

「あー、いえ、私にできる事なら」


するから、それ以上怪しい言動はやめてぇ!



そう答えるとセインさん達が一斉に顔を見合わせると相談をはじめる。


う、なんか凄い事要求されたらどうしよう……



セインさん達が相談している間にアルクレスタさん達の事をキャッティさんに尋ねたら、各地の領主たちは帰るのをやめて緊急会議を行っているそうで、会議が始まってから未だ一度も出てきていないらしい。


窓の外を眺めると薄っすらと陽の光が昇ってきて辺りを照らし出してきている。

騒動が終わってからずっと会議だとすれば、かれこれ4〜5時間、ただ1人の暗殺に留まらず、領主全員を狙ったこの度の襲撃はそう簡単には収まりそうになかった。




本日分の更新です。


次回更新は明日になります。



書き溜めが減ってきた……


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